コトカの様子がおかしかったから、何があったか聞いてみたらコトカはいつもオレがちゃんと満足出来ているのかと、オレがいつも一度しかイっていないことを気にしていた。
恥ずかしさからか後半の言葉は聞こえるか聞こえないかくらい声が小さくなっていって、握っている手は熱くなって。きっと赤くなっているであろう顔を隠すために声をかけても顔を上げてくれない。

「それってさ」
「……」

コトカはただただ自分が言ったことの恥ずかしさに耐えている。コトカにとっては恥ずかしいことだったんだよね。それを勇気を出して言ってくれてありがとう。でもね、それって恥ずかしいことじゃないとオレは思うんだ。
だって、コトカのその言葉に一瞬驚いたけど、その後は嬉しさしかないんだよ。

「オレがちゃんと気持ち良くなってるか気になるってこと?」

コトカが息を飲むのが分かった。当たったんだね。コトカの思ってたこと。それも嬉しくて、今にも力一杯に抱きしめてしまいたくなるけど、少し我慢。
握っていた手を離して片腕にコトカが座るように抱き上げ、空いている手でそっと重力で下がっていたコトカの髪をコトカの耳にかけた。

「コトカ、かわいい」

やっと見れたコトカの顔はやっぱり赤くて。髪を耳にかける時に触れた頬も耳も熱くて。ああでも少し涙目だ。

「コトカ、教えてくれてありがとう。オレ、すごく嬉しい」

オレのことを考えていてくれたことも、いつもは心に置いておく言葉をこんなに赤くなりながら言ってくれたことも、全部、嬉しい。コトカが大好きだよ。ううん、もっと大好きになった。
コトカのことを知る度にコトカのことを好きになっていくから、本当にコトカなしじゃいられなくなりそう。

抱き上げたコトカに少し首を伸ばして触れるだけの口づけをする。
バランスを取るためなのか、はたまた他の理由からなのか、オレの肩に乗せられるコトカの両手。触れた場所がコトカの熱で侵食されていく。その熱が優しくて、けど中毒性があってオレは触れるだけの口づけを繰り返した。
唇を離せばお互いの吐息は熱くて、くすぐったい。潤んだコトカの瞳にオレが映る。熱を持ったオレの瞳にはコトカが映っている。だって、ここにはオレたちしかいないし、今オレたちはオレたちしか見ていない。

「本当はね、こうして触れるだけでも幸せなんだ」
「え…?」
「コトカに触れるだけで気持ち良くて、幸せ」

頬に、鼻先に、瞼に。コトカの顔中に触れるだけの口づけをしながら言葉を紡いでいく。
コトカが伝えてくれたから、オレもしっかり伝えないと。コトカにもオレの気持ち知ってほしい。

「けどもっとコトカに触れたくて、コトカに気持ち良くなってもらいたくて、コトカのこともっと深くまで知りたくて…昨日みたいにいつもコトカに無理させちゃう」
「そんなこと、」
「腰、痛いでしょ?」

コトカの顔に赤みが増して、その熱を感じたくてまたそこに口づけをする。

「いくら解したとこでコトカへの負担が減るわけじゃないのに、コトカの溶けていく顔が可愛くて歯止めが利かない。…自分でも時々コトカのこと壊しちゃうんじゃないかって思う」

ゆっくりと敷かれている布団へコトカを下ろし、そのままそこに寝かせた。

「いな、み?」
「…初めてコトカと一つになったのもここだったよね」

コトカの指を絡め取り布団に縫いつける。今でも覚えているあの時の嬉しさとコトカの痛みに耐えながらもオレを受け入れてくれた顔。

「コトカになるべく痛みを感じさせたくなくていつも意地悪しちゃう」

奥まで濡らして、気持ち良さが勝るように弱いとこを刺激して。けどコトカの溶けた顔に煽られて言動が意地悪になってしまう。でも行為中の痛みがなくなっても行為後の痛みまでは消せなくて。

「コトカ、オレ、いつも気持ちいいよ」
「…ほん、と?」
「うん。コトカだから気持ちいいし、幸せ」

コトカの痛みがオレに少しでもいいからくればいいのに、と思う。

「それからもっとコトカと深く繋がりたいって思う。心も、体も」

熱を分けるように、なじませるようにコトカに体を重ねた。
着物越しでも分かるくらい、お互いに熱い。

「昨日の今日でごめんね。また、コトカとしたくなっちゃった」
「っ、」
「今日は昨日のこともあるから無理はさせない」

コトカの口内に舌を潜り込ませて、熱を絡める。
コトカも自然とオレの動きにあわせて舌を動かしてくれて、それがいつも嬉しくて。この気持ちが全部、コトカに伝わればいいのに。











着物を脱ぎ捨てて、肌と肌とが触れあう。
熱くて溶けてしまいそうなのに、溶けなくて。湿った音が響き渡って。コトカの甘い声がオレの耳を揺さぶって。

「あっ、や、なんかっ」
「はっ、…気持ちいい?」
「ん、っ、ゆっくりな、のに、あっ!」

ゆっくりとコトカの奥を突き上げながら口づけを交わす。

「オレも、気持ちいいよ、コトカ」
「は、ん…ひゃ、」
「かわいい、コトカ」

何度もかわいいって囁いて、気持ち良さに耐えるようにオレにしがみついてくるコトカが愛おしくて…ああ、ほんと、コトカ中毒かも。

「んっ、…そろそろ一緒にイこ?」

頷くコトカに今日一番深い口づけを。
ぎゅうっと抱きしめて、コトカの深い深いとこにも口づけて。オレたちは深く一つに繋がった。