お祝い
真っ白いテーブルクロスの上に並べた御馳走。
あの人の仕事が終わる30分も前に用意は完了してしまった。
そういえば、地球から持ち出した化粧品があったはず。必需品の化粧品も宇宙船内ではあまり作られていないらしい。
食糧、空気、飲料が当然とはいえ最優先で生産される為、それ以外のものは常に欠乏している。
けど、今日は大切な地球で仕入れた使ってしまおう。
粗悪な宇宙船で作られた製品とはやっぱり違う。そんな気がする。
延々と加速を続ける宇宙船。
もう地球を出てから3年。
けど本当は3年どころではないという。
相対性理論。
加速を続ける宇宙船。
地球ではとんでもない時間が過ぎ去っていることになる。
地球を思い出しセンチメンタルな気分に浸って御化粧をしていると彼が帰ってきた。
「今日は何のお祝いだい?」
あたしは黙って彼のグラスに赤ワインを注ぐ。
「君のは?」
「赤ちゃんができたの。そのお祝い」
彼があたしを抱きしめる。
あたしはもしかしたら幸せなのかもしれない。よくわからないけどそんな気もした。
けれど、少し力を入れすぎていると注文を付けた。
やっぱりあたしは幸せなのかもしれない。
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