「あれ、どうしたの?」

「ああああ杉田くんっ!」

「ん?」






不思議そうな顔をする杉田くんに思わずテンパった。何だよこいつー!可愛いな!キュンとしたじゃんかっ!と頭の中で余計なことを考えながら杉田くんの前に立ちふさがる。






「あ、あのね杉田くん!」

「うん何なまえ?」

「そのね、あのね…」

「うん」

「今日は杉田くんにね」

「うん」

「わた、わた渡したい…」

「わたわたしたいの?」

「違うーっ!」






どもり杉田、いや違う違う。どもりすぎたせいで話が全く伝わっていない。私は少し深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。






「今日何の日か知ってる?」

「え、今日?」

「うん、今日」

「………」

「………」

「…もしかしてなまえの誕生日?」






あうちっ!だから何だよこいつー!可愛いなもう!だけど違うよ杉田くん。みんな浮き足立ってるでしょ。第2のクリスマス的なサムシングでしょ!何だか恥ずかしくなってきたけどもういくっきゃない。






「今日はさ、ババババレンタインじゃん」

「あ、バレンタインね」

「だから今日は杉田くんにチョコレートを作ってきたりなんかしちまったのだよ」

「え、本当?」

「だから受け取って下さいぃぃ!」






思い切り突き出した箱を杉田くんが受け取ってにこりと笑った。うわっち!その笑顔反則や!「ありがとう」と呟いて嬉しそうにチョコを見ている杉田くんに私がとろけそうだ。






「杉田くん」

「ん?」

「そのチョコは義理じゃないの」

「え?」

「つまり、本命なのっ…!」






逃げてしまいたいぐらい恥ずかしい気持ちを抑えて杉田くんを真っ直ぐ見た。目をぱちくりさせた杉田くんも私を見つめてこの妙な見つめ合いにやっぱ恥ずかしい!と思わず下を向けば杉田くんがクスクス笑い始めた。






「本命じゃホワイトデーまで待てないね」

「ん?」

「俺もなまえが好きです」

「……えぇ!」

「そんなに驚く?」

「あぁ!ご、ごめんなさいっ!」






やっぱり私はアホみたいにテンパる。どこか申し訳なさそうに笑っている杉田くんをチラッと見ると目が合った。






「俺も謝らないといけないことがあるんだ」

「謝らないといけないこと?」

「本当は今日がバレンタインって知ってたんだ」

「えぇ!」

「すみませんでしたなまえさん」







そう言って恥ずかしそうに礼儀正しく謝った杉田くんにやっぱりこいつ可愛いなと頭の中で悶えるのだった。








Happy valentine



なんか小悪魔な杉田さんを書きたくなった。謝まる時とかは敬語でいて欲しいです←

1997