いつもいつもいつも。なんで喧嘩腰になるんやろ。俺はなまえが好きなのに情けない。






「すずのバカっ!」

「お前ほんま可愛くないわ」

「うるさい鈴村健一!」

「お前がな」

「お前もな!」






またこれや。俺も懲りないと思う。好きだからいじめるなんて中2かっ!と自分に突っ込みたい。近くにいたとりちゃんがそんな俺達を見てため息をついた。






「すずは器が小さい!」

「おま、俺の器の広さも分からんのか!」

「分からんわ」

「なまえのが小さいで」

「私、琵琶湖並だから!」

「そんなら俺はヒューロン湖並やから」

「ヒュ!どこそこ知らんわ!」






なんや可愛いなぁと内心思いつつも口から出てくるのはこんなもん。でも本当はこんなことしたいわけやない。






「だからもてないんだよ」

「な!彼女の1人や2人おるわ」

「何それ浮気じゃん!」

「そうやないわ!」

「やっぱいないんじゃん!」

「ハァ?おるわ」






ヒートアップしてきた俺達にさすがにまずいと思ったのかなんなのか近くにいたとりちゃんが「まぁまぁ」と声をかけてきた。






「とりちゃんすずが!」

「いや!なまえやろ」

「はいはい」







困ったように笑ったとりちゃんが俺達を交互に見てふぅとため息を吐いた。







「なんかさ、夫婦喧嘩みたいだよ」

「っ!ど、どこをどうみたら!」

「どこをどう見ても」








ばっちりと俺を見てニヤリと笑ったとりちゃん。なんだよとりちゃんその顔は。あれか、わざとかいな…。でもなとりちゃん。そうじゃないねん。そうやなくて、







「夫婦喧嘩やなくて夫婦漫才やから」

「はっ?」

「なーるほど」






情けないなまえの声。チラリと顔を見れば真っ赤に染まる頬。なんやこいつやっぱ可愛いねん。






「じゃあなまえがボケですずが突っ込みかな?」

「まぁそんなんやな」






こらえるように小さく笑っていたとりちゃんが硬直したなまえを見てとうとう吹き出した。






「な、あ、ちょ、」

「なあちょ?」

「違っ!な何を言ってんの!」

「何か問題でもあるん?」

「問題も何も…っ!」







そう言って恥ずかしそうに少し黙ったなまえは。






「せめて私は突っ込みにして」








夫婦漫才
(君の突っ込みにもうメロメロ)


(とうとう2人で入籍か)
(な、何でやねん!)
(おぉ!)

20101128
1997