「悠一ちょっと怖いから」

「当たり前だ、俺は怒ってんだぞ」

「だって仕方ないじゃん!」

「仕方なくないだろ」






ムスッとした顔で私を問い詰める悠一に私は少し口を尖らせた。そんなに怒らなくても良いじゃん。本日は2月14日バレンタインデー。この日は大切な人にチョコレートを上げる日だ。だから私も悠一にこうしてチョコレートを上げたのに悠一は喜ぶよりむしろ怒っている。






「俺の目の前で上げることはねーだろ」

「だってタイミング的にそこだったんだもん」

「しかも神谷さん達に手作りを上げるとか考えてらんねー」

「バレンタインぐらい手作り上げたいじゃん」

「お前、神谷さんは危険だ」

「どこがよー!」

「全部がだ!」






ビシッと言われて思わずたじろいだ。まぁ確かに悠一の目の前で渡したのは悪かったけど。相変わらず怒っている悠一にこれは何を言っても無駄だと「分かったよ」と返事をすれば小さくため息を吐いた。






「俺はなまえからのチョコが本当に嬉しい」

「うん」

「だけど他の奴もなまえの作ったもん食ってると思うと嫌だ」

「うん」

「つまりだ…俺はなまえを…」

「………」

「俺はなまえを…」






もごもごと口ごもってその先の言葉を言わない悠一に私が絶えきれなくなって「好き」と抱き付いた。「うわバカっ!」と少しよろけた悠一の首元に構わず顔を埋めれば今度は大きなため息を吐いた。







「お前、先に言うな」

「今のは悠一がいけない」

「悪かったよ」

「私もごめんなさい」

「ん…」






そうやってぶっきらぼうに呟くとそっと私の耳に唇を近づけ「俺も好きだ」と囁いた。












Happy valentine



中村さんはやっぱ嫉妬ですね。私が書くと何でかいつも神谷さんに嫉妬してます(おい)なまえさんは振り回されて下さい。
1997