「ほらなまえ帰るよ」

「もう帰るんですかー嫌ですよー」

「嫌じゃないの帰りますよ、ほら行こう」

「だったら一緒に帰りましょうよ。諏訪部さんが一緒に帰ってくれるって言ったら帰ります」

「え?」










「諏訪部さん聞いて下さいよー!」

「大丈夫聞いてるよ」




酔っ払ったなまえを見て少し苦笑いをする。俺も何だかんだでなまえに甘いらしく結局一緒に帰ることになった。今日はなまえがすずと楽しげに話していたせいでストップをかけるのを忘れてたしまった。




「どうせ私なんかモテませんよ!」

「え、あ、はぁ」




話に曖昧な返事をしてフラフラ歩くなまえを支える。そうかなまえはモテないのか。…いや十分モテていると思う。




「気持ちだって伝わらないし……」




そう言って大きなため息をつくと







「諏訪部さんもどーせボインなお姉さんが好きなんですよ…」






「は、ハァ?」
そんな唐突な言葉に俺は思わず間抜けな声を漏らした。いきなり何を言い出すんだこの子は。




「世知辛い世の中ですよ本当に!」

「う、うん…」




いきなり投下された爆弾にどう答えるべきか分からず俺は焦って言葉を探す。こういう時なんて言えばいいんだ?



「別に俺はー…」

「私って魅力ありませんか?」



とりあえずボインな人が好きというのは訂正しようと口を開けばそれを遮るようにまたもや爆弾投下。ジッと俺を見てる目はなぜか潤んでいて飲み過ぎたせいなのかなんかのか。




「そんなことないよ?なまえは充分魅力的だよ」

「だったらなんで今日の居酒屋さんでボインな店員さん見てたんですか…?」

「え…?」



ボインな店員さん…?


「髪が長くてスラッとした女性ですよ」

「………」

「ほら否定しない!」

「いやそんないやらしい目で見てたわけじゃないし深い意味はない!」




そう言われれば見てた気がする。でも仕方ないよ。なんていうか男の本能っていうのかな。情けないことに言い訳する言葉さえない。




「でも無意識に見ちゃうのなら好きなんですよ!」




そう言うとなまえは泣きそうな顔をして俺から目を反らした。そうか。無意識に見てしまうのは好きだからなんだ。




「今日なまえこそすずに色々相談してた様子だったね」

「なッ…!なんでそれ…」




俺がいつだって無意識に見てるのはそんな女の子じゃないって気付いてないの?




「なんでって見てたから」




ねぇ、まだ分からないの?





「無意識に」





その言った瞬間になまえは俺を見た。ニコリと笑ってやれば酔いが覚めたのか慌てて俺から離れた。




「な、な、な、何を言ってるんですか!」

「何って何が?そのままの意味だよ」

「そのままの意味って」

「無意識に見ちゃうの、なまえのこと」





無意識
(それは好きの証拠)


(私も見てたのになんで目が合わなかったんでしょうね!?)
(さぁ)


20100808
1997