スプラトゥーンのおはなし

二口



「操作方法はひと通り教えたし、ナワバリ潜ってみようよ!」

「つーかこれすげー酔うんだけど…。操作も地味に難しいじゃん」

「あーね、最初はわたしも酔ったよ。ジャイロ機能とかあるのこのゲーム機だけだもんね」


コントローラーを右に向けると視点が右に、左に向ければ視点も左に移動するといった具合である。コントローラーをあちこちに動かすと視点がブレるので、プレイを始めたばかりの初心者だとコントローラーを持つ手が安定しないばかりに画面酔いしてしまう事がよくある。
スプラトゥーン初心者の二口と青根は早速画面酔いで顔を青くしている。

しかしまあ体格の良い男子がふたりもいると部屋が非常に狭く感じる。先輩方も呼びたかったけど、就職活動などで忙しいだろうと思い今回は同じクラスである二口と青根をおうちに招待したわけだ。白を基調とした部屋の中心には白いローテーブルがあり、その上にはオレンジジュースとお菓子が用意してある。

さて、今日は3人でわいわいゲームで楽しむぞ!


「とりあえずナワバリ潜るよー!」

「まだちょっと気持ち悪いけど俺先にやるわ」

「気合い入ってるねー。武器は何にする?」

「オーバーフロッシャー」

「これまた性格の悪い武器を選んだね。さすがだよ二口」

「さすがってなんだよ。それよりも何、これそんなうざい武器なわけ?」

「ステージにもよるけど敵にいたら腹立つしこの武器で倒されると腹立つしとりあえず腹立つ」

「へえ…」


うわ、すっごい悪い顔してるよこの人。ほんと良い性格してるよね。


「バシャバシャ適当に泡たれ流してればいつの間にか敵が勝手に死んでるからね。使ってる分にはいいけど敵にいたらほんとうざい」


「怨念こもってんな」


武器も選んだしそれに見合うギアも選択した。そのままマッチング画面に進み、全国対戦なので8人マッチングすれば試合スタートである。


「お、マッチングした」

「がんばって二口!」


ナワバリバトルがスタートした。
開始早々視点が明後日の方向へ向いたままバシャバシャとインクを垂れ流している状況である。このままの状態が続けば確実にグロッキーになる。操作に不慣れである事に気が付いた味方のイカちゃんからは煽られる始末である。

「なんか俺の横でビチャビチャしてる奴いんだけどなんだこいつ」

「操作主が初心者だって事に味方のイカちゃんが気付いて煽られてるよ」

「殺す」

「いや殺せないから。味方だから。多分味方イカちゃん面白がってるよこれ」

まずは今の体制を立て直さなければならない。コントローラーが安定する姿勢や持ち方を自分なりに教えて、なんとか視点がブレるのはマシになった。

「ほらほら塗って塗って!」

「あ、やられた」

「最初はそんなもんだよ」


二口がものすごい表情で地面を塗っている中、敵のイカちゃんにキルされてしまった。むっとした二口は終始「コロス…コロス…」などと物騒な事をぼそぼそと呟きつつ一所懸命に地面を塗りたくっている。

「っしゃあああ!なんかよくわかんねーけど1キルしたぞ!ざまあ!」

「二口こわすぎワロタ」

初めてのスプラトゥーン。
インクタンクが空になっている事に気付かずにオーバーフロッシャーを振りまくる二口に思わず吹き出してしまった。

「ぶふっ…、ちょっ、インク出てないから!ぷふっ…、ちょ、笑わせないでほんとっ…!」

「苗字てめー笑ってんじゃねぇ!こちとら塗るのに精一杯なんだよ!」

「ぶふっ、かわいい」

「後で覚えてろよ」
















結局二口のチームは負け。
1キル6デスの0スペシャルである。


「…くっそマジで次は負けねーぞ」

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