ピカッと信号が赤に変わった瞬間悠一が、あーあと残念そうに呟く。何そんなに急いでんの?と尋ねればゲーム点けっぱなしだからなんてロマンティックの欠片もない返事をされてちょっぴり残念だ。





「#name#と2人の時間を増やしたいからとか言ってみてよー」

「いや、俺は今スネークと過ごす時間を確保したい」

「はーい、黙れー」





そう言って冗談めかしく突っ込みを入れればお前もやるくせに、と突っ込み返されて車は青信号で発進した。夜も遅いからとわざわざ迎えに来てくれた悠一は少しぎこちなく車を運転しながら私の話をうんうんと頷く。さっきはあんなこと言ってみたけどこんな時間も幸せ過ぎて流れて行くいつもと代わらぬ景色も今日は少しだけ違って見える。






「そういえば今日杉田くんに会ったよ」

「へぇー杉田に」

「最近中村が遊んでくれないって嘆いてた」

「あーそういや最近遊んでねーや」

「あらら可哀相じゃん」





私がそう言えばそうかー?なんてどうでもいいような返事をするけど、本当は悠一も遊びたいんだろうなぁなんてそんなことを内心思ってクスクス笑ってしまう。





「あと杉田くんから伝言頼まれた」

「ん?何?」





そう言って前を気にしながらこちらをチラリと見る悠一が私は好きで、ちょっぴり照れくさくなりながら、でもそれを誤魔化すように杉田くんの伝言をものまねしながら言ってみる。





「貸してるゲーム返してくれ中村、だって」

「何だそれ似てねぇよ」

「えー嘘だぁ!杉田くんは似てるって言ってくれたよ」

「社交辞令だろ」

「えー杉田くん大人だー」

「アホか」





つーかそんな伝言#name#に頼む杉田がアホだ、とぶつくさ文句を言いながら悠一がハンドルを右に回す。そんな様子をこっそり見ながら真剣な悠一の顔とかちょっと筋張った腕とかあぁ格好良いなぁーなんて思ったりして。






「あーくそ、また信号赤だ」

「別に良いじゃん急がなくても」

「いやーほらあれだ、お前とスネークとの3人の時間を邪魔されたくない…だっけ?」

「残念、増やしたいでした」

「あーそう、それそれ」






片手をハンドルにかけながら私を見た悠一が可笑しそうにそう言って笑う。まったくよーと少し怒るふりをして私も笑い返せばどこか楽しそうにパッと信号が青に変わる。





「あ、悠一青だよー」

「お、本当だ」






とっとと帰んぞーと車を進める悠一にはいはいと返事をして悠一をチラリと見ればパチリと視線が合ってお互いに小さく笑い合う。家に着くまであともう少し。この2人きりの時間をもうちょっと楽しむために次の信号も赤になれとこっそりお願いしたのはもちろん悠一には内緒だ。

















じょしゅせき


バイクでニケツとか色々考えましたがれんは助手席派でしたどうもすみません。中村さんの助手席に座ったらめっちゃナビゲートして「お前ナビよりすげぇな!」って褒められたいよねっていう意味が分からない妄想。

20120625
1997