今日は仮面をつけての舞踏会。コトカより一足早く会場に入った俺はコトカを待ちながら会場の雰囲気を少し探る。男も女の子も煌びやかな服装をし、顔を一部隠すものや鼻から上が全て隠れるものなど様々な仮面をつけている。個性が出ていて面白い。
グラスのシャンパンを一口飲むと多くの男の視線が入り口に向かった。まさか、と思い入り口に視線を向けるとそこには顔の半分を隠す仮面をつけたコトカがいた。問題はそのドレス。胸元が深く開いたドレスを身に纏ったコトカに男達の視線が必然と向かう。いつもはもっと露出度の低いドレスなのに、なんで。
コトカは俺の胸に宿る嫉妬心を知らない。他の男達に声をかけられる前にコトカのもとへ行き、何も言わずコトカの手首を引き足早にバルコニーに行った。
「ヒノト、どうしたの?」
状況を把握できていないコトカをちょうど会場から死角になる所でコトカを壁に追い詰めてその深く開いた胸元に指を這わした。
「こんなの着て他の男にいやらしい目で見られたかったの?」
少し怒気を纏った声色に怯え、胸に這わされている指に羞恥。その二つからコトカが少し震える。けど、どれだけ俺がコトカのことを独り占めにしたいのかもっとちゃんと、教えないとね?
「コトカは、俺だけのものだ」
開いた胸元に唇を落とし吸い上げる。
そうするとそこには濃い朱色の印が出来た。
「…これじゃ恥ずかしくてここにいられないよね」
そこからコトカを見上げるとコトカは固まっていた。ほんのり頬が色づいている。
着ていたジャケットをコトカに羽織らせ、来たばかりの会場を去る。招待人には後から使いの者を行かせて謝罪しよう。
「コトカは無自覚すぎ」
「ヒノト、痛いよ」
コトカの手首を握る力が制御出来ない。
コトカに返事をしないまま会場近くに取ってたホテルに直行し、部屋に入った瞬間コトカの唇を奪った。
「ん…はっ…薔薇もコトカの心も体も全部、俺のものだ」
息つく暇も与えない。こんな胸元の開いたドレスがもう着れないようにそこにもっと沢山、俺のものだって印を刻み込んであげる。
「コトカ、好きだよ。どうしようもなく、好き」
仮面では隠しきれない俺の嫉妬心も今日、強く心に刻んで。