ビールお待たせ致しました!と居酒屋のざわめきに負けない声と爽やかな笑顔でビールを2つ机に置いた店員さんに私は思わず固まった。ごゆっくりーともう一度笑顔を見せて去って行く彼をボサっと見とれていればふと視線を感じて正面の杉と視線を合わせる。






「何見とれてんの」

「いや、今の見た?」

「何が?名前とかってこと?」

「違うよー腕だよ腕ー」

「腕?」






イボでもあったの?とどうでも良さげの杉は私の方へビールを渡して乾杯しようよとジョッキを持った。






「イボはないけど腕だって」

「何?キャノン砲でも付いてた?」

「違うわ」

「あーもう分かった乾杯な、はい乾杯」






カツンとぶつかったジョッキを慌てて押さえて私は面倒くさそうな杉を見た。いやさ、ここからが良いところだよ杉田くん。いただきますと箸を取った杉の目の前からお通しをスッとどかしてニヤリと笑えば困り顔の杉が今度は私を見た。





「俺の…」

「彼の筋が恐ろしくタイプだったの」

「何?杉?」

「違う、筋ね」

「あぁ筋ね」

「すっげーシュッとしてた」






ふーんと呟いた杉は私からお皿を奪い返して、筋が好きなの?とサラダを一口食べて首を傾げた。いやもう好きなんてもんじゃないよね。






「フェチだねフェチ」

「筋フェチ?」

「うん」

「またすごいフェチだな」

「あ、杉の筋も好きだよ」

「え、」

「あはは」

「お前そんな風に俺を…!」






身の危険を感じるな、とそう言って黙々と料理を食べる姿は全然危険を感じているようには思えない。その捲った袖から見える腕の筋とか良いよーと言ってやりたいところだがそれはまぁ酔った勢いで言うとして、私はビール片手に杉にもう一度と笑いかける。





「こう物を持った時にでる腕の筋と手首に浮き出る太い筋ね」

「なるほど完璧女子目線の話だな」

「杉だって変なフェチあるっしょ?」

「俺は脚」

「脚?何言ってんだーもっと変なフェチあんでしょーよ」

「まぁ強いて言えば探りフェチかな」

「うわーもう意味分かんないフェチ過ぎて好きだわ聞きたい」






予想通り意味の分からないフェチを言ってくれた杉にあははっと笑って、話して話してと最速すればビールを一口飲んだ杉がうんと1つ頷く。






「探りっていうのは鞄の中とかをごそごそ探ってる姿が好きなの」

「うわーマイナーなフェチだな」

「見つけたい物を探すのに集中し過ぎて周りに無防備な感じが良い」

「出た!無防備!」

「やっぱりセーラームーンしかりプリキュアしかり変身してる時ってかなり無防備じゃん?それでも敵が攻撃してこないのはあの無防備さに見とれてるからだと思うんだよね」





な?と私に同意の視線を向ける杉に、何目線だよ、と突っ込んで思わずケラケラ笑えば、戦闘服で腹見えてんのも無防備で良いよね、と杉がへらりと笑う。






「ちなみに脚フェチも聞こうかな」

「脚はOLさんのコートから見えるやつが好き」

「スーツじゃなくてコートなんだ」

「そう、上は厚着だけど下は出てるみたいな」

「冬でも頑張りますからねー」

「うん」

「あ、あとはあれでしょ。女子高生の脚が好きなんだろ」

「何それ好きだけど」

「やっぱりかー私も好きだー」

「あー#name#もかー」






あちゃーとでも言いたげなわざとらしい表情をする杉にあははっと笑って私はジョッキを少し強く置いた。






「例えば女子高生の膝裏」

「アキレス腱のくびれ」

『あと絶対領域な!』






そう言ってハモった私達は驚きと同時に思わず一緒に吹き出した。居酒屋のざわめきより少し控えめにケラケラと笑う私達はもしかしたらとんでもなく変態かもしれない。






「やっぱ女子高生は国宝だね」

「そうだな」

「私女子高生に告白されたら嬉しいもん」

「うん」

「杉もそうでしょ?」

「うーんそれはどうだろ」





軽く涙目になった目を拭いながら杉にそう聞けばなんとも微妙な返事に私は首を傾げた。






「えー悩むか普通?よく考えてみー」

「うん」

「例えば私みたいのと女子高生が居るとするじゃん。そんで一斉好きって言われてさぁ嬉しいのはどっち?」

「#name#」

「うん、でしょ!はいっ?」

「俺は#name#の方が嬉しいよ」

「あ、え?えとそれはー…」

「うん」

「杉、何フェチ…?」

「………」






君フェチ!
(つまり好きなんだよね)

20131209
馨様/杉田さん フェチ会議
Thank you for the request!!
1997