グレイゾーン18


悟空が惑星ベジータでの家元を出てから幾日、悟空は修行の日々を過ごしていた。野外での鍛錬と王宮のトレーニングルームを往復し、体を休めるのは持参したホイポイカプセルの家である。ベジータと関わっていくことで、サイヤ人への理解が深まった悟空は、久しぶりにギネの元へと顔を出す。
家にいたのはギネが一人で、父や兄はそれぞれ軍の仕事に従事しているという。父は何日か前に遠征に行ったっきりで、次に帰ってくるのは一週間後らしい。ギネの口から聞く“遠征”という言葉に胸が痛くなるが、悟空は素知らぬふりをして飲み込んだ。
ギネは悟空が帰ってきたことが嬉しくて、初めて会った時のようにとびきりの料理を振る舞った。息子を思うギネの姿を見ていると、サイヤ人だって地球人とそう大きく変わらないのだと悟空は思う。子供への愛情は深く、冗談を言って笑うことだってある。それは街の人々も同じだ。他所の星に遠征し、略奪行為を続けているとは思えないほど、人々はとても優しい。
悟空は人々の暮らしを観察するように見ながら、なぜ戦いでしか生きていけないのだろうと思った。だが悟空自身、強い相手が見つかると無意識に胸が高鳴ってしまう気持ちはあり、サイヤ人がこうやって生きてきたことに大きな理由はないのかもしれないと思った。
悟空は自分の思う正義が正しいことなのか、いまだに考えていた。だがサイヤ人の人々が楽しく生きている姿を見ていると、略奪や殺戮行為をやめて欲しいという気持ちはより強くなった。サイヤ人が楽しく生きているからこそ、他所で楽しく生きている人々を脅かして欲しくはないと思った。


2020/12/06