ボロボロの真っ白な部屋に似合わない朱色のテーブル。一撫ですると埃がふわっと宙に舞う。

「一松くん、」

「…………やだ」

「一松くん…」

「………やだって言ってるでしょ」

向い合わせで座る一松くんはいつもの猫背をぐうっとさらに丸めてぼやかすように下を向いていた。

「別れよう…?」

刹那、全ての身体機能がとまったみたく動かなくなる。その様がかわいいから背筋が愛しいほどぞくりとした。

「捨てないで……やだ…やだ」

ぽろぽろと溢れては落ちていく泪。
どうして、赤いテーブルにしたか教えてあげましょうか。小さく嗚咽を漏らす一松くんの襟元を掴んでそのうるさい唇を塞いだ。

ほうら。やっぱり。
あんたがね、こうして色んなところから鈍い血を流すから。だから赤にしたの、同じ色でしょ。どれだけ自分が濃度を濃くしているのかは知らないはずよね、気づけないもの。好きよ。そういうところが。

あやとりみたく細い細い糸を焦らすように絡ませていく。

だらだらと涎が垂れていくのをみると守ってあげなくなるほど胸の奥がずきずきする。

あーあ、また滲んじゃってる。


そうよ、清く浅ましく私たちはお付き合いをしてる。

だから一掬いでいいのよ。ほんの一掬いのお砂糖がほしいだけなの。その宝石みたいな瞳をぐしゃぐしゃに玉砕したいだけなの。だから、ごめんね。また受精したら別れ話しましょ。

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