「神谷さんバレンタイン」

「え、マジで」

「マジマジ」






はい、と渡せば「おうサンキュー」と笑う。あらあら何だ今日はやけに素直だ。何か良いことあったんだろうか。あ、もしかして本命もらったりとか?それとも好きな子からもらったりとか?ぼけーっと考えていれば神谷さんが私を見た。







「本当サンキューな」

「おおう、やけに素直だね神谷さん」

「何だよ俺が素直じゃ悪りぃか」

「いや全然、むしろギャップ萌だよね」

「お前が言うな気持ち悪い」






そう言って小さく笑った神谷さんになぜか私が照れる。いつもと違うと調子狂うんですが…。ジロジロと神谷さんを見つめていれば「何だよ?」とけろりと聞いてくる。何だよってあなた。






「何か良いことでもあったんですか?」

「ハ、ハァ?何いきなりっ!」

「え、あったんですか?」

「別にないって!」

「またまた嘘はいいですよ」

「嘘って別に…」

「今日バレンタインですもんねぇ」



この様子だとどうやら好きな子にでもチョコレートをもらったのだろう。「良かったですねぇ」とニヤニヤ笑っていれば「あのな」と神谷さんがため息を吐いた。







「勘違いすんなよ」

「何をですか?」

「俺はなまえから貰えたのが嬉しいだけだよ」

「っ!」







Happy valentine



なんとなく神谷さんを素直にしてみたかっただけ。たまにはデレだけでもありですね。
1997