平和に行きましょう。

ネロ光


 この女にとって他人など、全員その辺の木と似たような存在たのだろう。少なくとも、個人個人の思想や理念といったものに差程重きを置いていないのは確かだ。


「殺人に祖国奪還だとか、復讐だとか理由を付けるのはあまり良くないことよ。もっとシンプルに考えなくちゃ」
「誰も彼もお前みたいなサイコパスじゃねえンだよ」
「あなたはロマンチストだものね」
 そりゃあ、相性は悪かろう。だが互いに互いの合理性だけは評価していた。
 そもそも、金銭感覚や主義主張の差異で争うこと自体が比較的最近身に付いたサラからして、貧困や富裕層の驕りは未知に等しかった。なんせ、遊牧民族として生きてきたので、大きな生活の差は無かったし弱い者から終節で死んでいく。ネロが時々からかうような、シドに対する「お坊ちゃん」に込められた声の抑揚を聞く度、何かあるのだろうとは察したが理解はしなかった。







































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