「実はあの、部活の冊子を見て」

「部活の冊子?」

「散歩部が、ここだとあったので来ました」

「えっ」

「活動が不定期なのでとりあえず来てみて」

「散歩部を」

「もしまだ間に合うなら入部したくて」


そこまで言って小野先生を見れば驚いたような顔で私を見ていて、ふと我に返る。一方的に喋りすぎたかな。


「あ、すみません、顧問の先生が分からなくて」


ドキドキとまた騒ぎ出した心臓に何か次の言葉を伝えようと脳味噌がフル回転する。えっと、と取り繕うように零れた言葉に重なるように小野先生のびっくり、という小さな声が耳に届く。


「え?」

「顧問は去年から俺で、」

「あ、」

「部員はいないの、です」

「あ、え、はい」

「えと、あの、え?」


そう言って私を見た先生。お互い不思議そうに。驚いたように。数秒間見つめ合う。


「あるようなないようなそんな部活です」

「あ、なるほど」

「去年まで3年生が居て色んな制作物とかたくさんあってそれを残してるというか」


見る?とおもむろに立ち上がった先生が小冊子を持ってやってくる。色とりどりの冊子とミニ新聞。季節ごとの発行なのかそれぞれの季節の学校周辺の様子が様々に書かれている。


「わ、素敵ですね」

「一応図書室とかにもおいてあったんだけどあまり目立ってなくて」

「知りませんでした」

「前の先輩達はそれぞれ文章だったり写真だったりイラストだったりそれぞれ好きなことがあってただ散歩しているだけでは面白くないからって作成してたんだって」

「それは皆さん多才だったんですね」

「#name#さんは何か好きなこととか得意なこととかある?」

「あ、」


私の好きなことって何だろう。得意なことって何だろう。


「あ、いや、無ければないで良いんだけど、そういう意味ではここは適当に自由だから何でもできるよって思って」

「なんですかね。考えたこともなかったです」


寝ることですかね、なんて。適当なことを言ってへにゃりと笑ってみる。

「実は僕も無趣味とかで。でも散歩部になって仏像好きになったの」



1997