アンドロイド1


AIみつや×人間はっかいのみつはち。ドラ○もんのごとく、家政婦のごとく、シバ家に住んでいるみつやです。シバ家の現状は原作沿い。はっかいは俺だけの兄貴が欲しかったのです。


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幼い記憶に残るのはいつも大寿に怒られている思い出だった。父や母の顔よりも眉間に皺を寄せる大寿の顔が八戒の脳に刻まれていて、いつしか兄の前では笑うことすらできなくなった。
可愛い弟を心配した姉・柚葉は、大寿に一つのお願いをした。それは八戒の誕生日に欲しい物を買わせてあげたいというささやかな願いだった。
八戒は毎年、長男の大寿に課題を出されてはそれをクリアできないでいた。簡単な課題さえ達成できぬものに褒美をやる資格はないと、八戒は自分の欲しいものを自由に買うことは許されなかった。まだ八戒は小さく、これでは可哀そうだと、たった一度でいいので何かを買い与えてやりたいと思ったのが柚葉の姉心である。
柚葉に対しても厳しくあった大寿だが、柚葉の言い分も一理あると受け入れる。それは大事なものができれば、それのために頑張ることができるかもしれないという考えだった。
八戒が十歳の時、それは与えられた。
八戒の願いは一つだ。
“本当の兄貴が欲しい”
それは大寿に対する恐怖から出た逃避にも似た願いだった。
その頃、世間では新型アンドロイドの話題で持ちきりだった。一台一台違うデザインには非常に高性能な人工知能を備えていて、それはまるで本当の人間のように動くとして予約が殺到していたのだ。
八戒の元に届いたアンドロイドはミツヤタカシといい、年齢は八戒の一つ上の設定だった。ミツヤタカシは性別を男とし、年相応の知能を持った上で、家事が得意なアンドロイドだった。
「よお。オマエが八戒か?」
ミツヤは近所に住んでいる男の子のように自然な振る舞いをした。まるで本当の人間のようで困惑した八戒は、ミツヤを連れてきた柚葉をちらりと見つめる。
「オマエだけの兄貴だよ」
柚葉はそう言って八戒の背中を優しく押す。八戒はおどおどしながら前に進み、柚葉の連れてきたミツヤを恐る恐る見つめていた。
「今日からヨロシクな」
ミツヤはそう言って、ニッと口角を上げて笑った。ミツヤの垂れ目気味の優しい眼差しは、八戒の心を温かい気持ちにさせるのだった。


2022/02/25