■ ■ ■
「今年ももう終わりますね」
「そうねえ」
こたつにぬくぬくと足を入れながらみかんに手を伸ばす。
お揃いのグラスに入ったウイスキーの氷はすっかり溶けていた。
大晦日。瑞希の部屋のこたつでテレビをみながらお鍋を食べてのんびりする、家庭的な時間を過ごしている。
こんなにゆっくりしたのは何年ぶりだろうか。
付き合い始めて、一緒に出掛けたりする時間はたしかにクリスマスくらいしかなかったんだけど、仕事終わりにどっちかの家に泊まったりして、今まで1人で過ごしてた時間が2人の時間にだんだん変わっていった。
晩酌も、いつも1人で食べていた鍋も2人でつつけば美味しさも倍増だ。
お互いの存在が溶け合うように、自然と時間を共有するようになった。
「来年の抱負は」
「そうだなあ」
眠そうにくたりと突っ伏した体勢でこっちを向く瑞希。
抱負、かあ。彼女らしいな、と思った。
「今年よりもバリバリ働いて」
「うん」
「ちゃんとして」
トロンとした目がパチリと俺を射抜く。
「瑞希とたくさん一緒にいたいなあと思ってるよ」
恥ずかしそうに顔を埋める彼女に微笑む。
ちゃんとして、仕事して、安定したら。
覚悟が決まったら。
瑞希の頭に手を伸ばしてくしゃりと撫でる。彼女はこの手が好きだと、猫のように目を細める。
「どうしたの」
「幸せものだなあと思って」
テレビの中でカウントダウンがはじまる。
ウイスキーをぐいっと飲んで、そのまま倒れこむようにキスをした。