笑って泣いて
謎時空、謎部屋。燈矢が炎司を抱く理由も謎。
嫌がらせなのか、好きなのか、炎司もそのあたりよくわかんないけど、燈矢への愛ゆえに燈矢が気持ち良ければそれで満足な炎司っていいなあっていう話。
* * *
眠りから覚めた炎司がいたのは小さな部屋だった。木造の古い部屋にはテーブルと小さなテレビがあり、炎司はその部屋にあるベッドに寝ていた。足の短いシングルベッドはよく軋み、炎司の体重では壊してしまいそうなほど頼りない。
部屋には時計もなく、テレビをつけて時刻を確認しようとしたが、あたりにはリモコンがなかった。ふと、壁の高い位置に窓があることに気付き、炎司は立ち上がって覗き込んだ。森の中に囲まれた家は、街が見下ろせるように高い位置にある。太陽は天から少し西に下りていて、今が午後であることを察した。
背後からドアの鍵を弄る音がして、炎司は窓から振り返る。燈矢が小さなビニール袋を下げて、何処からか帰ってきたようだった。
「ここは、どこなんだ」
炎司はすぐに仲間の元に戻らなくてはいけないと思ったが、燈矢が一人きりでいることを知ると考え直した。自分だけを連れてどこかに隔離するなんて、敵とヒーローではなく、家族として何か話したいことがあるのだと思った。
「どこだっていいだろ」
しかし燈矢は炎司の質問を面倒臭がり、まともに会話するつもりもないようだった。
だが自分をいたぶりたいのであれば、こうしてわざわざベッドに寝かせるのもおかしい。炎司の身からは通信機などは一切外されていて、外とは連絡の取りようがない。しかし逃げ出そうと思えば簡単にできてしまうほど、監禁にしてはチープな建物だった。
「何が目的だ」
まどろっこしいことは苦手だ。何か用事があるなら聞こうではないか。炎司の真っ直ぐな態度に、燈矢は鼻で笑った。
「変わらねえな」
「何がおかしい」
炎司は燈矢が笑う理由もわからなかった。わからないので尋ねたが、燈矢にはまた笑われた。
「俺たちは家族だぜ、お父さん。一緒にいることに目的なんてねえだろ」
炎司はぐっと唾を飲み込んだ。燈矢の言うことは正しい。
「………燈矢。お前はいま、荼毘……と、名乗っているだろう。お前したことは……許されることじゃない。例え家族でも……」
炎司はそれ以上言葉にすることができなかった。もういなくなったはずの燈矢が生きていることの嬉しさと、ヒーローとして、悪人を野放しにするわけにはいかない意思が、炎司の中で錯綜する。
「家族でも、なんだよ」
言い淀む父に燈矢が凄む。視線を合わせられない炎司が俯くと、燈矢はさらに大きな声を出した。
「家族でもなんなんだよ?! ……ハッ、また俺を捨てるのか?!」
「違う! 捨ててなんか……うッ!」
言い返す父の体を燈矢は突き飛ばし、ベッドに押し倒した。うるせえと吐き捨て父を黙らせると、燈矢は己のズボンに手をかける。目の前でカチャカチャと音を立てながら外されるベルトを、炎司は少しの汗を掻きながら黙って見ていた。
「舐めろよ」
燈矢はペニスを掴み、父の顔に押し付ける。顔を背けて逃げる父の唇に突っ込もうと突き立てるが、父はぎゅっと唇を結んで侵入を許さない。
「んんっ!」
燈矢は父の頭を掴んで押さえつけながら、炎司の鼻を摘み上げた。炎司は息が出来なくなって、精一杯我慢してみたが、すぐに耐えきれなくなって口を開いた。燈矢はその隙間にペニスを突っ込み、父の顔に向かって腰を振った。喉奥までペニスを突っ込まれ、炎司は苦しさでもがくが、燈矢は一切力を緩めることなく、乱暴に腰を振り続けた。苦しさから力が入らない炎司は、どんどんもがく力も弱くなって、ゔーゔーと唸ることも出来なくなった。
炎司が動かなくなったことに気付くと、燈矢は腰を引いて父の口からペニスを取り出した。燈矢のペニスは炎司の涎でドロドロになり、ふにゃふにゃだったそれはすっかり大きく膨らんでいた。炎司は口を塞いでいたペニスがなくなると、息を吹き返したように大きく咳き込んだ。喉につかえたものを取るように、ごほごほと何度か咳を繰り返し、口の端からは涎が零れ落ちていた。
炎司はぜえぜえと肩を揺らし、苦しさから逃れるように大きな呼吸を何度も繰り返す。ベッドの上で炎司がぐったりしていると、燈矢はその体に火を放った。
「はぁっ……なんっ……で……ッ!」
蒼炎が炎司の身を包み、ヒーロースーツが焼け焦げる。家具に燃え移らないように加減された炎は、炎司を包んだスーツだけを器用に燃やしていた。
ところどころ空いた穴から炎司の素肌が見える。燈矢は僅かな炎を手に宿した状態で、空いた穴に手を突っ込んだ。
「やめろっ……!」
弱った炎司は声を上げることしかできなかった。燈矢は自身の炎を使いながら炎司のヒーロースーツを破り捨て、炎司の下半身を丸出しにする。炎司は咄嗟に足を閉じたが、抵抗は虚しく、燈矢の手によって股を開かされた。先ほど炎司の口で膨らませた燈矢のペニスが足の付け根にあてがわれ、炎司の背筋が凍る。逃げるように身を引いたが、すぐに壁にぶつかり、炎司は逃げ場を失った。
「燈矢! やめろ……!」
「俺が何をしたいかわかるの?」
燈矢は微笑む。その優しい眼差しはゾクリと背筋を凍らせ、炎司の体が固まった。
「ああっ! やっ……!」
瞬間、燈矢は炎司の尻の奥にある小さな蕾へ、ねじ込むようにペニスを突き立てた。
「やめろっ! そんなもの……はいらんっっ!」
炎司のアナルをこじ開けるように強くぶつけるが、そのクチはびくともしない。燈矢は舌打ちをすると、己の手を股座に突っ込み、指先を捻じ込んだ。きゅっと閉じた穴に無理矢理指を押し込もうとして、炎司は痛みで体を振るう。じっとしろと凄まれても、炎司は痛い痛いと暴れていた。
「無理だっ……! やめてくれ燈矢っ……!」
開いた足の間に入り込んだ燈矢が邪魔で、炎司は開かされた足を閉じることもできない。なんとか足を抜き取り、股を隠すように折りたたんだものの、そのままたたんだ足を体に押し付けられ、炎司の尻の穴は再び燈矢に丸見えになった。炎司は恥ずかしさで顔を赤くしながら、必死に手で覆い隠すと、燈矢の体をぐっと押しのける。
「なんでっ……こんなことっ………!」
炎司はその場から逃げ出すことよりも、燈矢と対話を求めていた。言葉数が足りないのは自分に似てしまったのだろうか。炎司はじっと燈矢の目を見つめていた。
「息子として甘えたいだけだよ」
燈矢はとても悲しそうな眼をしてそういった。拒む父の姿にショックを受けたのだろうか。炎司は途端に自分のしたことがとても心のないようなことに思えて、喉の奥から言葉が出なくなった。
「俺とすんの、そんなにイヤ?」
俯いた燈矢はそのまま父の体に倒れて、炎司の体を抱きしめる。すっかり成長し、大人になっても、炎司から見ればまだ若く、体だって小さい。燈矢と死に別れたと思ってから再び顔を合わせる日まで、燈矢がどんな生活をして過ごしてきたのか、炎司にはわからない。他の子供たちに捧げた愛情を、燈矢には与えてやれなかった。一緒に過ごせなかった分だけ甘えたいと思うのは当たり前のことかもしれない。
炎司は疑心暗鬼していた自分をひどく恥じた。二人きりでいることが当たり前だという燈矢に向かって、ありもしない裏側ばかり探り、目の前の言葉を信じてやることができない者が、何を父親だというのだろう。炎司は自分に抱き着く息子をぎゅっと抱きしめ、すまなかった、と語り掛けるように言った。
燈矢は父の胸に顔を埋めたまま動かず、しかし小さな声で、「信じていい?」と尋ねた。炎司は燈矢の頭を優しく撫でながら、柔らかな声で「ああ」と答えた。
燈矢は顔を上げると、目の前にいる父をじっと見つめていた。燈矢の目がとても幼く見えて、炎司はふっと笑みが零れる。
燈矢は先ほど買ってきた小さいビニール袋を漁ると、中からチューブ型の潤滑剤を取り出した。辱めたいとか、暴力的な意味ではなく、本当に父に甘えるつもりだったのだと思うと、炎司は燈矢がますます愛しくなった。
炎司は自分の足を抱えると、燈矢に向かって自ら股を開いた。それは燈矢のやりたいようにさせたいと思う親心で、その姿勢は少し恥ずかしくもあったが、喜ぶ燈矢を見ているとその恥ずかしさも無駄ではないと思った。
燈矢は潤滑剤を手に取ると、炎司の蕾に再び指を伸ばした。ぐいぐいとほじくるように指を押し込み、炎司の小さなクチがこじ開けられる。ようやく一本入り込んだ指を押し入られ、炎司はそれだけで息が詰まる。楽な姿勢を取ろうと大きく呼吸を繰り返したり、括約筋に力を入れたり抜いたりを繰り返すと、入り込んだ燈矢の指が少しずつ動き始める。
燈矢は挿入した指を引き抜くと、再び潤滑剤を塗りたくる。それを炎司の蕾に挿入しては引き抜いて、徐々に狭い中を広げていった。挿入を繰り返されるうちに、炎司も少しずつ慣れてきて、排泄をするように力むと、挿入が幾分楽になることに気が付いた。しかし排出される方向とは逆に、奥へ奥へと指を押し込まれると、ひどく違和感があって、あまりいい気分にはなれなかった。だがその分、無理やり押し込まれた指がするりと抜けていくことが少しずつ快感になっていて、炎司は自分の体が慣らされていく実感があった。
挿入される指が少しずつ増えていくと、静かだった燈矢の息がだんだんと荒くなっていく。興奮する息子を見ているのは気恥ずかしくあったが、それが自分に対する愛情だと思うと炎司はたまらない気持ちになる。
「お父さん、もう、いれていい?」
息の上がった燈矢は、つぎはぎだらけの顔でも頬が少しだけ赤みをさしていて、純朴だった頃の息子の姿を思わせた。荼毘と名乗り始めた燈矢が、これほど余裕のない表情を見せるのは初めてで、炎司は動揺が隠せない。まるで燈矢の気持ちが移ったみたいに、炎司もひどく緊張していた。
炎司が小さく頷くと、燈矢は自分のペニスを父のアナルに押しあてる。解したといっても、ペニスが入るにはまだ狭く、燈矢はなかなか挿入することができないようだった。二人は息を合わせ、燈矢は少しずつ腰を押し込んでいく。なんとか亀頭が入り込んだが、繋がった場所が痛くて、炎司の表情は歪んでいた。なんとか悟られないようにと平静を装ったが、それもすぐに見破られて、燈矢はごめんねと謝りながら、しかし二人の繋がった場所を解放することはしなかった。
潤滑剤を塗りたくったペニスの上からさらにぼとぼとと液体を落とし、二人の繋がった場所をなんとか緩めようと燈矢は試行錯誤する。無理矢理押し広げた炎司のアナルは皺が伸び切って、とても窮屈そうだった。燈矢はゆらゆらと腰を揺らしながら、ゆっくりと腰を押し付けて、膨らんだ竿がぐいぐいと炎司のアナルに押し入っていく。腰を進めるほどに奥は狭くなっていて、きつい締め付けで燈矢のペニスもずきんと痛んだ。それでも一度繋がった体を放したくなくて、燈矢は息を詰まらせながら炎司の体の奥まで入り込む。
ようやくすべてが収まったところで、燈矢は再び炎司の体に倒れこんだ。二人は汗をびっしょりと掻き、激しい運動をした後のように疲れていた。燈矢の体の下にいる炎司が呼吸をすると、燈矢の体が持ち上がり、繋がった場所もきゅうきゅうと収縮した。肌と肌が重なって、お互いの熱を交換するように、触れ合った場所から少しずつ体温が一つになっていく。遠かった二人の距離はゼロになって、その視線はふいにかち合った。炎司がぼんやりとした燈矢の目を見ていると、視界が一瞬暗くなって、自分の唇に燈矢の唇が重なった。燈矢の唇はすぐに離れていき、再び元の位置まで戻った。燈矢は黙ったままで、じっと炎司を見つめる視線も、何を考えているのかよくわからなかった。親子の愛情というには意味深で、炎司は燈矢から目が離せなくなった。
「っうう!」
燈矢は少しだけ体を持ち上げると、腰をゆらゆらと動かして、繋がった場所を揺さぶった。そのうち静かに腰を引いて、炎司のアナルからずるりとペニスが引き抜かれていく。
太い異物が体から抜けていく解放感に炎司の肌が粟立つ。しかしすぐに腰を押し付けられ、燈矢のペニスが炎司の奥を突く。ストロークはだんだんと長くなり、燈矢のペニスが抜けんばかりに引き抜かれると、一気に奥まで押し込まれる苦しさが強くなった。呼吸ができなくなる圧迫感がだんだんとクセになり、炎司の顎が上がっていく。
「ああっ、ああっ、」
太い杭を打たれるように、何度も何度も突き上げられ、炎司の口から零れる声が大きくなった。開いた口を閉じることもできず、炎司の喘ぎ声はひっきりなしに続いた。燈矢からは父の上顎が見えるほどで、炎司は体をのけぞらせて喘いだ。口の端からはだらしなく涎が零れて、拭うこともできずに炎司は燈矢の体にしがみつく。
繋がった場所から痛みがなくなったわけではなかった。燈矢は最大限気を遣ってくれていたが、初めての行為に炎司の体は簡単に慣れるわけにもいかず、狭い直腸を何度も開かれ、その度肉が切れてしまうような痛みが走った。
それでも、目の前にいる燈矢の姿を見ていると、痛みなんていくらでも我慢できた。必死になって腰を振り、気持ちよさそうにする息子が可愛らしくて、その欲をいくらでもぶつけて欲しいと炎司は心から思った。奥を突かれれば苦しさで声が出て、それは喘ぎ声にも似ていた。それによって燈矢を傷付けずにすむと思った炎司は、あえてその声を我慢することはしなかった。
「イク、イクよっ、お父さんッ、」
燈矢の声はか細くて、独り言のようにも思えたが、炎司は燈矢に答えるように優しく頷いた。燈矢はその日一番乱暴に腰を動かした後、父の奥を突いたまま射精した。自分の腕の中にいる燈矢がふー、ふーと大きく息をしていて、炎司は受け止めるように燈矢を抱きしめた。
徐々に呼吸が落ち着いてくると、背中を丸めていた燈矢が顔を上げる。父がまだ射精していないことに気付いて、伺うように炎司を見上げていた。
しかし直後、燈矢は炎司の顔を見て驚く。炎司の目は赤く、涙で濡れていたからだ。
炎司自身も、自分の目から涙がこぼれた理由は分からない。燈矢とのセックスが涙をこぼすほど痛かったわけではないのは確かだ。
「燈矢が……気持ち良かったら、いい……」
理由の分からない涙は止まらずに零れていて、恥ずかしいけれど、どうしようもない。炎司は少し息を乱しながら、強がるように燈矢に微笑みかける。
燈矢は父の萎えたままのペニスにそっと手を重ねると、ゆっくりと身を乗り出した。父の零れる涙を指で掬い取りながら、燈矢は炎司にそっと頬を寄せた。
終
2021/01/04