壁を滑り下りるように床に寝かされたわたしの中にはまだイナミがいて、わたしはもう何度も達したというのにイナミは『まだ、夜は始まったばかりだよ』と顔中に口づけを降らせた後、また緩く動き始めた。
押し寄せる快感に、わたしの体はまた反応してびくびくと震え出す。それと同時に声もまた漏れ始めて、ちゅくちゅくと音を立てる繋がっている場所も、肌と肌がぶつかりあう音も全部、羞恥を煽られて。わたしはわたしじゃないみたいな声でなくことしか出来ない。

「はっ、コトカのナカ気持ちいい、」
「あっ、あんん、ひぅ…」
「コトカ分かる?コトカの腰も揺れてるよ」
「う、そっ、」
「嘘じゃないよ。オレのもっとほしいって言ってるみたい」

耳元でイナミの熱い吐息と熱を帯びた声が響き渡る。反射的にきゅん、とそこを締めつけてしまって、それがイナミは嬉しかったのか熱っぽい視線でわたしを見て笑って、ぐっと奥を押し上げる。
声にならない声が、息の詰まりそうな圧迫感が、わたしを貶める。どんどん溶かされて、体が熱くてたまらない。イナミが与えてくれるものが、気持ちよくてどうにかなってしまいそう。わたしの体は、いつからこんなにいやらしくなってしまったんだろう。

「コトカ、片足オレの肩にかけるよ」
「ひ、や、だめっ、」

わたしの言葉なんて無視してイナミの肩に片足が乗せられて、わたしとイナミは十字路みたいに交差して交わる形になる。

「コトカ、体やわらかいからこの体勢でも唇あわせられる」
「ふぅ、んんっ…」

わたしの奥を突き上げながらイナミはわたしの唇を塞いで、舌を絡めとる。
息苦しさの増したわたしの体は酸素を求めるけど、それをさせまいとイナミの舌が深く私の唇を塞いで、上手く息が出来ない。それなのに、追い討ちをかけるように胸の先と繋がっているその上の芽を摘み取る。
わたしの体は一層きゅうきゅうとイナミを締めつけているのに、イナミのそれはそれをものともしないみたいに中で暴れまわって、硬く大きくなっている。

「やぁ、いな、みっ、も、だめぇ…」
「うん、何度イってもいいよ。かわいいコトカの顔何度もオレに見せて」

くぷ、じゅぷ、と響く音はわたしたちから発せられて、やまない。
滲んだ視線の先、イナミは汗をたらしながらわたしの顔をじっと見つめている。恥ずかしい、こんな顔、見ないで。

「ひ、あ、…ああっ!」

攻められて、また達して、もう息も絶え絶えなのに、体力だって残ってないのに、イナミはまだわたしを求めてくる。
怖いくらいのイナミの体力。いくら一週間会えなかったからってこんなに、求められるものなの…?

「またかわいくイけたね、コトカ」

口づけを一つ。ちゅ、と小さな音を立ててされたかと思ったら今度は四つん這いにされて、背中からイナミに覆いかぶさられるように抱きしめられた。

「い、なみ…?」
「まだ、だよ。コトカ」

ああ、どうしよう。わたし、イナミにまだまだ溶かされてしまうみたい。
いや。だめ。どっちを言ってもイナミは止まらない。

わたしは諦めてイナミに求められるままになくしかないらしい。