06
翌日二人で登校して、教室で強化合宿のメンバーの話をする。
昨夜おばあちゃんに電話で確認すれば、いいよ、と言ってくれた。
合宿場所の確保は出来たから、後はメンバーだが勿論インハイメンバーの六人は参加で、後誰を連れて行くか、だ。
全員参加でも問題はないが、翔がそんなに要らない、というのでメンバーを絞った。
六人と私、残り三人を選んで参加者名簿に書き込む。
『後で和馬先生に持って行く』
「ん」
『残りの三人にも言わなきゃだから、翔が言う』
「それでええよ」
お願いね、と言えばチャイムギリギリで二人が駆け込んで来た。
セーフや、と汗を流しながら椅子に座った二人に笑いかけ、下敷きで仰いであげる。
『おはよう』
「「おはようさん」」
『間に合ってよかった』
「ほんま、ぎりぎりの戦いやった」
「それより、二人共どないしたん?」
『何が?』
「ものすごく眠そうな顔しとるな」
その言葉に顔を赤くすれば夜ちゃんが、みどのエッチと翔を揶揄う。
翔は心底うざったそうな顔して夜ちゃんを見てた。
「やかましいわ」
「二人は真面目やから平日にはシない思うとったけど」
「我慢できんかったんやろ、分かるで、花かいらしいもんな」
「……誘って来たんは花からやったで」
『言わないで良いから』
「んもう、花のエッチ」
『き、昨日はあの、ちょっとその、色々あったから、あのね、その』
我慢出来なかったの、と囁き顔を隠す。
翔は普通に寝ようとしてたけど、私が我慢出来なかった。
疲れているのは知っていたから、我慢しようと思ったけど、駄目だった。
『ごめんね』
「別にボクも満足したし」
「エッチやな」
「エッチや」
『ご、ごめん』
「ご奉仕してもろうたんか?」
「おん」
『言わなくていいから!』
三人に揶揄われていれば、チャイムが鳴って直ぐに先生が来たので話は終わった。
はあ、と安堵の息を吐けば先生が、夏野顔真っ赤やけど風邪か? と言われ首を横に振る。
「ほんまか?」
『だ、いじょ、ぶです』
「先生、放っておいてや、花はみどとエ『うわぁああ、夜ちゃん』
「あかんて夜、花死んでまうよ」
「ごめんな」
『言わないで言わないで、お願い言わないで放っておいて』
「初めて夏野の大声聞いたな、まあ、元気ならええわ、ほんなら出席取るで」
一人顔を隠したまま名前を呼ばれ、返事して先生の話を聞いた。
****
お昼を食べ終えてから、翔と職員室に行って和馬先生に合宿場所の確保が出来たこととメンバー表を見せた。
「おばあちゃん大丈夫やって?」
『はい』
「ほんなら、俺からも連絡するから教えてもろうてええか?」
連絡先を紙に書いて先生に渡し、届の紙を貰い職員室を後にする。
そのまま三年生の階に行って、先輩達に合宿場所と届の紙を渡した。
「ありがとな」
『いえ』
「具合ようなったか?」
石垣先輩の言葉に翔を見れば、普段通りの顔だったので先輩を見て頷く。
『もう大丈夫みたいです』
「具合悪かったんは御堂筋君か?」
「別に具合悪かったわけやない」
『無茶してたみたいだったので、昨日は無理矢理帰らせたんです、すみません』
「いや、ええけど、無茶しとったんか」
『はい、いつもと違う顔色だったので』
「よう気づいたな」
『ずっと一緒に居ますから』
「花はボクのちょっとした変化に気づくんや、ボクの事大好きやから」
「そうやな、お前等お互い大好きやもんな」
「やから、石垣君と仲ようお喋りしとるけど、勘違いせんでね、花はボクが好きやから、石垣君の事なんかこれっぽちも興味ないで、キミらも勘違いせんでね」
翔の言葉に先輩達はぽかん、としたが直ぐに笑みを浮かべる。
「御堂筋君も嫉妬するんやな」
「驚きやな」
「俺今キュンってなったわ」
「キモッ」
『す、すみません』
「謝らんでええ、用は済んだ行くで」
手を引かれたので先輩達に失礼します、と声をかけから水田先輩と山口先輩と広西先輩にも伝えた。
最後に一年生の隣の教室を覗けば、船津君と木利屋君が居て翔はずかずか中に入って行く。
後を追いかけ翔の背後に隠れながらついて行き、翔が二人の前に立ったので顔を出す。
「「……み、御堂筋さん」」
「キミら、強化合宿に参加させたるわ」
「え?」
「ほんまですか?」
「やけど、キミらは花の仕事の手伝いな」
「「分かりました」」
『あの、ば、場所は私のおばあちゃんちだから、えっと、これ書いて後で私にちょうだい、まとめて先生に出すから』
お願いね、と届の紙を渡せば二人は頷いた。
「行くで」
『じゃあ、あの、また部活で』
翔の後ろについていけば、夏野さん、と名前を呼ばれたので振り返れば、あの手紙の子が手を振っていたので振り替えす。
すると近寄って来て手を握って、嬉しそうに笑う。
「あんな」
『う、うん』
「私彼氏できたんよ」
『お、おめでとうございます』
「あの日夏野さんが手紙渡してくれて、慰めてくれてな、前進めたで、やからありがとう」
『ううん、本当良かったね』
「ありがとな、部活大変やろうけど頑張ってな、応援してるで」
『あ、ありがとう頑張るね』
「うん」
じゃあ、行くね、とその子に手を振って翔と教室に戻り、午後の授業を受けた。
*******
時が立つのは早く、もう七月に入った。
夏の暑さを肌に感じる動かなくとも汗が出るのだから、自転車に乗っている翔達はもっと辛いはずだ。
こうして自転車部のマネージャーとしているが、一度もロードバイクに乗ったことは無い。
マネージャーとしてどうなのだろうか、とここ最近になって漸くそのことを考えるようになった。
何十年も翔と一緒に居て、今更ロードに乗ってみたい、というのはなんだか恥ずかしいし。
なので、私は覚悟を決め、一人で翔が自転車を買ったお店に来た。
時たま修理もここでしているし、その度について行く場所だから、お店の人が全く知らないわけじゃない。
行ける、やれる、と自分に気合を入れ、お店の中に入った。
行く度に、笑顔で挨拶してくれるおじさんが今日も挨拶してくれ、頭を下げる。
「花ちゃんや」
『ど、どうも』
「翔君は一緒やないの?」
『ひ、一人で、き、ました』
「そうなんか、どないした?」
『じ、自転車か、いに…ロード』
「お、花ちゃんもロード乗るんか、ええな」
何度も頷けばおじさんが来て、ロードが置いてある場所まで来て、おススメのロードを教えてもらう。
「女の子に人気なんは、ここいらやな、一番はやっぱりビアンキやな」
『ま、町でもよく見かけます』
「やろ? これならフレームもパーツもええのついとるし、その割に値段は安いから、おススメや、一回跨って見るか?」
『は、はい』
おじさんが自転車を出してくれ、それに跨ってみる。
サドルに座るとつま先がぎりぎりつくくらいで、ハンドルを掴めば少し前のめりになって怖いけど、サイズは問題ない。
「サイズはええ感じやな」
『こ、これにします』
「ほんなら、一旦不備ないかチェックするな、他に何か欲しいもんある?」
おじさんに必要な物を伝え、一緒に選んでもらった。
「点検に10分かかるから、そこの椅子座って待っとって」
『は、はい』
おじさんがよく座っている椅子を指さされ、それに座る。
ちっかうの工房でおじさんが作業していて、それを眺めた。
「翔君に言うてないんか?」
『い、ってないです、は、ずかしくて』
「なんでや、翔君に言うたら喜ぶで」
『い、今更乗りたいって言うのが』
「ええやんか、二人でロード乗ってデートしたり、きっと楽しいで」
想像してみれば、確かに楽しそうだな、と思う。
ちゃんとロードに乗れるようになったら、いつか一緒に出掛けてみよう。
そこからおじさんと喋っていれば、点検が終わったようで、おじさんが立ち上がる。
「これで大丈夫やな」
『あ、ありがとうございます』
「これが俺の仕事やからな、パンクしたり、何か不備あったら持ってきてな」
『はい!』
お会計を済ませ、新しく買ったヘルメットとグローブをして、自転車を押してお店の外に出た。
「気を付けるんやで」
『ありがとうございます』
おじさんに手を振ってゆっくりと自転車をこぎ始める。
やっぱり普通の自転車とは違って軽い、けど、少し前のめりになるから怖さもある。
慎重にゆっくりと漕いで家まで目指す。
私の家からここまでバスと徒歩で30分の距離、自転車だったら一時間もあれば帰れるだろうか。
一旦止まってリュックから携帯を出して時間を見れば11時で、一時間で帰りお昼を作れば問題ない。
来週からテスト期間に入るので、部活は休みだから翔は朝から自主練に出かけた。
いつも自主練に行くと13時くらいまで帰って来ないから、12時までに家について、自転車を隠せばばれない。
。
携帯をリュックにしまい、よし、と再び漕ぎ始めた。
漕ぎだして10分後、私の息は上がっている。
人や車があまり通らない道を選んで来たが、緩やかな坂が続く道で、ギアの変え方を知らない私は、そのままの状態で登り続けた。
なんとか家までついて翔に見つからないよう空き部屋のクローゼットの中に入れ、シートをかけて隠す。
携帯を見れば12時半で急いでお昼を作ってからシャワーを浴び、数分後に翔が戻って来た。
お疲れ様、と声をかけお昼をテーブルに並べ一緒に食べる。
「……風呂入った?」
『え、あ、うん、汗かいちゃったから』
「なんで?」
『掃除してたから』
「ふうん」
翔はそれ以上何もいう事なくお昼を食べ、午後練習に行く翔を見送るため玄関に行く。
自転車を持って居る翔に、ギアの変え方を聞いてみた。
「急になんや」
『いや、気になって』
「ここで変えるんや、こっちが重たくする、こっちが軽くする」
『へえ』
「……なんかボクに隠し事してるやろ?」
『え? してないけど』
変なのと笑いかけ髪の毛を耳にかければ翔はまあ、ええわ、と玄関を出たので気を付けてね、と背中に声をかけた。
翌日、朝ご飯を食べ翔がまた練習に出かけたので、私も着替え自転車を持って外に出る。
マンションの下でヘルメットとグローブをし、自転車に跨って昨夜に携帯で調べた練習コースに最適な道を進んで行く。
車も人通りもあまりない道で途中には坂道もあるし、距離も初心者の私には丁度いいくらいだ。
自分の速さだと一周するのに大体一時間で、それを目安にペダルを回す。
ギアも重くも軽くも変えられるようになったし、昨日よりは断然早く漕げ、辛かった坂道も楽々登れて、目標タイムの一時間で戻って来れた。
マンション前で汗を拭い、昨日買ったボトルに入れたポカリを飲む。
運動した後のポカリは美味しくて、少しだけ疲れが取れたよう気がする。
10分休憩してから、次は五分タイムを縮めようと再び自転車に跨って漕ぎだした。
次マンション前に戻って来た時、タイムは二分しか縮んでおらず少し腹が立つ。
翔もタイム縮まらないって言う時はこんな気持ちなのかな、とちょっとだけ翔の気持ちが分かったような気がした。
悔しくてもう一回走りたいけど、お昼も作らなきゃいけないし、翔が戻って来てしまうかもしれないので仕方なく家に戻る。
鍵を開け中に入って自転車を壁に置いてから、廊下に座って硬く結んだ靴紐を解く。
翔は午後も練習行くだろうから、その後に私も練習に出て、今度こそは五分縮める。
よし頑張るぞ、と気合を入れてお昼を作ってからシャワーを浴びた。
翔が戻って来たのは12時半で二人でお昼を食べ、翔はシャワーを浴びに行き、何故か部屋着のまま戻ってくる。
『練習行かないの?』
「明日からテストや、一応勉強しとく」
『え、しなくても分かるでしょ?』
「一応言うたやろ、なん、ボクが家に居ったら困るん?」
『困らない』
「だったらええやろ」
そうだね、と返しソファに座って教科書を開く翔を見た後、途中だったお皿洗いをする。
どうしよう翔が居たら練習行けない、五分縮めようと思ったのに、内緒で行くのは不可能に近い。
出かけるってウソついてこっそり行けば…いや絶対に無理だ。
「……ボクに何か隠し事してるやろ?」
不意に翔に声をかけられ見れば私を見ていたので、首を横に振る。
『してない』
昨日も言ったじゃん、と笑いかけ髪の毛を耳にかけた。
「知っとる?」
『なにが?』
「嘘つくとき変な癖する奴がおるんやで」
『へえ、そうなんだ、翔はしないね、顔で分かるけど』
「そうやね、やけど花は嘘つくと無意識やろうね、髪の毛耳にかけるんやで」
『……』
「昨日も今日もボクに嘘ついてるな」
視線を逸らし洗ったお皿を水切りラックに入れ手を拭く。
『やだな偶然でしょ、嘘ついてない』
「ボクに自分から言うか言わされるかどっちがええ?」
『言う事ないもん』
「ようわかった、言わされる方がええんやな」
そう言って翔はソファから立ち上がって、教科書を置いて近寄ってくる。
目が怖いので後ろに下がれば壁に背中が当たり、目の前に翔が立って壁に手をついて顔を近づけて来た。
「自分で言うた方がええ思うけど?」
『い、言う事ないです』
「しゃあない、今から明日の朝までやらしい事したるな」
『え…え?』
「したら嫌でも言うやろ? ほな、ベッド行こうか」
翔が私の手を掴んだのでごめんなさい、と謝る。
『言います、ごめんなさい』
「最初からそうしとればええんよ」
『すいませんでした』
「で、なんやの?」
『いや、その、そんな隠し事とか』
「……ベッド行く?」
『ロードバイク買いました!』
ちらっと翔を見れば、凄い驚いた顔をして居て私から手を離す。
数秒の無言が続いて、翔はハア、とため息吐いた。
「あほらし」
『ご、ごめんね』
「何ではよ言わんのや、その前に誰と買いにいったんや」
『えっと、一人で』
「……不安でしかないわ、どこで買うたん?」
『翔がロード買ったお店で、おじさんにおススメしてもらったの』
「ああ、なら、安心やな、見せてや」
頷いて空き部屋に行きクローゼットを開けて、自転車を取り出して翔に渡す。
翔がそれを持つと凄く小さく見え、なんか少し面白い。
「ふうん、まあ、ええんやないの」
『女の子に人気なんだって、サイズも良かったし、可愛いからそれにしたの』
「なんで急に買うたん?」
『いや、そのマネージャーしてるのに一回も乗ったことないな、って思って』
「今更やね」
『だから翔に言うの恥ずかしくて、昨日一人で買いに行って上手に乗れるようになるまで隠しとこうと』
バレちゃったけど、と言えば翔はボクに隠し事なんて千年早いわ、と笑った。
「どうやって持って帰って来たん?」
『乗って帰って来た』
「…昨日ボクにギアの変え方聞かへんかった?」
『うん、聞いた、ギアの変え方分からなくて、坂道もきつかったけど、なんとか帰って来れたよ』
「ドアホなん?」
『おっしゃる通りで』
「ほんで、今日乗ったん?」
『朝乗って来たよ、ギアも変えられて速く走れたよ、あ、ちょっと待ってて』
一旦リビングに戻って、携帯を持ってから空き部屋に入って翔の横に立って、今日走った練習コースの地図を翔に見せた。
『ここ二回走ったの、最初はね一時間で、五分縮めようと思ったけど、二回目は二分しか縮まらなかった』
翔は私を見てから壁に自転車を立てかけて、着替えるでと空き部屋を出る。
直ぐに後を追いかけ、翔が練習用のジャージに着替え始めたので、私も着替えた。
ボトルを作りタオルを持って、二人で自転車を持って外に出る。
「乗ってみ」
頷いて自転車に跨ってハンドルを握って、翔を見れば横に来て、そこから翔はハンドルの持ち方、走る時の姿勢、色々教えてくれた。
「ボク横ついて行くから、花のペースで今言うた通りにして走ってみ」
『分かった』
翔も自転車に跨ったので、行くよ、と声をかけ漕ぎだす。
朝と同じペースで走ったけど、翔に教えてもらった通りにしたら、もっと早く走れるような気がした。
今のスピードじゃ物足りなくて、ギアを変えてペースを上げる。
速く走れるし横には翔が居てくれて、もっと早くから乗っていればよかった、と思えるくらいに楽しいし嬉しい。
『楽しいね!』
翔を見れば翔も楽しそうに笑って頷いて前を指さしたので、前を向く。
「もっとスピード出せる、ボクについて来るんやで」
『うん!』
翔が少し前に出たので、私も早く漕いで翔の後ろをついて行く。
私の前を走る翔は凄く輝いていて、格好よく見える。
いつも遠くから眺めていた背中を近くで見れて、こうして一緒に走れて頑張れば横にも並べる。
私にペースを合わせてくれているけど、それが嬉しくて息が切れて苦しいけど、笑みが零れた。
翔と一周してマンション前で自転車から降りて、流れる汗を拭いポカリを飲む。
朝よりも疲れたけど、凄く充実していた気がする。
「五分縮めたい言うてたね」
『うん、言ったね』
「丁度五分、縮まったで」
『ほ、本当?』
「ほんま」
『凄い! 翔が教えてくれたし、一緒にはしってくれたからだよ、ありがとう』
嬉しくて片手で翔を抱きしめ服に顔を埋めれば、翔も背中を撫でてくれた。
「今日はここまでやで」
『分かった』
「帰って勉強や」
『うん』
翔と家に戻り、翔の自転車部屋になっている部屋に一緒に置いてもらい、二人でシャワーを浴びてからソファに座って授業中まとめたノートを見返す。
ノートに書かれている文字を見て居れば段々と瞼が重たくなって来て、ゆっくりと横に体が動く。
寝ちゃダメだ、と思いつつも翔に寄り掛かってしまい、手に持って居たノートが落ちる。
起き上がってノートを取ろうとしたら翔が自分の膝を叩いたので、私は動いて翔の膝に頭を乗せ横になった。
翔は教科書を片手に持ったまま私の腰をとんとん、優しく叩いてくれ、その心地よさと温もりで私は直ぐに夢の世界に入る。
あまり夢を見ることはないが、その日は翔と一緒に自転車で走っている夢を見た。
どこまでも続く道を翔と二人で進んで行く、凄く楽しくて、嬉しくて私は笑う。
すると横に居る翔も笑って、前を指さして、これから先もずっとボクと一緒や、と言ってくれ、私は何度も頷く。
翔が一緒なら私もどこまでもついて行くし、翔が辛いときは私が翔の風避けになって進んで行く。
だからこれからも私の横に、傍に居てね、と翔に言えば翔は一度だけ私を見て頷いてくれた。