酒は飲んでも吞まれるな
両片思いな二人、酔った勢いでキスして慌てる。
* * *
男の子はいつでも背伸びしたい年頃で、それは御多分に洩れず三ツ谷と八戒もそうであった。二人は年齢確認もなく買えると噂の小さな商店でお酒を買い込むと、八戒の新しい自宅へと急ぐ。ユズハの監視下から抜けたそこは、二人がワルイコトをするのにちょうどいい場所となっていた。
レモン味の缶チューハイを開け、二人は乾杯をする。炭酸ジュースみたいな味のそれはアルコールが入っている感覚が薄く、二人はかぱかぱと飲んでいく。スナック菓子との相性も抜群で、2本、3本と開けていくと、二人はいつの間にか酔っ払い、互いの顔の赤さに笑い出す。小さなことでも面白くなってしまうのはアルコールが回っている証拠だった。
二人はひとしきり笑い合うと、疲れと酔いで静かになった。ぼんやりしてくる頭で二人の視線がかち合うと、何故だか視線が外せなくなる。じっと向き合っているうちに、二人の距離が近付いていく。その内二人は惹かれ合うように唇を合わせ、また離れていった。
それからの記憶は曖昧で、気が付くと三ツ谷は自宅に戻っているし、八戒は部屋で一人になっていた。
二人は一人きりになった後、自分の唇を確かめるように触る。もうないはずの温もりを感じながら、はじめてのキスを噛み締めていた。
どうしよう。
離れた場所でも二人の考えることは同じだった。
2021/10/24