ピピピ、と軽いアラーム音で起きる。音が大きくないのは隣で寝てる彼女を起こさない為。こういう時、自分が寝起きに強いという体質で良かったと思う。
重い瞼を開け、背伸びをして、そのまま伸びた手をカーテンまで伸ばし部屋に朝日を入れる。朝一番に浴びる日光は身体にいいが、それ以上に素晴らしいものをぼくは知っている。
「ふふ、かわいいなぁ」
彼女、サラの方に体を向け、サラの顔にかかった紙を指で軽く退けてその寝顔を更に見えるようにした。長いまつ毛と綺麗な肌。通った鼻筋に、艶やかな唇。全部が愛おしくて仕方ない。惚れた弱みもあるかもしれないけど、やっぱりサラちゃんは本当に可愛いなぁと心から思う。
「んん……」
とは言え、かくいうサラちゃんも簡単に目が覚めてしまうタイプだ。小さな唸り声をあげて、瞼が少し動く。朝の日差しは、まだサラちゃんには眩しかったみたいだ。
「起きた? おはよう」
「んー……れいじ……」
そう言ってサラは寝惚けたまま、幸せそうな顔を浮かべて抱き着いてくる。サラちゃんが最も素直になる時間帯は寝起き一番だということをぼくは知っている。だから、こうしてわざと予定より早めに起きて甘えん坊なサラちゃんを堪能する朝の時間をわざわざ作っている。
日によっては帰りが遅かったり、家を空けることだってある。その時サラちゃんは待つことなく普通にベッドで一足先に寝ている。でも、寂しい思いさせちゃうのは事実。だから、一分一秒でもこうしてサラちゃんとの時間を作っておきたい。
限りある時間の中で、何が起こるか分からないこの世の中で、いつ終わりが来てもいいように、後悔しないように、今この一瞬を大事にすることだけが、唯一ぼくに出来ることだから。
「んふふ、れいじ、大好き……」
「ぼくもサラちゃんのこと大好きだよ。いや、愛してる」
こんな幸せに包まれて、その甘さに溶けてしまいそうだ。でも、眠気に抗えず微睡みに溶けようとする彼女の姿を見て、サラちゃんでどろどろにされちゃうのならどれほど素敵なことか、とぼんやりと考えた。