幼なじみがいる。サラという名前の、とてもかわいい女の子。どこへ行ってもイソップイソップと後をついて回り、どうしたのと問いかけると、ふわりと笑ってそっと指を絡ませる。そして、たわいの無い話をするのだ。
その見目の良さから、彼女はよく告白を受けていた。けれどその度に、あたしにはイソップがいるからと断ったと言う。そのおかげか、どれだけモテても他の女の子から嫌がらせを受けることはなかった。冴えない僕を好きなら、自分の想い人がサラとどうにかなることはないと思ったのだろう。
サラには時々、化粧の練習台になってもらった。ベッドに横になって目を閉じ、そこに僕が化粧を施す。できたよ、と声をかけても、時々まぶたを開けないことがあった。必死で気づかなかったが、彼女は眠ってしまっていたのだ。いつもならもう少し寝かせてあげようと部屋を出ていくけれど、幼なじみと言えど僕にとってサラはやっぱり女の子だった。誰も見ていないことをいいことに、僕はサラにキスをした。挨拶で頬にするキスと、濁った感情を込めて唇にするキスは全然違って、いけないことをしているみたいだった。背中がぞくぞくとした。それが忘れられなくて、何度も練習台になってくれと誘った。その度に、何も知らない彼女はいいわと笑ってベッドに横になるのだった。