可愛い同居人
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「うーん、なかなか売れないなあ……」

思わずそう呟いたのは、老舗のペットショップ『犬猫かぷりちお』の雇われ店長の岩田だ。
この店では犬や猫をメインに取り扱って来たが、近年では、数年前に愛玩動物を人間とコミュニケーションが取れるように人寄りに改良したペットも取り扱うようになっていた。

「特別可愛くないわけでもないんだけどな」

人型のペットは通常の檻じゃなく、昼間は中を覗けるマジックミラー貼りの部屋で種別に三、四匹ずつ詰めている。
決して手頃な値段ではないが、近年のブームもあって飛ぶように売れている。

その中でもネコ科の人型ペットは人気が高く、入荷した側から順に売れて行く。
そんな中、一匹のミックスの白猫だけが、入荷してから三年過ぎても売れてはいなかった。

人型ペットは、一歳までは、一ヶ月に人間の一歳に当たるスピードで成長する。
一歳だと人間の十二歳に当たり、それからは人間と同じペースで成長して行く。

売れない子の年齢、四歳は人間だと十五歳に当たる。
十五歳を過ぎると売れるのは難しく、このままだと確実に売れ残ってしまうだろう。

売れない子は少し人見知りなところがあって、他の子のように愛想よくは笑えない。
たまに見せるはにかんだ笑顔は最高に可愛いんだけど、それをお客さんの前で見せないことには何も始まらない。

「タマ、ちょっといいかな?」

客足が途絶えた隙を見計らって、岩田は静かにドアを叩いた。



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