いつかの君はワインを嗜む1


<あらすじ>
原作軸。パラディ島作戦以来に顔を会わせたポルコは、随分変わってしまった幼馴染の姿に驚いていた。しかしその変貌ぶりは、年齢を重ねたゆえの単純な成長とは思えなかった。
ポルコがライナーの変貌ぶりに戸惑いながら、最終的にエッチなことをする話です。ライナーは過去に男と性的な経験がある設定があります。

*   *   *

   一

 久しぶりに見た幼馴染の姿は別人のように変わっていた。逞しい体と険しい表情はポルコの知るドベではなかった。ライナーはピークら戦士たちに連れ添われながら、命じられた作戦を達成することなくマーレに帰還した。ポルコがライナーと別れてから、五年以上の月日が経っていた。
 帰還したライナーはすぐさま軍事会議に集められ、パラディ島作戦の報告をした。パラディ島での出来事や島民の状況、同時に出発したはずの戦士たちはなく、なぜ一人なのか。その会議は連日続けられた。
 ライナーが会議から解放されたのは帰還してから一週間ほど経った頃だった。ポルコは真っ先にライナーの元に駆けより、兄であるマルセルのことを尋ねた。既にマルセルはパラディ島にいる巨人に食われ、ユミルという女が顎の巨人となっていることは知っていた。そして再びマーレに顎の巨人はもたらされ、今は弟であるポルコが継いでいるのだ。
 ポルコが知りたかったのは、誰よりも優れた戦士であった筈の兄が、なぜ真っ先に食われてしまったのか、ということだ。マルセルを食ったユミルに尋ねても、無垢の巨人である内の記憶は曖昧で、分からないという。
 「……報告書が全てだ」
 ポルコがいくら尋ねてもライナーはそういうばかりで、何一つ情報を漏らすことはなかった。ライナーは規律を守り、軍から公にされている報告書以外のことはどんなことがあっても話したりはしなかった。
 しかし、パラディ島について尋ねられると、ライナーはきまって憂いの帯びた表情をした。こみ上げてくるものを堪えるように話すライナーは、今にも涙を零してしまいそうなほど不安定に見えた。幼い頃、成績が悪くドベだと罵られたライナーも、こうしていつも我慢するような表情を見せたものだが、ポルコにはあの時の表情とは違って見えた。歳を重ね、大人になったからだろうか? だがポルコにはそういった単純なことではないような気がした。
 いつか教えろよ。どんな質問をしても無回答を貫くライナーに、ポルコはいつもそうやって会話を締めくくる。そしてポルコのその言葉に、ライナーはいつも無気力に返事をするのだった。

2019/09/30