心に悪魔を飼っている
睡眠姦。
魔が差して乱暴をしたミツヤと絶対に起きないハッカイの話。
ミツヤは絶対こんなことしないと思うけど!っていう話なのでミツヤ好きな人は注意してください。
* * *
キングサイズのベッドに高級マットレス。軽くて温かな布団に、今日のためにと八戒が用意した三ツ谷専用の枕。そのもてなしの心はありがたいものだが、あまりに普段の生活からかけ離れたものばかりだった三ツ谷には、いくらいい品物でもそう簡単に馴染まない。
その証拠に、寝つきのいいはずの三ツ谷は夜も更けた時刻に目を覚ました。慣れないものに囲まれた緊張のせいだろう。三ツ谷自身も驚きながら、しかしどこか納得するように、中途覚醒した体を起こす。どうせ起きてしまったならと、ベッドを抜けて用を足しにいった。
柴家の広い自宅を彷徨い、再びベッドへ戻る。三ツ谷は八戒の家に泊りに来ていて、二人は八戒のベッドに一緒に寝ていた。来客用の布団があるのだが、八戒が三ツ谷家に泊まる時はいつも横並びで寝ているので、同じように一緒に寝たいと八戒がせがんだのが数時間前のことだ。
三ツ谷が再び床に就こうとしたところ、不意に隣で寝ている八戒の寝顔を覗き見る。普段、隣にいる時は、ふにゃふにゃとした顔で間の抜けたことをいうヤツであるが、八戒という人間は非常に整った顔をしている。それは三ツ谷が初めて会った時から変わらない印象で、どれほど長い付き合いでも、ふとした瞬間に見とれてしまうほどの美しさがあった。成長をするごとに八戒の華やかさは増していき、中身の残念さが滲み出ないことが不思議に思うほどである。
八戒は三ツ谷にとてもよくなついている。そのせいで、同じ人間として感動してしまうほどの顔の美しさを、まじまじと見れないところがあった。美術品を眺めるような目線で見ていても、そんな三ツ谷の気持ちが分からない八戒は、黙っていないでかまって欲しいとじゃれついてくる。
かくして、三ツ谷と八戒の距離が近いほど、こうしてゆっくりと眺める機会はない。三ツ谷はしめたもんだとばかりに八戒の顔をじっくりと観察することにした。
八戒の坊主頭に刻まれたラインは三ツ谷がデザインしたものだ。形のいい後頭部に沿って剃りこまれたそれは三ツ谷自身も満足するほどいい仕上がりになっている。今は外しているが、普段、八戒の耳には大きなピアスがついている。頭の小ささを強調するようなごついピアスは長い首と細身の体をした八戒によく似合っていて、それを選んだのも三ツ谷であった。
つくづく、柴八戒という男を彩るに相応しいものを選んできたと三ツ谷は思う。アクセサリーも、髪型も、服も、八戒はすべて三ツ谷の影響を受けている。八戒は特別こだわりがなかったし、大好きな三ツ谷が選んだものであればと快く受け入れたものだ。
いまだ幼いところはあるものの、八戒は男として立派に成長した。それは一般的な男では持ちえないほどの美しさをともなう。
三ツ谷は時折、身内ながらも面食らってしまうことがある。その瞬間というのは、三ツ谷自身でも予想できない、思わぬタイミングだったりする。布団をかぶり、安心しきった寝顔を見せている今が、まさかその時になるとは三ツ谷自身も思っていなかった。
三ツ谷には妹がいる。その影響で、可愛い物やキレイなものへの関心が高い。今では自分自身がそれを好きだとはっきり言えるほど、三ツ谷は自覚的に好んでいる。しかしそれはあくまで心が動かされる感動を起こすものでしかない。だからこの頃の八戒を見て、美しさによる感動以外の感情が生まれることに、三ツ谷はまだ慣れていなかった。
八戒という存在は、三ツ谷のもつカテゴリーの中で区別できない存在だった。心を動かす美しさと、ほっと安心できるような居心地の良さを合わせ持ちながら、異性に抱くような欲情さえ感じさせる。
三ツ谷は同年代の男たちと比べ、性欲が薄い。肉欲以外に心を満たすものがあるせいだ。
しかし本能的な欲と、理性的な欲を満たす存在がいるとすれば。そしてそれが、手の届く場所にあれば。いかに清廉な三ツ谷とて、ただの未熟な子供に成り下がるだろう。
八戒は大きなベッドで無防備に寝ていた。美しい鼻梁と、彫刻のように刻まれた鎖骨と、成長期特有の不安定な肉体は、美しいものが好きな思春期の男を惑わせるには十分すぎるものだった。
その姿がいやらしいものだと気付いてしまうと、三ツ谷は途端に脂汗を掻いた。考えない様にしようと思えば思うほど意識して、八戒の首元にできた服の隙間に目が行った。小さく飛び出た八戒の喉仏に、三ツ谷はいいようのない妖艶さを感じていた。
ふとすると、八戒の足が布団から飛び出していることに気付く。いつもは一人で寝ているベッドに二人分の体温が集まれば暑くて当然だ。八戒は自然と布団を蹴ったらしい。身長にあわせて買ったパジャマは八戒の細身には大きくて、だぼだぼの裾から引き締まったふくらはぎが見える。
三ツ谷はカッと頬をそめ、視線をそらした。見てはいけないものを見てしまったような気持ちになって困惑する。
こんな状態で隣に寝る気持ちにはなれず、三ツ谷はしばしベッドの前で立ち尽くしていた。冷静になるまで頭を冷やそうと、真っ暗な部屋で瞑想のように目を瞑る。
ふー、と静かに呼吸を繰り返した後、三ツ谷はよし! と納得するように目を開けた。
もう大丈夫だ。そう思ってベッドに向き合うと、八戒がくるりと寝返りを打つ。やはりまだ暑いようで、八戒はかかっていた布団をまた蹴飛ばしていた。
「ン……」
寝苦しいのか、着ているパジャマを掴んだ八戒がもぞもぞと動く。少しでも肌を空気に触れたくて、シャツ型のパジャマをぺらりとめくった。まだ筋肉が薄く、なめらかな肌をした腹部が顔を出す。小さなへその窪みと、股に繋がる鼠径部の溝がむき出しになった。
三ツ谷は唖然とした。せっかく冷やした頭は一気に沸点に到達する。
茹った頭は三ツ谷の理性を吹き飛ばした。それは八戒と一緒に風呂に入ったり、海やプールに行った時に視界に入る時とは違う。
三ツ谷は明確に邪な意志を持って、八戒の体に手を伸ばした。八戒を起こさぬようにパジャマをそっと持ち上げる。
三ツ谷は八戒の上半身を更に露出させた。暗闇の中でもその肌の白さは発光したように目立っていた。きゅっと真一文字に唇を結んだまま、三ツ谷はごくりと唾を飲む。
三ツ谷は八戒の鼠径部に指を這わせた。表面を撫でるくらいでは八戒が気付く様子はなかった。八戒は両足を投げ出していて、三ツ谷はそっとズボンを引っ張る。暑さで寝苦しかった八戒は、脱がされることで肌が露出し、涼しくなるのを歓迎してか、三ツ谷がずるずるとズボンを下ろしていくことに抵抗しなかった。
下着までも露出し、股間の膨らみに引っかかると、三ツ谷はハッとして手を離す。
八戒はベッドの上に大の字になり、股間の途中までズボンを脱がされていた。ぐっすりと寝ていて起きる様子のない八戒だったが、ベッドで寝入る姿にしては異様な姿であることは誰の目にも明らかだった。
三ツ谷は肩を上下させ、大きく息を吸った。息苦しくてたまらなかった。三ツ谷は自分の犯した罪を自覚していた。
それでも、茹で上がった頭はそう簡単に冷静になれない。
三ツ谷は自身の下半身が熱くなっていることに気付いていた。目の前で服を乱され、それでもなお無防備に眠る八戒に、三ツ谷は危うい興奮を覚える。このまま黙って犯してしまえるような、そんな世迷言が頭に浮かんでいた。
妄想が三ツ谷の興奮を加速させる。放ってどうにかなるような昂りはとうに過ぎてしまった。三ツ谷のゆるいスウェットは股間に露骨な山を作って、三ツ谷の息苦しさが増していく。
三ツ谷はそっとズボンの中に手を入れ、己の股間を掴む。熱くて、すっかり固くなったそれは、先端からわずかにカウパー液が漏れていた。
三ツ谷は服を濡らさないように気を付けながら、軽く手で擦る。視線は乱れた八戒に向けられていた。ほんの少し触っただけなのに、視覚的情報の強烈さから、三ツ谷のペニスがまた一回り大きくなる。気を付けてどうにかなるレベルを超えてしまい、三ツ谷は下着から欲の塊を取り出した。
友人であり、家族でもある八戒を前に、三ツ谷は己のペニスを扱いた。露出した肌と、八戒の股間の膨らみを三ツ谷は舐めるように見つめていた。
三ツ谷はペニスを擦りながら、また八戒に近付く。膨らみで止めたズボンと、腰で履いた下着に引き寄せられる。
それ以上はいけない。そう思いながらも三ツ谷の体が、その手が、別の意志を持ったように止まらない。
三ツ谷は薄い布地を指先に引っ掛け、肌に引っかからないように持ち上げる。ゆっくり、ゆっくり、八戒を起こさないように少しずつズラしていく。生えてきたばかりの陰毛が見えると、三ツ谷の指が少し強引に動いた。肉欲は三ツ谷の脳より先に指先に届いていた。
その時、フッと大きく息漏れの音がする。三ツ谷はビクッと体を揺らし、欲望に従った体が止まった。三ツ谷の体に滝のような汗が流れる。
三ツ谷は恐る恐る、自分のものではない吐息の方向へ視線を向ける。八戒の眉間には皺が寄っていた。
八戒は起きている。それも、随分前からのように思えた。それははっきりと意志を持った表情だったからだ。三ツ谷はゾッとして、暫く八戒の顔を見たまま動けなくなった。
しかしどれほど時間が経っても、八戒は目を開けない。やはり寝ているのか? 寝ぼけているだけなのか?
三ツ谷の息ははっきりと荒かった。まだ寝ているかもしれない八戒のことを気にして抑えられる余裕はなかった。犯行現場を押さえられた犯人とは得てしてそういうものである。
だがどれほど待っても八戒は起きてこない。
やっぱり寝ているのだ。
三ツ谷ツ谷はそう思うことにした。それは罪と向き合うことが怖かった三ツ谷の防衛本能だった。
三ツ谷は止まっていた手を動かし、八戒の下着を下ろした。その手つきは荒っぽかった。
三ツ谷はどこかで分かっていた。八戒は既に目覚めていて、起きていると言えないのだと。
八戒の立場から考えてみれば、それは当然のこととも言えた。本当の兄のように慕い、格好良いと惚れ込んでいる相手に乱暴され、はっきりと抵抗できる者が果たしてどれほどいるだろう。動揺と失望、受け入れ難い現実。強い戸惑いでどうしたらいいか分からなくなることは想像に容易い。
しかしこれが現実ではないと思い込めば、自分の信じた世界を壊さずに済む。八戒は心より信頼した兄貴分を失うこともない。夢か幻か、何かの間違いか、八戒はそうやって現実を放棄しているのだ。
三ツ谷はそれを利用していた。利用するしかなかった。今更ごめんなさいなどと謝れるわけがなかった。そしてすぐに終わらせればいいだろうと考え、焦り、それが粗暴な態度に現れていた。
八戒は三ツ谷に服を脱がされ、下半身が露出する。無反応で綺麗な性器が下を向いていた。
三ツ谷は八戒の体にそっと触れる。まずは上着の隙間から手を滑り込ませ、胸を触った。ゆっくりと撫でて、手のひらに小さな突起が引っかかると、三ツ谷はそれを指で摘み、軽く引っ張った。八戒の体がビクッと揺れたが、ただの寝返りと決め込んで、三ツ谷はその行為を続ける。すりすりと指で擦ったりしていると、八戒の乳首が少しずつ固くなっていく。
乳首を弄んだ後、三ツ谷の手は腹を触り、鼠径部を撫でる。いやらしい手つきは少しずつ股間に近付いていく。
三ツ谷は太ももを軽く揉んだ後、八戒の小さなペニスに触れた。皮を被った幼いペニスだった。
この歳の頃の一年の差は大きい。単純な身長は八戒の方が大きくても、体の成長は三ツ谷に及ばない。
三ツ谷は八戒の柔らかなペニスを優しく揉んだ。包皮を引っ張り、軽く擦ってやる。八戒のペニスは少しずつ硬く、膨らんでいき、包皮がすんなりと剥けていく。亀頭はピンク色で、優しく触ってあげないとまだ痛みを伴うような、子どもの器官だった。
三ツ谷は指で軽く掴み、皮を引っ張るように扱く。さらにむくむくと膨らんでいくのを見ながら、三ツ谷は自分のペニスも擦った。
三ツ谷は八戒のペニスをじっと見ながらも、女体を見た時のような恥ずかしさや興奮はなかった。女体のような興奮はないのに、三ツ谷は八戒を触るのをやめなかった。
三ツ谷は夢中になっていた。三ツ谷にとってもう一つの家族で、友人で、美術品でもあった八戒の、見たことのない姿への興味。白いシャツから伸びる首と喉仏を妖艶だと思った先にあるものへの興味だ。
三ツ谷の表情は至って普通だった。観察対象への態度として、いつも以上に冷静だったといってもいい。
しかしその表情に反して、下半身へ熱が集まり続ける。水着のグラビアで初めて抜いた時より八戒を注視して、三ツ谷の瞬きは少なかった。
三ツ谷は指で挟む程度だった八戒のペニスを握りしめる。自立するほどに大きくなったそれをしっかり擦る為だった。
三ツ谷はゆっくりとしたストロークから始めて、徐々にスピードを上げていく。八戒のペニスはすぐに完全な勃起状態となった。仮にも眠り姫となっている者に相応しくない状態だった。
三ツ谷は八戒のペニスをゴシゴシと擦った。先走りで三ツ谷の手が濡れるほどだった。
こんな状態でまだ起きていないと言い張るには無理があった。それでも、八戒は絶対寝ている自分を貫いた。
二人の様子ははたから見て滑稽だった。明らかな狸寝入りを決め込む八戒と、寝ていると自己暗示しながら八戒に乱暴する三ツ谷。暗闇の部屋には丑三つ時の魔物がいる。
三ツ谷は自身のペニスと八戒のペニスを合わせ、手で包んで二本を扱いた。二つの肉棒は裏筋が擦れ合い、三ツ谷の手のひらには生々しさが並んでいた。
三ツ谷は兜合わせにした二人のペニスを自慰の如く扱き続け、遂に射精した。三ツ谷の吐き出した精液は八戒の腹に飛び散る。八戒は勃起していたものの、射精には至っていない。
三ツ谷は自身のペニスを根元から先端に向かって扱く。中に残っていた精液はぼたぼたと八戒のペニスに落とし、満遍なく塗りつけた。
三ツ谷は白濁の液体に汚れた八戒のペニスを再びしっかりと握りしめる。濡れたそれは滑りが良くなり、三ツ谷は先ほどよりも素早く上下に扱いた。
八戒は目を瞑ったままで、いまだ寝たふりを決め込んでいる。ペニスは勃起していたが、なかなか射精に至らなかった。
三ツ谷は八戒のペニスを容赦なく擦り上げる。イかせるまで絶対に終わらせる気はなかった。
その内、八戒は少し股を閉じる。下半身に力を入れて、我慢しているように見えた。
三ツ谷は目を瞑り、じっとする八戒を真顔で見つめる。手は八戒のペニスを掴んだままで、離すつもりはなかった。先走りがダラダラと溢れ、クチュクチュといういやらしい水音がどんどん大きくなる。
一瞬、八戒の体が大きく揺れた。体がピンっと張って、八戒のペニスが勢いよく射精する。亀頭から大量の精液が飛び出して、八戒の腹がドロドロに汚れた。
三ツ谷は自分でした時と同じように、八戒のペニスも搾り取るように扱く。ドク、ドクと粘性の高い液体がこぼれ落ち、三ツ谷の手を汚した。
全て吐き出し終わると、三ツ谷は近くにあったティッシュで自分の手と八戒の体を拭いた。ティッシュで拭き取ったくらいではベタつきは取れないし、部屋には生臭いにおいが充満している。
そんな違和感しかない闇の中で、三ツ谷は八戒の服を整えた。布団を被せて汗とキツい体液を無理矢理覆い隠す。
三ツ谷自身も服を整え、ベタつく手を気持ち悪いと思いながら布団の中に入った。
これから寝て、朝になれば、今起きた全てはなかったことになる。そういう暗黙の約束が結ばれている。
三ツ谷は隠れるように布団を被らながら思う。魔が差したんだと。これは本意ではなく、いつもの自分であれば絶対こんなことをしないのだと。
三ツ谷は自分に言い訳しながらも、本当はそれがどういうことかわかっていた。自分を差した悪魔を飼っているのもまた自分だということを。
2021/12/21