バレンタイン2017



僕は恋愛が嫌いだ。
愛なんて言葉は人を騙し落とす甘い罠。

死んでも生まれ変わっても僕の考えは変わらない。


―…あの日はどしゃぶりの雨が降っていた。

空は重いグレーの雲が一面を覆い尽くしている。

「レイルー!どこだー?」

僕は建物の屋上で唯一の友達を探していた。
いつもこの場所で僕の目の前に現れてくれる。

雨宿りする屋根がこの屋上には存在しないせいで、今日は来ていないのだろうか…。
この屋上はコンクリートの床と柵に囲まれてできている。
友達は雨の日には余計に好まなさそうだ。

「なあ*!」

諦めかけていたその時にあの声がした。

「レイル!まったくこんなにずぶ濡れになって…」

back
Oitok