「な、マジか…!」

「ごめん…」

「いや、気にしてないから!」

「本当にごめん」

「洋貴のせいじゃないよ!それに当然だよ洋貴優しいもん!」






あははははっと無理やり笑って「ご飯作るね!」とキッチンへ逃げる。今年もたくさんもらって帰って来たチョコレート。プライベートな物だからと見ないようにしていたのに偶然にも目に入ってしまった小さなメッセージカード。そこには好きですときっと本命であろう一言がつづられていた。驚いて背を向ければその様子を情けないことに洋貴に見られていたのだ。そして始めに戻る。逃げ込んだキッチンに後から付いて来た洋貴が私の名前を呼ぶ。







「なまえ」

「な、何?」

「さっきのチョコだけど俺は、」

「わ、分かってるから!大丈夫だよ!」

「てかそうじゃなくて」

「上げた子が可哀想だからもう止めよう!ねっ!」






ぐいぐいと近づいてきた洋貴を両手で押し返せば突然掴まれた手。「少しは聞いてくれ」と真っ直ぐの射抜くような視線を向けられて私は大人しく黙るしかなくなった。






「なまえの目に入る所に置いた俺が悪かった、ごめんな」

「だから洋貴のせいじゃないって」

「でも嫌だったんだろ」

「別にそんなこときっとよくあるでしょ!」

「嘘つけ。泣いてんじゃん」

「違うよ玉ねぎ切ってたの」

「それピーマンだろ」

「み、緑の玉ねぎなの!」

「なまえは俺に何食わせるきだ?」

「うっ…」






言い返す言葉のない私の顔を洋貴が覗き込んだ。泣いてる顔を見られたくなくて下を向くけど向いたら涙がごぼれそうで結局洋貴と見つめ合う形になる。






「ちゃんと断るから」

「……うん」

「俺はなまえ一筋だから」

「……マヂで?」

「あぁマヂで、大マヂでだ」







洋貴がそうやって真剣に言うもんだから思わず笑ってしまう。そうしてそっと涙を拭いて優しいキスを落とした洋貴の首もとに私は自然と腕を回した。














Happy valentine



安元さんはおかん的な。包容力ありそうだなと。

1997