私の身長は147cmだ。小学5年生の頃からほぼ伸びる事もなく、今後も大きくなる事もないであろう身長。私の成長はこの頃から止まっている。男の子にからかわれる事はまああった。もう少し大きければ私の見る世界は違っていただろうか。

「おーい。名前サーン、生きてる?」

「!」

目の前では友人が掌をひらひらと揺らしていた。机の上には教科書もノートも出しっぱなしになっていて放課後のホームルームをこの状態のまま受けていたのかと思うと少々恥ずかしかった。

「教科書も出しっぱなしだしアンタ具合でも悪いの?」

「ぼっ、ぼーっとしてた…」

「はあ…まあ具合悪くないならいいけど。わたしは部活行くから名前は気を付けて帰りなよー?」

「うん!ありがとう。行ってらっしゃい」

お互いに手を振り合い彼女は教室を出て行き、私も帰ろうと必要な物は鞄の中に入れ、それを肩にかけながら席を立つ。私はゆっくりと歩き出した。
学校の外に出て上を見上げれば雲ひとつない青が広がっている。耳をすませば吹奏楽部の楽器の奏でる音やグラウンドの方向からはボールの蹴る音や走る音、様々な音の世界が広がっていた。

なんだか私は心地よくなり、気分の乗るままに歩き続け、辿り着いたのは体育館であった。

小さな声で「失礼しまーす…」と呟く。
恐る恐る、そしてゆっくりと体育館の扉の端からひょこっと中を覗くとそこには男子バレー部の練習風景が広がっていた。

「はっ、そう言えばうちの学校のバレー部って強かったんだっけ」

みんな大っきいなあ…

「いいなあ…すごいなあ…」

身長もバレー部なだけあってみんな高いし、迫力もあるし、語彙力が無いのが悲しいけどとりあえずすごい。という事だけは伝えておこう。あの人たちの見てる世界ってどんな光景が広がってるんだろう。

そんな事を考えながら何気なく横に視線を逸らすと、そこには高身長の強面の男子がこちらを見下ろしていた。

「ひっ…!」

「!」

「す、すみません!怪しい者ではありません!すみません、あの、失礼します!」

「……………」

「おーいおっせーぞ青根、何してんの?」


青根と呼ばれた少年は走り去って行く名前をじっと見つめた後、"遅い"と声を掛けてきた茶色の髪色に爽やかな顔つきの少年の方へ顔を向ける。

「…小さい女子が」

「はぁ?小さい女子?どこにもいねーけど」

「…………」