「悠一!勝負しよう!」

「ハァ?」

「もちろん一本勝負ね」

「いや何の勝負だよ」

「何ってじゃんけんだよ!」






じゃんけん?と俺が驚いたのは言うまでもないが、こういう意味の分からないことを言い出す時はたいていやばい時だと言うのは確かだ。






「何で勝負すんだよ」

「何でってやってもらいたいことがあるから」

「勝負してまでやって欲しいことって何だよ、言ってみろよ」

「いや、言ってもしてくれないから」

「物によっちゃしてやるよ」

「いや、これはマジないから勝負しよう」






なんかもう、何なんだ…。嫌だよやらねぇと言ってしまえば逃げるのか!と挑発してくる始末で。いや、逃げるからな。しかしまぁ、頼みたいことがあるなら聞いてやってもいいかな、というのは立て前で俺が勝てば良いんだしという単純な話。






「俺が勝ったらどうする?」

「私のお願い事をしてあげる」

「あぁそう」

「とにかく勝負!」

「うん」

「じゃーんけーん」





ぽんっ!と掛け声と共にお互いの右手が出される。まぁ、勝ちゃ良いんだからとそんな安易な考え方がいけなかったのか。目の前に見えるのはキョキで負けた俺の右手。







「うっわマジかよ」

「やったー!」

「こういうのは普通言い出した奴が負けるパターンだろっ!」

「あはははは!勝利の女神は私に微笑んだー」

「やべ、うっぜ…!」







じゃあ私のお願い事聞いてくれる?と微妙な上目使いがやたらうざい。ここで聞かねーよと拒否権を発動した所でそんなもんは逆拒否権で受諾されないのは目に見えている。






「…何だよ」

「これから語尾にニャーって付けて喋って」

「……拒否」

「はい、無理です」

「お前アホだろ本当に」

「違うよ悠一くん、アホだニャーだよ」

「………」






やべ。マジうざい。






「悠一なんか喋って」

「………」

「リアルイクトになって」

「………」

「黙んないでよ悠一ぃ」

「………」







ふふふと笑う#name#から無言で目をそらして俺は小さくため息を吐いた。あー何でこうなったのか。まぁ俺のせい、だけど。いや、俺のせいなのか?






「悠一」

「…何だよ」

「あ、」

「あ?」

「ニャーは?」

「チッ…」

「悠一?」

「お前後で覚えとけ、ニャー…」

















猫なで声で
(あとでぜってー泣かす)





たまには中村さんをいじるのも悪くないですね。


20120222
(にゃんにゃんにゃんの日!)
1997