そんな夢をみた


さて、始まりはなんだったんだろうか。真面目な顔をしたベルトルトがでかい身体をいつもの三角座りから正座に変えて、俺に向き合った。
「名前に言いたい事があるんだ」と深刻な雰囲気だが、すわ、別れ話だろうか。それは困る。
俺はこの、でかい図体をして童顔で優秀でビビリな男の事が好きなのだ。とりあえず胡坐から佇まいを直し、同じように正座をしてみた。

「僕は君が好きだ。ずっと一緒にいたい、だから」
「おお」

「いつか平和になったら、僕の故郷にきてくれないか」
「なんというプロポーズ。というかお前、もうすぐ出陣って時に…完全に死亡フラグじゃないか!」

こんなに完全な死亡旗ぶっ建てた男、はじめて見た!っていうかお前の故郷巨人塗れだろ、そっちも死亡旗じゃねえか!
耐え切れずに笑うと、傷付いた顔で「だめ…かな…」とうなだれた。駄目とかそんなんじゃなくて、お前…ベルトルトお前…安定の天然か!

「いいぜ、一緒に行こう」

笑いの発作が治まってきて、生理的に浮かんだ涙をぬぐいながら言う。
俺の故郷にも呼びたかったが、俺のところは完全に壊滅してるから無理なことだ。だからベルトルトの提案はとてもいいものに思えた。


「お前がどんなところで生きたか、俺に見せてくれよ」

「ああ、とてもいいところなんだ。きっと君も好きになる」

家畜を飼おう、村を直そう、荒れた全てを元通りにして、みんなで幸せに暮らしましたとさ。そんな感じの、希望に満ちた未来を相談し合って。寄り添って眠った。

その言葉が絶対に叶えられないものだなんて、俺は知らなかったけど。







天辺が見えないほどばかでかい巨人に、腰が抜けたようにヘタリ込む。戦わなければいけない。巨人は敵だ。ベルトルトは敵ではない。焼けるような熱が俺に掴みかかる。


俺はこの、でかい図体をして童顔で優秀でビビリな男の事が好きなのだ。


こいつの故郷はどんな森があるのだろう。そんな事を考えながら、骨が砕ける音を聞いた。


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