「ねー俺ってどんなやつ?」






久々の飲み会で私の隣に突然だいさくが来たと思えばそんなことを尋ねてきた。







「え、何いきなり」

「いや、いいから応えて!」






いきなりそんなこと言われても困る。空気を読むのも面倒くさいし私は素直だからあいにくお世辞なんて言えない。






「バカ」

「え?何が?」

「だからだいさくはどんなやつかって質問の応え」

「ハァっ?」






ぽとりとだいさくがつかみ上げた唐揚げを落とす。おいおいそんなに驚くことですか。あなたは自分のことをなんだと思ってるんですか。もう少しまともな応えをさーとそわそわとするだいさくに全くもってしたいことが分からない。私から見てのだいさくはバカなんだから大人しく認めろ。






「なんて言うかそうじゃなくて」

「あー同業者ってことか」

「ではなく」

「えー…事務所が一緒!」

「でもなく!」






なんだこの質問。なんで謎々みたいになっているんだ。難問過ぎる。東大生もびっくりだ。







「じゃあ何っ?」

「いや、あのさー…」






すごくためらうだいさくに私は思わず首を傾げる。今日のだいさくはなんだか変だ。いやいつも変だけど今日は格別。






「俺って気持ちが態度とか行動に出てると思う?」

「うん」






私が即答すればマジでか!と驚いているだいさく。飲み会は更に盛り上がっているというのになんだか私は変な空間に引きずり込まれてしまった。






「じゃぁ今俺はどう思ってるか分かる?」

「うーん…」






考えてみるけど分かるはずがない。唐揚げにかけるレモンがないとか?それとも塩取ってとか?分かんないやと笑ってごまかせば何故かだいさくはため息をつく。いや、つきたいのは私の方だから。






「俺をよく見て!」

「うん」

「…っ、やっぱ見ないで!」

「ハァ?」






見てだの見ないでだの訳が分からない。新手の嫌がらせでしょうか。






「ごめんだいさく…何がしたいのかさっぱり…」

「俺も分からなくなったわ…」

「なんだそれ」






とりあえずだいさくをジッと見れば困った様子で口を開く。







「みんなに行動に出やすいって言われた」

「うん」

「好きな人とかも分かるって」

「へー」

「なまえは俺の好きな人分かる?」

「残念ながら分からないや」

「そっか…」






ふぅとため息をついただいさくは少し凹んで見える。私だって分かってやりたいよ。でも分かんないものは分からない。






「じゃぁ私はなんて思ってる?」

「金が欲しい」

「ひっぱたくわよ」






私の考えよりひどい。せめてお酒が足りないぐらいにしろ。でもこれで分かったよね。人なんて結局言われなきゃ分からないのさ。






「でも本当に俺の好きな人分からない?」

「だってだいさくが女の子と話してるとこ見たことないし」

「もうそれが答えじゃん」

「え?」






答えですか?答え、なんの?だいさくの思考も今じゃ読めなくなった。確かにだいさくの行動は分かりやすい。疲れてるとか眠たそうとかよく分かる。でもそれってつまり。






「まさか、男が、好……」

「なんでそういくのっ!違うから!俺はなまえが居る時はいつもなまえに話しかけてるのっ!」

「ほほう」






言われみればそうかもしれない。特に意識したことなかったけどだいさくって何だかんだ私に話しかけてくれる。




だからつまり……何だろう?








「客観的に見たらさ男が1人の女の子に話しかけてるってどう?」

「どう?どうってそりゃあ、好きなんだろーなって……」








あれ、









心の中で呟いた。それじゃあまるでだいさくが私を好き、みたいじゃないか。






「意味、分かった?」

「それ、それじゃあだいさくって、わた、私のことっ」







思わずどもってしまうのはだいさくの顔が赤いせいだ。







それってつまりさ
(だってだって!気付かないよっ)


20100807

1997