帰ろうとする私の名前を呼びながら手招きするジョルノ。素直にそちらへ行けば、「今日は暗殺者チームと会食があります」と告げられた。ヒットマンチーム?そうやっておうむ返しで聞けば、組織にはいくつかチームがありその中のひとつだと教えてくれた。ここに来てしばらく経つけど、パッショーネについてまだまだ知らないことが多いみたいだ。
今回の話は組織内のチーム同士で定期的に交流して情報交換するそうで、まさに今日がその日とのこと。私が入る前から決まっていたらしく、うっかり連絡をするのを忘れていたとジョルノは珍しく凛々しい眉を下げた。
「これは僕のミスです」
「ぜんぜん大丈夫だよ、どうせ家に帰ってごはん食べるだけだったし」
「そう言ってもらえると助かります。ネアポリスで一番ランクの高い場所なので、ぜひたくさん食べてください」
やった!ごちそうだ!なんてワザとおどけて見せると、ジョルノはやっと笑ってくれた。ドレスコード分からないから選ぶの手伝ってね。調子に乗って言うと、すぐに爽やかな顔で「もちろんです」と私の腰に手を回して歩きだした。
*
ジョルノに選んでもらった赤いドレスを身にまとい目的地に向かうと、予想をはるかに上回る格式の高さで歩き方がぎこちなくなってしまう私。チームのみんなもいつもと雰囲気の違う装いでドキリとした。
「そんなにソワソワしてどうしたんだ、お嬢さん?」
「格式が高いと聞いてたけど、予想をはるかに上回ってて……」
「はは、すぐ慣れるさ」
そう微笑むブチャラティは私の髪を耳にかけると「今日は一段と綺麗だ」なんて言うものだから、心臓はドクリと大きな音を立てた。ああ、顔が熱い、ものすごく。
「ん?どうしたナマエ?」
「あの、」
「まさか、どこか具合でも悪いか?」
「ううん、……その、照れちゃっただけ」
ブチャラティは私が顔を上げると、心底安心したような表情になった。本当は恥ずかしいから自分の口から照れただなんて言いたくなかったけどね。でも、ブチャラティがあまりにも心配そうな声を出すものだからそんなこと思ってられなかった。きっと、今私の体は爆発寸前まで熱がたまっているはずだ。
ひとまず頭をクールダウンさせたい。会食が始まる前にお手洗いにでも行こうか、そう扉に近づいたところでガチャリと先に開いたので慌てて横に避ける。そしたらゾロゾロとスーツを着た男性が室内に入ってきた……、きっと今日一緒に食事をする人たちだ。ギャングの世界では当たり前かもしれないけど、みんな凄みがある……。
そんなことをぼけっと考えてたら、1番最後に入って来た金髪の人とバチっと目があって思わず声を上げそうになるのを耐える。あ、待って、こっちに近づいてきた。
「お前が噂のやつか」
上から下までじっくりと見られ体はカチコチに固まった。ああ、なんだかすごく嫌な予感がする。
「へぇー、彼女が例の?」
「今時ギャングになる女なんてどんなもんかと思ってたけどよぉ」
「ジャポーネもなかなかいいな」
金髪の人の声で、ロングヘアをいくつかに束ねた男性もつられてやって来る。視線が痛い、そろそろチームの誰かに助けをこわねば身がもちそうにない……。
「……!」
「なぁ、この後二人で飲みなおそうぜ?」
「おい、抜け駆けすんな」
腰を抱かれ、「な、いいだろ?」なんて耳元で言われブワッと顔に熱が集まる。爆発寸前だ。咄嗟に突き飛ばして、近くにいたアバッキオの後ろに隠れた。
「おいなんだよ、つれねぇな」
「姫は過度なスキンシップがお気に召さないようだ」
ジョルノがそう言うと、「そのようだな」と低い声がコツコツと足音とともに私に向かってくる。今度は白髪のとても大きな人で、珍しい瞳をしていた。
「プロシュートが悪かったな、ちゃんと言い聞かせておく。だから今は俺たちと一緒に食事してくれないか」
「……は、い」
出された手を取ると、その人はリゾットだと名乗り席までエスコートしてくれた。そうして、リゾットさんとジョルノに挟まれて座るとようやく会食はスタートした。
「緊張しているのか?」
「まぁ、その、少しだけ……」
気をつかってくれるリゾットさん。話が始まれば、意外とみんないい人そうにみえる。が、金髪の人の話は聞こえないフリだ。
*
「さっきは悪かったな」
「わっ!」
「おっと!そんな驚くことないだろう」
「す、すみません、ぼうっとしてて……」
お手洗いに立った帰り、背後からの声で足がもつれそうになる。咄嗟に掴んでくれた腕を放しながら「健康状態は良さそうだ」なんてことを言われた。私は元気だけが取り柄だもん、健康状態はいいはずだ。
「誰かわかるか?」
「えっと、メローネさん?」
「ベネ!おりこうさんじゃあないか!」
「わわわ、」
俺のことはメローネでいいぞ、そう言いながら頭を撫でまわされた。せっかくセットしてもらったのにな、なんて考えていたらコツコツとひとり近づいてくる気配。
「おいメローネ、こんなとこで何やってんだ?」
「ふふん、麗しいガッティーナとお喋りしてたのさ」
「あ?……ああ、お前か」
「ナマエ、コイツはギアッチョだ」
「ギアッチョさんですね」
「プロシュートのやつ、ここ来る前に酒ひっかけて来てたんだ。まったく調子乗ってやがる」
それは、フォローのつもりなのだろうか。ギアッチョさんはブツブツと言いながら会場へ戻って行った。苛立っているような口調のはずなのに、こちらへの攻撃性はまるで感じられない。
「どうしたんだい」
「いや、……メローネたちってあまり怖くないなって思いまして」
「はは、君はおかしなことを言うな。俺たちもギャングなんぜ?」
「私だってギャングですよ」
そう言えば、少しからかうように「では麗しいギャングのナマエ、お手を」なんてエスコートが始まる。重ねた手はやっぱり怖くなかった。
今回の話は組織内のチーム同士で定期的に交流して情報交換するそうで、まさに今日がその日とのこと。私が入る前から決まっていたらしく、うっかり連絡をするのを忘れていたとジョルノは珍しく凛々しい眉を下げた。
「これは僕のミスです」
「ぜんぜん大丈夫だよ、どうせ家に帰ってごはん食べるだけだったし」
「そう言ってもらえると助かります。ネアポリスで一番ランクの高い場所なので、ぜひたくさん食べてください」
やった!ごちそうだ!なんてワザとおどけて見せると、ジョルノはやっと笑ってくれた。ドレスコード分からないから選ぶの手伝ってね。調子に乗って言うと、すぐに爽やかな顔で「もちろんです」と私の腰に手を回して歩きだした。
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ジョルノに選んでもらった赤いドレスを身にまとい目的地に向かうと、予想をはるかに上回る格式の高さで歩き方がぎこちなくなってしまう私。チームのみんなもいつもと雰囲気の違う装いでドキリとした。
「そんなにソワソワしてどうしたんだ、お嬢さん?」
「格式が高いと聞いてたけど、予想をはるかに上回ってて……」
「はは、すぐ慣れるさ」
そう微笑むブチャラティは私の髪を耳にかけると「今日は一段と綺麗だ」なんて言うものだから、心臓はドクリと大きな音を立てた。ああ、顔が熱い、ものすごく。
「ん?どうしたナマエ?」
「あの、」
「まさか、どこか具合でも悪いか?」
「ううん、……その、照れちゃっただけ」
ブチャラティは私が顔を上げると、心底安心したような表情になった。本当は恥ずかしいから自分の口から照れただなんて言いたくなかったけどね。でも、ブチャラティがあまりにも心配そうな声を出すものだからそんなこと思ってられなかった。きっと、今私の体は爆発寸前まで熱がたまっているはずだ。
ひとまず頭をクールダウンさせたい。会食が始まる前にお手洗いにでも行こうか、そう扉に近づいたところでガチャリと先に開いたので慌てて横に避ける。そしたらゾロゾロとスーツを着た男性が室内に入ってきた……、きっと今日一緒に食事をする人たちだ。ギャングの世界では当たり前かもしれないけど、みんな凄みがある……。
そんなことをぼけっと考えてたら、1番最後に入って来た金髪の人とバチっと目があって思わず声を上げそうになるのを耐える。あ、待って、こっちに近づいてきた。
「お前が噂のやつか」
上から下までじっくりと見られ体はカチコチに固まった。ああ、なんだかすごく嫌な予感がする。
「へぇー、彼女が例の?」
「今時ギャングになる女なんてどんなもんかと思ってたけどよぉ」
「ジャポーネもなかなかいいな」
金髪の人の声で、ロングヘアをいくつかに束ねた男性もつられてやって来る。視線が痛い、そろそろチームの誰かに助けをこわねば身がもちそうにない……。
「……!」
「なぁ、この後二人で飲みなおそうぜ?」
「おい、抜け駆けすんな」
腰を抱かれ、「な、いいだろ?」なんて耳元で言われブワッと顔に熱が集まる。爆発寸前だ。咄嗟に突き飛ばして、近くにいたアバッキオの後ろに隠れた。
「おいなんだよ、つれねぇな」
「姫は過度なスキンシップがお気に召さないようだ」
ジョルノがそう言うと、「そのようだな」と低い声がコツコツと足音とともに私に向かってくる。今度は白髪のとても大きな人で、珍しい瞳をしていた。
「プロシュートが悪かったな、ちゃんと言い聞かせておく。だから今は俺たちと一緒に食事してくれないか」
「……は、い」
出された手を取ると、その人はリゾットだと名乗り席までエスコートしてくれた。そうして、リゾットさんとジョルノに挟まれて座るとようやく会食はスタートした。
「緊張しているのか?」
「まぁ、その、少しだけ……」
気をつかってくれるリゾットさん。話が始まれば、意外とみんないい人そうにみえる。が、金髪の人の話は聞こえないフリだ。
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「さっきは悪かったな」
「わっ!」
「おっと!そんな驚くことないだろう」
「す、すみません、ぼうっとしてて……」
お手洗いに立った帰り、背後からの声で足がもつれそうになる。咄嗟に掴んでくれた腕を放しながら「健康状態は良さそうだ」なんてことを言われた。私は元気だけが取り柄だもん、健康状態はいいはずだ。
「誰かわかるか?」
「えっと、メローネさん?」
「ベネ!おりこうさんじゃあないか!」
「わわわ、」
俺のことはメローネでいいぞ、そう言いながら頭を撫でまわされた。せっかくセットしてもらったのにな、なんて考えていたらコツコツとひとり近づいてくる気配。
「おいメローネ、こんなとこで何やってんだ?」
「ふふん、麗しいガッティーナとお喋りしてたのさ」
「あ?……ああ、お前か」
「ナマエ、コイツはギアッチョだ」
「ギアッチョさんですね」
「プロシュートのやつ、ここ来る前に酒ひっかけて来てたんだ。まったく調子乗ってやがる」
それは、フォローのつもりなのだろうか。ギアッチョさんはブツブツと言いながら会場へ戻って行った。苛立っているような口調のはずなのに、こちらへの攻撃性はまるで感じられない。
「どうしたんだい」
「いや、……メローネたちってあまり怖くないなって思いまして」
「はは、君はおかしなことを言うな。俺たちもギャングなんぜ?」
「私だってギャングですよ」
そう言えば、少しからかうように「では麗しいギャングのナマエ、お手を」なんてエスコートが始まる。重ねた手はやっぱり怖くなかった。