グロテスクなライトの下で
未来軸。黒龍→トーマンで八戒が幹部している世界の話です。(八戒が色黒のやつ)
原作で三ツ谷が行方不明になっていますが、それより前、というか、それが起こらない世界というか……。
トーマン離脱と共に八戒と疎遠になった三ツ谷。その間オレの知る八戒ではなくなっていることに憂いながら、相変わらず八戒のことが好きで心配している。
そんな中、やることやろーぜっていう感じで二人はホテルへ行くことになってしまう。
細かい注意点。
原作ではビルの最上階でもなんでもないところで幹部会していますが、これはミツが生きてる軸なので場所が変わることもある、と思ってください。
* * *
ギラついた照明と金色の金具が目立つ椅子とテーブル。いつ見ても新鮮に悪趣味だと三ツ谷は思う。
六本木のハイタワービルの最上階にあるレストランの一室は、とある企業が一年中借り切っている。表向きは中規模の不動産屋だが、バックには巨大な反社会的組織がついている。
幹部の定例会は月に一度、その店で行われる。それぞれ自分が管理する組織の面倒を見るのに忙しく、幹部たちが顔を合わせるのはそこだけである。
約束の時間の少し前、三ツ谷は店の前に到着する。店の黒服にもてなされ、少しの間ラウンジにあるソファーに座っていた。
一分ほどあと、スーツを着た長身の男が三ツ谷と同じように現れる。色黒の男は昔、三ツ谷が弟のように可愛がっていた柴八戒であった。
「久しぶりだな。最近顔出してなかったろ」
三ツ谷はソファーに座ったまま、八戒を見上げるようにしていう。八戒はぼやっとした表情を浮かべていた。
「二人に任せてっからなァ〜」
八戒はそう言うと、三ツ谷を置いて先へ進む。案内しろよ、と黒服に横柄な態度を取っていた。
その後、幹部会は滞りなく開始された。今月の上納金の報告や、他所の組織の情報共有など、決まった議題に沿って話が進んでいく。特別な情報がなければ二時間ほどの食事をしている間に終わり、その後は解散だ。
三ツ谷は幹部会の後、帰ろうとする八戒を捕まえる。少し話そう、と三ツ谷は近くにあるバーへの移動を提案した。
八戒は昔、三ツ谷の部下だった。東京卍會がまだ子供の遊びだった頃、八戒は三ツ谷が務める弐番隊の副隊長だった。八戒は兄の大寿が黒龍の総長をしていた関係で、東京卍會を離脱。その後、三ツ谷は八戒と殆ど関わらなくなった。
三ツ谷と八戒が連絡を取らなくなった後も、三ツ谷は黒龍の噂をよく耳にしていた。総長であり、兄でもある大寿が八戒に殺されたこと。八戒が総長になった後も、変わらず黒龍は繁栄を続けていたこと。
幹部会の前、八戒が言っていた二人とは、八戒と共に黒龍の勢力を拡大させた九井と乾のことである。三人は東京卍會に入った後も、元黒龍組として特別な絆があった。
「オマエ、半間に釘刺されてただろ。ちゃんと付き合いしねーとまた怒られっぞ?」
幹部会の途中、八戒は適当な理由をつけて幹部会をサボっていたことを咎められていた。八戒は気にしていなかったのか、三ツ谷の言葉にあまり反応を示さなかった。
三ツ谷はそれから、適当に話を続けていた。このまま八戒を帰したくはなかった。子供の頃とは違うとはわかっていても、三ツ谷は八戒を気にかけずにはいられなかった。三ツ谷が八戒と離せる機会というのは、この幹部会を逃したら終わりだ。八戒の調子だと、次回も来るかどうかは分からない。
「タカちゃんさあ、すっかりメンドイこというようになっちまったな」
八戒は長い手を振り、豪快に頭を掻いた。気怠そうに片足を曲げて立つ姿は、粗雑でありながらも幹部らしい風格があった。
「オレとやりてーなら、バーじゃねえだろ?」
八戒はそう言って三ツ谷を壁に追い詰める。覆いかぶさるように壁に手をつき、八戒は三ツ谷を見下ろした。
「ホテルならオレが用意してやっからさ。久々にヤろーぜ?」
三ツ谷は小さく汗を掻く。部屋にいた幹部たちはすでに店を出て、部屋には三ツ谷と八戒の二人だけだった。
二人は八戒のベンツに乗り込み、八戒のシマであるホテルへと向かった。ホテルの一室は八戒の自宅の一つであった。
車内の二人は沈黙していた。八戒は愉快そうに東京の街中を窓から眺め、三ツ谷は思い詰めるように俯いていた。
二人は昔、兄弟のように仲が良かったが、同時に、恋人関係でもあった。マセガキだった二人はキスも、セックスも済ませた仲だった。その関係が終わったのも、八戒が東京卍會を抜けた時であり、当時の二人は別れの言葉も交わしていない。
三ツ谷は八戒を気にかけ、また兄弟みたいに仲良くやっていきたいと思っていた。恋人関係だったあの頃、三ツ谷は真剣に恋をしていたが、八戒が三ツ谷と同じように恋をしていたかはわからない。兄弟の延長でしかなかったといえばそうで、しかし、三ツ谷はそれでもよかった。歳を重ねた今、再び恋人関係になるとは思えず、だからこそ、兄弟の絆は不滅でありたかった。
しかし、八戒はそんな三ツ谷の思いを茶化す。半笑いでニヤつき、冗談のように下品なことをいう。もちろん、三ツ谷は八戒とセックスしたいなんて思っていない。ただ話がしたいだけだと三ツ谷が言えば、「ヤりてーって顔してる」と八戒はまた茶化すように言った。
八戒の自宅の一つとなっている部屋は、元々がホテルの客室なこともあり、これでもかというほど豪華だった。動物の剝製が飾られ、敷いてある絨毯は本物の毛皮だ。ソファーは真っ赤で、テーブルはガラス製。クリスタルの照明がキラキラと輝き、とても落ち着けるような場所ではなかった。
八戒はそんな部屋の中を鼻歌交じりで歩く。着ていたスーツをラックに掛ける仕草は成金趣味なこの部屋に嫌になるほど馴染んでいた。
「オレ準備してくっから。タカちゃんはテキトーにしててよ」
八戒は風呂に行く前からほぼ服を脱ぎ捨て裸だった。恥じらいもなく下着一枚で歩いていく姿に三ツ谷は複雑な気持ちになる。
三ツ谷は部屋の隅にあるソファーに座り、あらためて部屋を見渡した。八戒の様子から、この部屋に住んでいることは間違いないようだったが、とても生活感を感じられなかった。おいてあるものすべてが上質であることに違いないが、あまりにもできあがりすぎていて三ツ谷にはハリボテのようにも見えた。
疎遠になった間、八戒はすっかり人が変わってしまった。あの時の三ツ谷は、八戒がトーマンから離れることでこれほど人を変えてしまうなんて分からなかった。
八戒はすぐに風呂から上がった。兄の大寿を思わせる逞しい上半身を露にし、下半身はバスタオルを巻いただけだった。
八戒はベッドに寝転び、三ツ谷を手招きする。早くしようぜ、と遊びに誘うみたいに八戒は言った。
「オレ、マジでそんなんじゃねえって」
三ツ谷はソファーに座ったままいう。八戒は大口を開けて笑った。
「いーから! そういうの。お互い時間ねえ身だろ?」
三ツ谷は渋い顔をして、黙ったままだった。
「ハハ! タカちゃんは変わんねーのな。そういうガンコなとこ。懐かしもうぜ? 次いつできんのかわかんねえだろ」
八戒は立ち上がり、三ツ谷の腕を引っ張る。手加減のない腕力は、いまや三ツ谷の力をも超える暴力となる。引っ張られるまま三ツ谷は立たされ、二人はそのままベッドになだれ込んだ。
三ツ谷をベッドに引き込むと、八戒は三ツ谷の背広を脱がせ、ベッドの下に放り投げる。抗う三ツ谷の体を抑えつけると、八戒はベルトを外してズボンも脱がし、また放り投げる。服を剥かれる間も三ツ谷はやめろと言い続けたが、八戒はニヤついたまま自分のワガママを押し通した。
三ツ谷は八戒とセックスする気はなかったのだが、本気で嫌だと抵抗することはできなかった。兄弟のように仲良くしていれば幸せだという気持ちに嘘はないが、それでも、八戒に対する恋の気持ちが消えていたわけではなかったからだ。
「タカちゃん、今日は忙しかったのか? 汗の匂いするワ」
首元に顔を近付け、スンっと嗅いだ八戒がいう。
「やめろって!」
「いいじゃねえかよ。興奮するわ」
八戒は三ツ谷を押し倒し、下着の中に手を突っ込んだ。乱暴に性器を扱かれ、否が応でも三ツ谷の体に快感が走る。
「勃ってきた。元気いーじゃん」
八戒の手にくるまれた三ツ谷のペニスが上を向く。徐々に固く、大きくなっていく自分の分身に三ツ谷が顔を真っ赤にした。
タカちゃん、ここ弱かったよな? 八戒はそう言ってぱくりとペニスを咥えた。じゅくじゅくと下品に音を立て、八戒は美味しそうにペニスを頬張る。高速に上下する頭に合わせて三ツ谷のペニスは吸引を繰り返され、濃い先走りが溢れ出る。それが八戒の口の中で唾液と混じり、下品な音がますますひどくなった。
三ツ谷の着ていたワイシャツがじっとりと汗で濡れる。裸に剥かれた下半身は無理やり勃たされ、筋が張るほど立ち上がっていた。三ツ谷はベッドの上に仰向けになり、手足は投げ出されていた。まるで殴られて立ち上がれなくなったみたいに、三ツ谷の体から抵抗する力はなくなっていた。天井から注がれる悪趣味な照明は、三ツ谷の股間に埋まる八戒の焼けた肌を妖艶に照らしている。
八戒は勃起する三ツ谷のペニスの上に跨る。足をМ字に開き、三ツ谷に股間を見せつけるように腰をゆっくり落としていく。八戒の股の間には、三ツ谷と同じく固く大きくなったペニスが上を向いていて、三ツ谷は乱していた息をゴクリと飲み込んだ。
「あ〜、やべえ、クる……!」
八戒はうっとりしたように目を閉じる。二人の繋がった場所が三ツ谷からもよく見えた。
三ツ谷の大きなペニスを八戒のアナルが何の引っかかりもなく飲み込んでいく。ペニスを咥えこんで広がった八戒のアナルはいやらしく、三ツ谷は情けなくも一回りペニスを大きくした。
「久々ッ、なのにッ、……はぁっ、やべェ……!」
八戒は両手をベッドにつき、ガニ股の姿勢で三ツ谷の体の上を上下する。ローションと空気が混ざるぬちゅぬちゅとした音が、八戒の湿った声と交差する。
「あー、イイッ、タカちゃんのチンコッ、あ、アアッ、ヤッバ、アッ」
三ツ谷に跨った八戒は嬉しそうに尻を振る。眉を八の字に落とし、イク、イクと漏らす口は半開きで、いかにもスキモノといった姿だった。
「やっぱイイ、わ、っはぁ、ハハ、タカちゃん、あん時もッ、俺のこと弟って、言ってたのにッ、チンコ、デッカくして、さぁ……! ワリィヤツ、だよなァ……!」
三ツ谷が八戒のことを弟のように可愛がっていたことは事実だが、弟には持たない感情を抱いたのもまた事実だった。当時、三ツ谷は実の兄弟に恋愛感情をもってしまったような罪悪感で悩んだこともあったが、八戒が自分を慕ってくれるので、その罪の意識をいつの間にか忘れてしまっていた。
「お兄ちゃんって、よォ、はぁっ、弟とセックスすんのかっ、タカちゃんの中ではっ、さぁッ」
あの頃、兄として、三ツ谷は八戒に正しい選択を示したつもりだった。トーマンを離れ、本当の兄である大寿の下に着くことで、八戒がより立派な男として成長できると信じていた。
しかし目の前の八戒の変わりようを見ると、その選択は大きな間違いだったのだと思う。決して八戒を見放したつもりはなかったが、こうして追い詰めるようにいう八戒を見ると、恨む気持ちがあるのかもしれないと三ツ谷は思った。
三ツ谷は申し訳ない気持ちになりながらも、八戒の腰つきに己の体が情けないほど反応する。搾り取られるような締め付けに、三ツ谷自身もすぐにイってしまいそうだった。
八戒にされるがままだった三ツ谷は、一瞬の隙をついて腕を伸ばす。その手は八戒の後頭部を抑えつけ、三ツ谷は顔面をぶつけるように強引にキスをした。痛みが走るほど強くぶつかった唇だったが、三ツ谷はすぐに顔を傾け、八戒の唇と交差する。唇同士が優しく触れ合えば、三ツ谷は八戒の口の中に舌を入れた。二人の唇が深く重なったのはほんの少しの間で、三ツ谷の顔はすぐに引きはがされる。八戒の両手が三ツ谷の体を強く押していた。
どうせそうなる、と諦めるように思っていた三ツ谷だったが、直後、わななく八戒の姿を見て目を丸くした。締まりもなく、粗雑であった八戒の態度が一変し、三ツ谷と触れ合った口元を両手で隠し、淫らにくねらせていた体を硬直させていたからだ。それは三ツ谷が思うあの頃の八戒を彷彿とさせる姿だった。
「なんっ、で……!」
小動物のように震える八戒に三ツ谷の頭が覚醒する。
「あっ……!」
脱力していた体に力がみなぎると、三ツ谷は繋がったまま八戒を押し倒した。穴が開くほどじっと八戒の顔を見つめると、八戒は一層顔を赤らめ、ウブなあの頃に戻っていく。
三ツ谷は八戒の両足を抱えると、自分の腰を八戒の体に杭のように打ちつける。ア、と小さく漏らした八戒の声が裏返った。
「あっ、やだ、やだッ、」
三ツ谷が腰を振るたび、八戒は嫌だと顔を振る。さきほどの淫乱めいた八戒は鳴りを潜めていた。
三ツ谷は激しく腰を揺らし、八戒を責め立てる。八戒は大きな手のひらで目元まで覆い、遂には顔全体を隠すようになった。八戒のか弱い喘ぎ声は手の中にこもり、ほんの少しだけ三ツ谷の耳に届く。声色の甘さに三ツ谷は気が狂いそうになった。
三ツ谷は八戒にベッドへ連れ込まれた時からずっと苦しかった。売女のように自分を押し倒し、ペニスに食らいつく八戒の姿に失望していた。同時に八戒にガッカリする自分も嫌だった。八戒に対して他人事のように評価をくだす権利はないのに、自分が求めている八戒の姿ではないと考える身勝手さに自己嫌悪していた。
そして何もかも違ってしまったのに、自分のことを変わらずタカちゃんと呼ぶのが何よりも嫌だった。あの頃の八戒を求めても手に入ったりはしないのに、タカちゃんと呼ばれるたびに三ツ谷はどうしても昔の八戒を忘れることができなかった。
だが絶望のような気持ちで希望に縋り、祈りのように捧げた三ツ谷のキスで八戒は態度を変えた。三ツ谷は八戒が自分をタカちゃんと呼び続けることに意味があったのかもしれないと思った。
三ツ谷は八戒の名前を呼んだ。強く抱きしめ、八戒の心に呼びかけるように、何度も耳元で優しく囁いた。
八戒は三ツ谷のことを拒否するように顔を隠す。強く抱きしめられながらも自分の殻に閉じこもり続けた。
嫌がる八戒を無視して三ツ谷は強引に抱きつぶす。八戒に体を重ね、体重を掛けながら抑えつけると、三ツ谷は抉るように腰を突き上げた。
八戒の喘ぎ声がしゃがれたように濁る。甘い声が鼻にかかり、少し苦しそうだった。
三ツ谷は八戒が泣いているのかもしれないと思った。辛くて泣いているのかもしれないとも思ったが、三ツ谷は八戒を責める手を緩めなかった。
タカちゃん、やめてよっ、
その内、八戒が弱音を吐く。久しぶりに本音を聞いたような気がした。
『ヤりてーって顔してる。気付いてねえの?』
少し前の八戒の言葉がフラッシュバックする。自分のことを一番理解しているのは、変わらず八戒だけなのかもしれないと三ツ谷は思った。
* * *
どうでもいいオマケの話。
@八戒があんまり幹部会に出ない、出たくないのは、トップならではの面倒なことあんまりやりたくないから。
A八戒が色黒で幹部やってる時の三ツ谷の外見って出てないからどうしようかなあって思って、結果、三ツ谷の外見に言及するのはやめた。
あるとしたら、現時点では黒髪の遺影のやつかな。
とはいえ、万が一今後原作で出ることになったら、また違う髪型にされているような気がします。とりあえずロン毛ではないような気がする、とだけ。
B態度悪い八戒萌え〜な人にとっても、かわいい八戒ちゃん萌え〜な人にとっても、微妙な展開になっていますが、私的には態度悪いのを貫いてる八戒もいいし、可愛いのを貫いてるのもいいし、どっちも混ざっててもいいよね、というスタンスです。
この話の八戒は色々あっても結局どっちつかずのまま、流されに流され到達したという感じですので、ちょっとしたことで作っていた自分が壊れてしまう、的なことです
2021/10/09