一緒なら怖くない
付き合ってないしお互い好きっていう感情もない、ただの兄弟分の二人。
でも後半少し八戒のことを意識する三ツ谷。
精通が遅れてる八戒に兄貴として教えてやる三ツ谷の話。
* * *
三ツ谷が八戒の家に初めて遊びに行ったのは、二人が出会ってから一年以上経ってからだった。その間、八戒は何度も三ツ谷の家に訪れていて、三ツ谷も八戒の家に遊びに行きたいという話は出ていたのだが、八戒は頑なにそれを拒み続けていた。
理由としては、兄の大寿がとても厳しくて怖いので、とてもタカちゃんに会わせられないということだった。怖いと言ってもたかが知れているだろうと思っていた三ツ谷だったが、八戒の怯えた様子を見ると、三ツ谷は無理に自分の願いを通すことをしなかった。
そうして遊びに行くことを半ば諦めかけていた頃、八戒が嬉しそうな顔をして三ツ谷の元へ飛んでくる。修学旅行で大寿が一週間不在になるというのだ。三ツ谷以上に嬉しそうな顔をする八戒を見て、三ツ谷を自宅に呼びたかったのは八戒も同じだったことを三ツ谷は嬉しく思った。
当日、三ツ谷は妹達と一緒に柴家を訪れる。ルナとマナを柚葉に託すと、男同士の付き合い……などとマセたことを言って、二人は八戒の部屋にとじこもった。
とじこもったところでやることといえば、漫画や雑誌を読んだり、ゲームをしたり、お菓子を食べながらダラダラするだけである。しかし妹達がいないことで、兄としてしっかりしなくてはと思う気持ちが抜けた三ツ谷はいつも以上にリラックスして、八戒と男ならではの冗談を言い合ったりしていた。
雑誌に載っていたグラビアを指して、この子最近よく見るな、などと三ツ谷が言っていたら、急に八戒が黙りこくる。どうした? と三ツ谷が首を傾げると、実はね、と八戒が恐る恐る喋りだす。
「オレね、まだ、イッたこと、ないの……」
話が見えねぇ、と三ツ谷が少し困ったようにいった。
「セイツウってやつ……? なんか、勃ったりはするんだけど、その先ってなると、オレ、怖くなっちゃって……。クラスのみんなの中で、オレだけ遅れてんの」
タカちゃんはもうしてる? 八戒は可愛らしい顔をしてとんでもないことをいう。三ツ谷は顔を赤くして恥ずかしそうにしていたが、真剣に悩む八戒を前に茶化すことは出来ず、黙って小さく頷いた。
「ねえ、タカちゃん。オレがするの、手伝ってくれない?」
「え!?」
八戒はもじもじとしながら、上目遣いで訴える。
「ヘンなこと言ってんのはわかってる!」
「だったら……」
「でもオレ困ってんだもん! こんな話すんのもハズカシイのに……頑張って喋ったんだからね!」
謎の理論で意見を押し通そうとする八戒に呆れながら、困っている可愛い弟分を放っておけないのも三ツ谷の性分である。わかったよ……と溜息まじりで頷けば、三ツ谷は八戒とともにベッドに腰かけた。
八戒は下着を下ろし、まだ反応のないペニスを取り出す。いつもしているみたいにペニスを掴み、皮を引っ張りながら優しく擦り始めた。少しずつかける力を強くして、ゴシゴシと擦っていくと上るような気持ち良さが増していき、八戒の手の動きが早くなった。自然と目を瞑り、夢中になって擦っていると、隣にいた三ツ谷がなあ、と小さく声を掛ける。
「剥いたりしねぇの?」
三ツ谷のいう剥くとは、ペニスの包皮のことである。
「え、したことないけど」
「皮オナってエッチする時イきにくくなるらしいぜ」
八戒はムッとする。三ツ谷がよかれと思って教えたことが気に食わなかった。まだ精通もしてない八戒にその先のことなんてわかるわけがない。
しかし突然不機嫌になった理由が分からない三ツ谷は焦る。オレ、なんか変なこと言った?と素直に尋ねるが、知らない! と八戒はそっぽを向いてしまった。
「いいよ! オレのやり方ってヘンみたいだし! やめよ!」
「怒んなよ! 教えてやっからさ!」
ちょっとかしてみ。三ツ谷はそう言って八戒の手をどけて、少し硬くなったペニスを触る。本当は手伝うと言ったものの、実際に触る気はなかったのだが、こうなってしまえばやるしかない。
「いいってば!」
「ちょっと落ち着けって! オレに任せとけばいいから!」
言い合いをしながらもなんとか宥めた三ツ谷は、八戒のペニスを優しく握る。生暖かい感触と、包皮に覆われたペニスはまだふにふにと柔らかい。三ツ谷は痛くならないように少し擦って様子を見た後、八戒の包皮をゆっくりと根元に向かって下げていく。八戒は皮オナしかしたことがなかったようだが、包皮は亀頭からほぼ剥がれており、ゆっくりと剥けていく。
三ツ谷にペニスを触られている八戒は、ふう、ふうと小さく呼吸を繰り返した。騒ぎださないところを見ると、痛みはないらしい。三ツ谷はストロークをだんだんと大きくしていき、根元に向かうたびに亀頭が少しずつ顔を出す。
「あ、なんか……」
八戒が三ツ谷の服の袖をきゅっと掴む。皮が剥け、亀頭が見え始めると、外気に触れる範囲が広くなり、まだ敏感な亀頭は空気に触れただけで体が反応するのだ。三ツ谷は大丈夫、と安心させるように声を掛けながらもう一息といったところだった皮を全て剥き、八戒の亀頭をむき出しにした。
「痛かったか?」
「ン……へーき。……これが剥けたってこと?」
「そう」
初めて剝き出しになった自分のペニスを八戒は物珍しそうに見つめる。でも、オナニーはこれからが本番だ。
「ちょっとイテェかもしんねえけど、あんまり騒ぐなよ。みんなにバレっから」
八戒の部屋はリビングから一番遠いところにあるし、柚葉たちが覗きに来るようなことはないが、痛い痛いと騒げば八戒を心配した柚葉が飛んでくることだろう。こんなことをしているなんて知られてはマズいのは八戒も同じで、「わかった、タカちゃん」と八戒は覚悟を決めたように言った。
三ツ谷は自分の指を口に咥え、唾液をつけて濡らすと、八戒の亀頭を滑らせるように優しく撫でた。敏感な先端に触れられた八戒は大きく体を揺らしたが、零れそうになった声を無理やり飲み込む。ン、と籠った声がいやらしくて、三ツ谷は八戒が出した声なのにドキドキしていた。
「続けるぞ」
「うんっ……」
三ツ谷は人差し指で八戒の亀頭をすり、すりと何度か撫でる。触れるか触れないかの優しい手つきで、八戒が痛くならないように細心の注意を払った。
「どう?」
「だいじょ、ぶ……」
「気持ちいいか?」
「わかんない、っ。ちょっと痛い時もある……」
三ツ谷の服の袖を掴んでいた八戒の手は、いつの間にか三ツ谷の肩に移動していた。ぎゅっと力をこめて掴まれている様子から、八戒は相当我慢しているのだと思った。
剥けたばかりの亀頭というのはかなり敏感で、触られるだけで痛みを感じるほどである。八戒から漏れる先走りと、己の唾液を使い、三ツ谷はなるべく摩擦が少なくなるように努めたが、それでもまだ気持ち良い感覚を覚えるのは難しいようだった。
しかし、今回の目的は八戒の精通である。痛いばかりでは到底目標は達成されない。
三ツ谷は一旦亀頭を触るのをやめ、竿を掴んで上下に擦り始めた。亀頭の先端からとろとろと漏れる先張りで竿は濡れていて、最初に八戒が触った時よりも滑りが良くなっていた。
擦る力加減は自分がオナニーをしている時と同じくらいでいいだろう。三ツ谷はさきほどの優しいタッチとは一変して、ゴシゴシと強く扱き始めた。
竿を擦り始めると、深く皺を刻んでいた八戒の眉間が解けていく。ぎゅっと噤んでいた口が少しずつ開いていき、小さな喘ぎ声と共に甘い息が零れていた。
八戒がペニスの気持ち良さに目を瞑って没頭し始めたのを確認すると、三ツ谷はペニスを擦りながら再び亀頭を触り始めた。
「あッ!」
八戒は驚いて一瞬大きな声を出したが、慌てて口を手で覆った。三ツ谷はその様子を確認すると、もう一度亀頭をすりすりと撫で始める。
「ンッ、ぅウッ、!」
八戒は口を手で覆って必死に抑えるが、亀頭の刺激の強さに口を覆っていた手から力が抜ける。零れ出る声が抑えられなくて、八戒は三ツ谷の肩に口を押し付けて覆い隠した。
三ツ谷は間近に迫った八戒の顔を確認する。竿を擦られて気持ちいい感覚が勝つのか、亀頭を擦られても気持ち良さそうにしたままだった。
八戒の亀頭に触れる三ツ谷の繊細な指先は、少しずつ八戒を責めるような触り方に変わっていく。力は強めたりしないものの、触れる場所を亀頭の性感帯に絞り、八戒の快感を追い立てる。
三ツ谷は指先を鉤のように曲げると、八戒の鈴口を優しく叩く。
「っふうッッ」
八戒の体がビクビクッと大きく跳ねる。肩口に押し付けられた口から少し大きめの嬌声が漏れた。
三ツ谷はもう一度、指先を跳ねるようにして優しく叩く。撫でられる刺激のように継続的なものではなく、瞬間的に与えられる刺激に八戒は戸惑っていた。ノックされるたびに声が出て、八戒はまともに喋れなくなる。痛みの奥に感じる僅かな快感が少しずつ大きくなっていくのを、八戒の嬌声で三ツ谷も感じ取っていた。八戒の反応を見るのが楽しくなった三ツ谷は、イタズラするように何度も鈴口を刺激する。その間、竿を擦ることは忘れずに、ペニス全体から与えられる刺激で八戒は眩暈がしてくるほど参っていた。
やめて、という声を出すこともできず、アンアンと啼くしかなくなった八戒は、どうにか無茶をする兄貴分を止めようと、三ツ谷の肩を掴んでいた手に力をこめる。いでででで! と耐えきれなくなった三ツ谷が声を上げると、ようやく八戒を翻弄した手が止まった。
「タカ、ちゃん……ッ!」
三ツ谷の名を呼ぶ時の八戒はいつも弾んだ声をするが、この時ばかりは怨念めいた声色だった。
「わ、わりぃ……」
「遊んでたでしょ、いまっ!」
はー、はーと息を荒くしながら、怒りに満ちた声で八戒は訴える。三ツ谷は謝りながらも、八戒の様子にドキドキしっぱなしで半笑いだった。八戒が顔を真っ赤にして辛そうにしているのは、自分が扱いてやったペニスが気持ちいいからだ。手の中に包まれたままの八戒のペニスはすっかり大きくなり、とろとろと溢れる先走りがとまらない。さっきまで皮に包まれていたペニスは腫れたように少し赤くて、それほど敏感な状態になっているのがよくわかる。ペニスが硬くなった分だけこの行為の終わりが近い。
可愛い弟分に頼まれたこととはいえ、三ツ谷はすごくいけないことをしているような気分だった。兄貴分とはいえ、まだ中学生の三ツ谷にその背徳感はあまりに刺激的で、三ツ谷は八戒に対して兄弟を越えた欲が芽生えているのを感じていた。三ツ谷はそれを隠すように冗談っぽく笑い、話題をすり替える。
「それより、どうなんだよ。イけそうか?」
八戒は照れ臭そうに視線を逸らす。うん、と小さく頷いた。
「怖くねえか?」
「全然。ってか、それどころじゃねえって感じ」
八戒の顔が首や耳まで赤くなる。どういう意味なのか三ツ谷には分からなかった。
「タカちゃんにしてもらうのすげー気持ちヨクて……。ワケわかんねーうちに、イきそうになってる、……」
三ツ谷の顔も八戒につられて赤くなる。ソーカソーカ、と偉そうに返すが、三ツ谷の言葉は歪で、動揺の色が隠せていなかった。頭が真っ白になるほど感じている、ってあまりにエッチで、三ツ谷の頭もパンクしそうだった。救いなのは、八戒も自分のことで精一杯で、カッコイイ兄貴分がダサい態度をとっていたことに気付いていなかったということ。
三ツ谷はこれ以上会話を続けたらボロが出ることを危惧し、止めていた手を動かし始めた。再び竿を扱きながら、敏感な亀頭を優しく弄る。八戒はまた三ツ谷の肩に顔を埋め、口から漏れる甘い声を必死に押し殺した。
三ツ谷は突いていただけの鈴口を指先でかりかりと引っ掻く。ううー、ううー、と呻きながら、三ツ谷の体に掛けた八戒の手に力がこもる。
イキそうなら言えよ。三ツ谷が優しくいう。
「初めてって結構飛ぶから。ティッシュで覆わねえと、部屋汚しちまう」
八戒はコクコクと小さく頭を振った。
三ツ谷は竿を扱いていた手を止めると、親指の腹で裏筋を擦る。ン゛ーッ、っと一際大きな八戒の声が三ツ谷の肩に吸い込まれる。
「ここ、ヤバいだろ。気持ちいいか?」
三ツ谷の問いに八戒は反応できない。裏筋を責められることがこんなに気持ちいいなんて知らなかった。
「ンーッ、ゥウ゛ーッ、ンンーッッ」
裏筋を擦る三ツ谷の指はだんだんと力が強くなり、ぐりぐりと何度も往復する。八戒の太ももがピクピクと痙攣したかと思うと、貧乏ゆすりをするみたいに足全体がガタガタと小刻みに揺れ始めた。終わりが近いと思った三ツ谷は、八戒のペニスをしっかり握り、裏筋を責めながら全体を大きく扱いた。空いた手は亀頭を容赦なく責め立て、暴れる足を力づくで抑えつける。三ツ谷の肩に口を押し付けて声を我慢していた八戒だったが、終わりが近付いてくるとその抑えつけていた声もどんどん大きくなる。それでも必死に耐えようと、八戒は顔が隠れるほど三ツ谷の体にくっついた。
八戒のペニスを扱いているだけの三ツ谷は、つらそうな八戒に対して余裕そのもので、どんどん変化していく八戒の様子を余すことなくその目に収めていた。声を我慢させ、気持ち良さのあまりに動いてしまう八戒の体を抑えつけていると、無理矢理犯しているような感覚になって三ツ谷は少し心苦しくなった。だがそう思うたび己の手の中に収まるペニスを見て、三ツ谷は興奮する。どれほど八戒が辛そうにしていても、自分に触られていることが気持ちいいんだとわかると、三ツ谷の中にある小さな嗜虐心がくすぐられる。
このままイこうな? 八戒の耳元で三ツ谷が呟く。
その瞬間、小さなうめき声と共に、八戒の先端から白い液体が飛び出した。不意のことでティッシュは間に合わず、飛び出した精液は勢いよく絨毯の上に飛び散った。大きな一発の後も残った液体がどろりと溢れてくるので、三ツ谷は慌ててティッシュをかぶせる。
三ツ谷にしがみついていた八戒は力が抜け、そのままベッドへ背中から倒れた。肩を大きく揺らし、ぜーぜーと大きな呼吸を繰り返す。その間、八戒の飛び散った精液を、三ツ谷は必死になって拭いとった。
あらかたキレイにした後、三ツ谷は再びベッドに腰かけ、八戒の隣に座った。初めての射精の感想を尋ねたが、八戒は呆然としていて返事をする余裕がないようだった。
下着を戻す余裕もない八戒は股間をむき出しにしたままで、三ツ谷はティッシュでよく拭いたあと、ズボンごと洋服を直してやった。
ありがと、タカちゃん。お礼をする八戒に、またしてやろうか? と三ツ谷は返した。
直後、自分の失言に気付いて三ツ谷はハッとしたが、聞こえていなかったのか、八戒はぼうっと天井を見つめているだけだった。
2021/10/03