パパ、あいしてる。


双子の兄達は身体も頭も可笑しかったし、ママも随分イカレていたので、レスターは必然的にパパに育てられた。ベビーシッターはいただろうが、そういう奴らはいつのまにかいなくなるのが常だったのでよくわからない。

レスターはママが好きだったが、ヴィンセントへの偏愛やボーへの嫌悪とその態度もよくわかっていたので深く踏み込まず、それなりに良い子としていきていた。
誕生日もクリスマスも、ママからはプレゼントを貰った覚えが無い。ヴィンセントは貰っていたが、彼は無関心に蝋人形を作り続けていた。ボーがそのプレゼントを喚き散らしながら壁にたたきつけて破壊しても、その罰として椅子に縛り付けられても、ヴィンセントは無関心だ。パパは三人にちゃんとプレゼントをくれたのに、兄達は興味が無い。少し悲しそうな顔をしたパパに「ありがとうパパ、これが欲しかったんだ!」と、実際はまったく興味もないくせに、分厚い事典を持ち上げてはしゃいでみせた。苦笑いをして頭を撫でてくれたパパは、レスターのリップサービスを理解していたのだろう。

ボーが獣のように吠える声が隣から聞こえる。厳しい顔をして出て行ったパパを見送り、数分後にママとパパの諍いも聞こえた。



この家はみんな頭が可笑しい。
きっといつのまにかパパも可笑しくなっていたのだろう。

あまり天気の良くない日、パパが死んだ。

頭を一発撃ち抜いて、パパが死んだ。


レスターは身も世も無く泣きじゃくった。意外だったのは、ボーが泣いて棺桶に縋った事だった。「パパ、パパ」と泣きながら冷たい手にキスをしていた。ボーがパパの手から指輪を盗んだ事を、レスターは黙っておく事にした。愚かな兄の事を憐れんだ。レスターはパパに抱きしめてもらった思い出も、一緒に遊んだ思い出もある。差し出される手を全て突っぱねて来たボーには、貰ったプレゼントしか残っていないのだ。埃をかぶった包装紙を今更開いても、パパは喜んでくれない。プレゼントは貰ったその時にありがとうといわなければ、何の意味もないのだ。気持ちにだって埃が被って、汚れるだけ。





「……」

ヴィンセントが相変わらず薄気味悪く突っ立っている。ボーの肩を叩き、肘打ちで返されて転がった。仕方なくだろうか、レスターを見て蝋を指差した。

ああ、そうか。準備をしなくちゃいけない。








愛するパパを永遠にそのままに。


たぶんレスターも頭が可笑しくなっている。だってこんなに、嬉しいのだ。


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