生物準備室なんて行ったこともない場所を探して校舎をぐるりと回るとやっと見つけた、特別棟2階の一番端。避難口の扉の隙間から西日が差しているだけで少し物悲しくも感じるその部屋は人の気配を感じない。大丈夫なのかな。そう思う気持ちとは裏腹にノックをした手はもうドアノブを握っていて。 「失礼します、」 3回ノックして返事はない。ドアノブを引けば鍵は開いている。こういうのありだっけか。返事はない中、準備室のドアをゆっくりと開ければガス台に冷蔵庫にソファーとやけに生活感のある場所だ。そのまま足を進めれば真ん中の机に教科書や参考書と一緒にお菓子の包み紙と栄養ドリンクの空き瓶。更にはソファーで眠る人影。あ、人が住んでる。ゆっくり近づいて顔にかぶさっている雑誌に目をやる。大仏の心?はて?と少しずれた雑誌の隙間から見えたのは少し寝癖のついた髪と整った顔。 「生物科でD組の」 と喉元まで出かかったのにすとん言葉が消えていく。困ったことに名前が出てこない。 「女子に人気の」 ハンサムな、とそこまで出てきてからふと我にえって1歩後ろに下がる。何だか悪いことをしているみたいで罪悪感が沸き上がる。 「日を改めます」 寝る先生と自分に言い聞かせるように呟き方向転換をすれば、焦る体が見事に机の角にぶつかる。 ドササ。 そんな効果音と共に机の上の教科書が床へと崩れ落ちる。受け止めることも出来ず慌てる私とその音に反応するように、んん…と雑誌の下から聞こえた声に振り返る。雑誌に当たる西日がさっきより強くなった。あぁ、なんてこった。 目を覚ますまであと3秒。 To be continued. |