忘れるなら勿体がらずにころしてちょうだい
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ルシファーが傅く主は人という器の中で、特別な存在だった。
主神の元を離れ、ダンジョンで主を守る日々に違和感はない。ルシファーは常に主を守るために存在し続けているのだ。
主は己を王だと言った。正確には、いずれ王になる男だと。
その隣に侍らせるのなら、見た目の良いモノの方がいい。ついでに強ければ殊更良いと、たまごがパリンと割れたその日のうちに、次々とモンスターを経験値へと変換させてもらい、身体を上位に変化させられた。
ルシファーの中にほかのモンスターの力が溶けていく中、見目の良いモンスターが泣いていたのを理解している。同じ天使であった者が、敵対者である悪魔が、主に何故と問いながら身体を四散させていった。それはつまり、死なのだろう。屍を糧に強さを得、彼らが求め愛した主に侍り、その寵愛を受け取る。
そのことに罪悪の是非を問いたりはしない。
主の成す事柄に疑問を覚えるのは粗悪なモンスターのやることだ。ただ自分の職務を全うすればいいだけである。
「お前はそこそこ使えるな」
上から落とされる言葉に「ありがとうございます」と頭を下げると、主はつまらないそうに鼻を鳴らした。
このダンジョンの奥、そこには新しいモンスターが待ち構えている。
勝利と同時にその者は主に平伏するだろう。そして、次はその者がお気に入りになるのだ。自分の代わりに。
ボックスで眠るより、誰かの糧になって貴方の傍にいたい。
言えたらきっと、幸せに最期を迎えられるのだ。ルシファーには決して言えない、大それた願い事だった。
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