グレイゾーン19
手合わせをしていた悟空とベジータの体がほぼ同時に止まった。悟空はぞわぞわと全身に鳥肌が立つほどの巨大な気配が、多数の気に混じって近付いてくるのを感じ取っていた。ただごとではないと察した悟空が、一体何事なんだとベジータに尋ねる。
「フリーザだ……」
ベジータはただ一言だけ呟くと、気配の方向に視線を向ける。
「やべえ敵なのか?」
「クソやろうだ」
ベジータはにやりと笑ったが、額にはひとすじの汗が流れる。今日はもうおしまいだと言って、ベジータは悟空との手合わせを切り上げた。
力になろうか、と悟空がいうが、ベジータはふっと小ばかにしたように笑う。きさまがいても邪魔なだけだと言って、ベジータは静かに去っていった。
悟空はベジータの様子が気がかりで、こっそりと城を飛び出し、後を追った。ベジータは正装に着替えると、城内にある広場へ足を運んだ。宇宙船が離着陸できるように作られたそこには、フリーザとその一味と思われる軍勢が集まっていた。
フリーザと思われる人物はすぐに分かった。どれほど抑えていても溢れ出る気の量が圧倒的だった。ベジータは父親のベジータ王と共にゆっくりとフリーザに近付き、挨拶をしているようだった。フリーザを国賓のようにもてなしているようである。
会話の内容は分からない。ただ、ベジータの表情や仕草に、両者の関係が見て取れる。フリーザにかしずき、へりくだる姿は、悟空にとってとても新鮮なものだった。そして同時に、作られた表情を浮かべるベジータを見ていると、二人の関係が決して良好ではないことがうかがえる。フリーザをクソやろうと評していたのも、おそらくそういったことが起因するのだろう。
暫くその場で話したあと、フリーザは再び宇宙船へ戻っていった。
残されたベジータを含むサイヤ人たちが、宇宙船を見守りながら殺気立っていたことが印象的だった。
2020/12/06