グレイゾーン24
悟空は人気のない場所を選んで地球に降り立った。知らない山の中は比較的西の都に近い場所で、悟空は到着してすぐにブルマの元へ飛んでいく。悟空が地球から乗ってきた宇宙船には地球との通信機がついていたが、惑星ベジータに不時着して以降、壊れてしまったために、悟空は今日の日まで一度も地球へ連絡できずにいた。
「よおブルマ! 久しぶりだな!」
「孫くんじゃない!」
悟空の突然の訪問に、ブルマをはじめ、宇宙の旅に協力してくれたブルマの父や母は腰を抜かした。約一年ぶりの帰還にブルマの目に涙が滲む。地球を出て修行をするなんて無茶な話で、定期連絡が途絶えた日から、きっと悟空は死んでしまったんだろうと仲間たちの中で噂になっていた。
「も〜! 心配したんだからねっ!」
「わりぃわりぃ。ところでブルマ。ドラゴンレーダーあるか?」
「え?」
「ちょっと貸してくんねえか」
再会を喜ぶ間もなく、悟空はブルマからドラゴンレーダーを預かると、挨拶もそこそこにレーダーの差す場所を目指して飛び去っていった。ブルマは何のことだかわからず、ただ嵐のように去っていく悟空の背中をいつも通り見送っていた。
悟空はほとんど休むことなくドラゴンボール集めに奔走した。消えてなくなった惑星ベジータをもとに戻し、死んでいった人々を生き返らせるためだった。
悟空は地球に着くまでの間、宇宙船の中でずっと悩んでいた。サイヤ人とフリーザ軍の争いは起こるべくして起きたものであり、今まで彼らがしてきた蛮行思えば、双方いなくなることが平和への近道のように思えた。
しかし悟空の個人的な感情をいえば、このまま見過ごすことはできなかった。彼らが犯した過去の蛮行をなかったことにするつもりはない。だがこれから変わっていけばいいと悟空は思う。こうして起きた事実を顧みて、己のしてきたことをあらためれば、悟空はそれでいいと思ったのだ。
それは彼らの生きざまに背く行為でもあり、悟空が生き返らせれば、ベジータが怒って掴みかかってくるかもしれない。それどころか、悟空の思惑通りにはいかず、再び争いが始まることも考えられる。
しかしそうなってもいいのだ。もう一度蛮行を繰り返すというなら、今度こそ止めてやればいい。こんな行為はしてはいけないと、悟空は何度だって教えてあげればいいと思った。
それが悟空の出した結論だった。サイヤ人にはサイヤ人の生き方がある。でも悟空にも悟空の生き方があるのだ。
悟空はドラゴンボールを集めると、まず惑星ベジータをフリーザ軍に破壊される前の状態に戻してもらうことにした。そしてフリーザ軍に殺された人々を生き返らせてもらうと、最後の願いで、悟空自身を惑星ベジータにいるベジータの元へ送って欲しいといった。
神龍はその願いを叶えると、ドラゴンボールは再び石となり、四方八方へ飛び散っていった。悟空もまた、散り散りになる石と同じように、惑星ベジータへとその身を飛ばされていった。
2020/12/13