天使なんかと恋1
地球で生活という修行のために天界から降りてきた天使悟空は、誰にもバレてはいけないのにうっかりベジータにその正体を見られてしまう。
でもまあいいかとベジータに頼りながら学校生活をする話。
* * *
雲ひとつない空が一瞬黒く染まり、かと思えば突風に煽られ暗闇は消えてしまった。ベジータが強く吹いた風の方向に何気なく目を向けると、そこは遊具もない公園だった。公園の真ん中にはゆっくりと羽の生えた男が降りてきて、ベジータはその異様な光景に目を奪われる。男は静かに地上へ降りると、閉じられていた目を開き、きょろきょろと周囲を見渡した。ベジータはハッとして、男に気付かれないようにその場を後にしようとしたが、ぱちりと一瞬目があって、帰るタイミングを失ってしまった。
羽の生えた男は、あー!と大きな声を上げ、ベジータに近付いた。ベジータは男に追いつかれる前に走り出したが、男は一瞬のうちにベジータの目の前に移動していた。
「おめえ! 今の見てたんか⁉」
男は大声を出しながら詰め寄った。何やら見てはいけないものを見てしまったらしい。ベジータは何のことだとシラをきったが、男はベジータの言葉なんて信じず、溜息を吐きながら頭を抱えていた。
「わりぃけど、ちょっとの間泊めてくんねえか」
男は分かりやすく困った顔をしてそう言った。なぜその発想になるのかベジータには理解できなかった。
突然のことにベジータは呆然とし、言葉を失う。男の背中からいつのまにか羽が消えていた。
2020/09/19