誕生日


 ピピピ、と軽いアラーム音が鳴る
 普段はそういう行為中はスマホをマナーモードにしているのに今日だけはわざと音が聴こえるようにしていて、何故だろうと思ってはいた。

「あっ、れいじ、まってストップ」
「? どうしたの?」

 サラはアラームを止め、今度こそスマホをマナーモードに切り替えると嶺二に顔を向き直して、頬に手を添えると優しくキスをする。

「……お誕生日おめでとう、嶺二」
「……! もしかして、その為にアラーム付けてたの?」
「だって、嶺二の誕生日を一番にお祝いしたかったんだもん」

 真っ直ぐに向けてくるサラの愛が暖かくて、眩しくて、愛おしい。そんなサラを思わず抱きしめる。腕の中でサラは少しだけ抵抗する意志を見せたが、すぐに背中に腕を回した。

「ありがとう、サラちゃん。ぼく、すっごく幸せ者だ」
「……生まれてくれて、私と出会ってくれてありがとう。大好きだよ、いや、愛してる」

 いつもは恥ずかしがって、あまり直接的な言葉は発しない彼女だけど、今日ばかりは沢山の愛の言葉が送られてくる。そんな様子に嶺二は思わず目を丸くするが、すぐにはにかんだ笑顔へと切り替わった。

「サラちゃんがそこまで言うなんて珍しい! 可愛いなぁ、ぼくもサラちゃんのこと世界で一番愛してるよ。ホントに、サラちゃんと出会えてよかった」

 そう言って今度は嶺二がサラの頬に手を添え、それを合図にサラが目を閉じればそのままキスをした。

「続き、する?」
「逆にしないって言ったら、嶺二イヤでしょ」
「うん、やだ。ここでお預けなんてあまりにも意地悪すぎるよ」

 愛おしそうな目線が交差する。それを合図にキスをすれば、歯止めなど効きやしなかった。
 貪るように、啄むように、味わうような口付けを何度も何度も。ただ、それは甘い夜の始まりにすぎない。そして、嶺二にとっても最高で最上の誕生日はまだ迎えたばかりだ。

「愛してるよ……サラ」
「私も」







night