はぁーと俺の横で溜め息を着いたなまえを見て俺は思わずどうしたの?と声をかけた。溜め息なんて似合わないよ、なんてことは言えないけどやっぱり仕事仲間だし心配になるのは当然だよね。



「いや、別にー」

「あ、もしかして5月病?」

「そんな簡単な物じゃないよ」

「えーじゃあ風邪?」




そんな俺の問いになまえはまた溜め息を吐いて俺から目を逸らした。あれ、俺ってばなんかまずいこと聞いたかな?




「な、なんかごめん…」

「……最近ボーっとするし」

「っ、うん」

「食欲もないし」

「えっ、」

「胸が痛い」

「えぇっ?!」




なまえの顔を見れば頬が少し赤みを帯びて俺の目をチラリと見つめてはまた逸らすを繰り返している。胸が痛いとか食欲がないとか。病院行った方が良いよ!、と思わずかなりの力を込めとそう言えばそんな俺に驚いたのか目をぱちくりさせたなまえがぷっと小さく吹き出した。




「え、何っ?俺なんか言った?」

「いや、違う、嬉しくてっ」

「え、あの、何がっ?」





相変わらずクスクスと笑っているなまえを意味も分からず見つめていれば、ふぅとやっと息を整えてなまえが俺を見た。





「本当に困っちゃうな」

「え?」

「また胸が痛くなっちゃうよ」

「え、あのっ…」

「病院じゃ治らないから小野くんが直してよ」

「お、俺っ?」





そう聞き返せばクスリと笑ったなまえがコクリと頷いた。俺が治すってどういう意味?ねぇなまえ?あのっ、と口を開けばそれと同時になまえが口を開いて俺に笑顔を見せた。




「っ?」

「小野くんのこと考えると胸が痛いんだ」

「えっ…?」

「つまりさ、恋しちゃったみたいなんだ」





「小野くんに」





恋わずらい
(ねぇ、このドキドキ治るかな)

20120513
1997