平和に行きましょう。
外道丸そのに
外道丸
ある軍人の個人蔵として遺されていた遺品
無銘刀で、刀としては大分新しい世代になる。人に使われ自我を持つ付喪神というより、また別の執念がこびり付いて人型になったような存在だが、自身を呼び起こした審神者に対しては良識を持った保護者の面を見せる。だが審神者が寝静まった後に本丸中の刀剣男士らを介錯、あるいは切り捨てている
早駆けは好きだが、肝心の馬の世話は苦手
その内審神者に3本の簪贈ってる
審神者
子ども。人身御供同然にブラック本丸に放り込まれたのに、刀帳登録のされていない新種である外道丸を召喚した事を切っ掛けにどエライ騒ぎと衝撃を審神者達に、ついで政府の汚職を露わにしてしまった弩級爆弾
下手に高貴でも美形でもなく程々の安心感を与える外道丸に非常に懐いており、防衛本能的にブラック産刀剣男士らを視界に入れないように務めている
泣き虫
ブラック産刀剣男士ら
新しい主を慕いたい派、刀解派、人間ぬっころ派に分かれている
ただし前者以外は外道丸に切り捨てられる
「ねぇねぇ外道丸」
「どうしたの、主さん」
遠征もせず、勿論出陣もせず…。ただ茶と菓子を用意し、縁側や部屋でそれぞれがそれぞれ目の届く範囲内で寛ぐ時間が、外道丸はたまらなく幸せだ。
ブラック本丸に放り込まれたにしては、やけにほのぼのとした生活をしている自覚はある。そもそも非常用拠点として現在の生活の場となっているこの離れは、母屋である本丸とそこそこの距離を持っているせいか、わりあい静かで、長閑な場所だ。自給自足の為、竹柵で囲んだ庭には小さな家庭菜園じみた畑も作られ、シャベルや如雨露といった小道具も慎ましやかだが揃っている。遠征先で連れ帰ってきた馬の為にも、雨風の凌げる小屋も用意した。
どれも母屋にある物と比べればたかが知れるような規模だが、現在修羅場と成り果てたあそこに比べて、2人だけで一から築き上げたこの離れの物は、どれも母屋やそこに居座る刀剣男士らを遥かに凌ぐ愛着や手間暇がある。物理的にも霊的にも汚れた母屋には近付かない動物達も、こちらに顔を見せては撒いた餌を警戒せずに食べていく。
「なんかもう、このままでもいいかもねぇ」
「いやー…それ言ったらおしまいなんだけど」
「だめ?」
「主さんがいいんならいいんじゃない?」
外道丸は素直に言った。多分だが、彼女の考えは他の人が聞けば顔を顰めるような怠惰なものだろう。しかし母屋の惨状は到底1人では解決出来ないし、外道丸がいても2対数の暴力には勝てない。幸い、最初の慈悲と警告通り、「母屋に近付かない」「母屋の刀剣男士と関わらない」さえ守れば、特にこちらに関わる気配もない。だから、例えそれがただの逃避行だとしても、現状維持と放置は、きちんと存在する確かな選択肢でもあった。
口にこそしないが、このまま続く謎の共同生活が心地良いのもある。きっとこの主が、外道丸以外を決して顕現しようとせず、外道丸だけを傍に置いておくせいだ。唯一として優遇するその姿勢は、程度の差こそあれ非合理であれ、結構好ましかった。
「二人で住むには丁度良い離れだし、池も川も畑もあるし、というか大概宅配か万屋に行けば解決するからね。どうせ現世には戻れないから、このままでも充分なんだよね」
最早、どうでもいいのだ。
「死にたいなら、刀解するよう主さんに話つけてあげるし?まだあそこにいたいなら、勝手にそうすればいいと思うけどね」
バツ印のマスクをいじりながら、そいつは至極面倒臭げに言った。
無銘の、たかだか100年も経たない刀にしてはやけに血腥さの漂う男だ。きっとたくさん殺したのだろう。きっとたくさん見てきたのだろう。だから、この本丸にいる自分達を滑稽で、無様で、どうしようもない者なのだと既に見限っていた。
かの主は出てこない。本人の希望と、この刀がそうした。恐らく見た目が幼い短刀相手にも絆されない。
「俺と主さんは不自由なく暮らしていける。あんたらとはお互い干渉さえしなければお互い幸せなんじゃなかったの?」
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