お前の腹の中で死ぬ事にする
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如何わしい事をするだけが恋人ではない。この場所をつかう時は、ただ寄り添う時間の方が長かったような気がする。恥ずかしげに背中を少しまるめて俺のキスを受け入れた彼は、途端、訝しげな顔をして「どうしたんだ」と問いかけた。その問いに答えず、自分よりも高い位置にある頬に触れれば、ビクリと身体を強張らせる。指先に伝わる怯えが愛おしくて笑えば、なんとか笑い返そうして失敗し、情けない顔になっていた。
「獅子は愛しいと思いながら獲物を喰らうというのだから、理性を振り切った野生の中、食欲の根源は愛があっても可笑しくはないのだろう。
巨人に理性はあるのだろうか。奴らは何故人を喰らうんだろうか。世界は愛に満ちているのではないだろうか。何でお前はそんなに飢えた眼で俺を見る?」
可笑しな点は多々あった。
みんなわかっているんだよ。そう囁けば、『みんな』が『全部』という意味なのか、それとも『全員』という意味なのか混乱して犬のように短い呼吸が静かな部屋に小さく響く。
は、は、は、
息も絶え絶えに、俺を見下ろしている彼は酷く哀れだった。
最初から、強い人間ではなかったのに。どうしてこんな事になったっんだろうねえ。撫でた頬は酷く冷えている。
「俺を好き?愛しているかい?ああ、良い子。俺も好きだよ。愛しているよ。食べたい位に」
うわごとのようにライナーを呼んだ。次にアニに助けを求めた。
「こわいよ、やめてくれ。もう、たすけて」
そして最後に、俺の名前を呼んだ。
知らない街の中に置いて行かれた子供のような眼をしているくせに、その奥に揺らめく欲の色は鮮やかだ。お腹がすいた?食べたい?まだ駄目だよ、愛しているよ。―――――ベルトルト。
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