抱かれて眠る夢を見る
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「授業で作った痛み止めやるよ」とか、「マッサージするといいらしいからちょっと横になれ」とか。俺が「愛してるよ……」と言いながら寝落ちしたら「死ぬんじゃねえ!!」ってマジの拳いれてきたことだけは許さないけど、ほんとみんな優しかった。あいつら縄張り意識高過ぎて排他的だけど、縄張り内の仲間には献身的なんだよな。
ラギーだけは「一緒にちっちゃいものクラブとして頑張っていこうって言ったじゃないッスか! オレを置いて伸びんな! おい!」と動けない俺を転がし回って虐めてきてしばらく部屋を出禁になった。ちなみにそんな約束はしていない。
「どうすっかなあ」
二年に上がり、部屋も移動した。その時にまとめてたり部屋着にしていた服が山のように重なっている。寮生活だから、入学前にまとめて買ったものだ。多少は大きめを買っていたが、まさか30cm伸びるとは思っておらず。サイズアウトしたまだ小綺麗な服が大量にある。制服も運動着も式典服も新調したから、一年の時着ていたものをどうしようか。捨てるにはあまりにも高級品なんだよな、これ。今のラギーの身長と同じくらいだからあげにいこうかと考えたけど、同級生でそれをやるのは失礼になるかな。
とりあえず制服はレオナ先輩から貰ったことに意味があるし、俺の分はいらないよな?
服を抱えて談話室に顔を出す。そこら辺の一年を捕まえて「予備として必要なやついるか〜?」と声をかけた。一瞬で回収されていった。サバナクロー生、めちゃくちゃ荒っぽいからすぐ制服傷むもんな。有効活用してくれそうで嬉しいよ。
途中「ミョウジ先輩の制服は俺のもんだ!」という叫び声が聞こえたけど、何らかの付加価値がついてるのだろうか。ちょっと怖い。
あとは部屋着にしていたものと、袖も通してない新品たち。今の様子を見ると、渡せば快く活用してくれそうだ。明日もまた持っていこうと、部屋で服をまとめていた。
「とんとんとんお邪魔するッスよ」
「ノックを口で言うなよな。どした」
俺が「どうぞ」を言う前に勝手に入ってきたラギーは『オレは怒ってますよ』の顔をしている。
「ナマエくん、ひどいっスよ! 絶対オレの方がナマエくんと仲良しなのに、なんでくれなかったんスか!」
制服! 運動着! 式典服! ぜんぶ俺と同じサイズだったでしょ!! と俺が後輩に渡したものを全て把握して怒っている。なんだ、あげてよかったのか。施しだと思われたら嫌だったから敢えてなにもしなかったけど、気を使いすぎてたか……。
「ナマエくん、手に持ってるもの全部オレに渡してください。どーせそれもあげるやつッスよね? じゃあオレのものッスよ」
「古着も混じってるからちょい待って。新品の方渡す」
「どうでもいい後輩に、においつきの服をあげる気だったんスか!?! サバナクローでそれを言うとか正気っスか!!」
「え、ダメ? 洗濯してるけど……」
「あっぶねえ~~~! オレが適切に処理しとくんで、もう勝手に服捨てんな! 全部一回オレを通して!」
「ええ……分別くらいできるし」
「できてねえから言ってるんスよ!」
山盛りの衣類を抱えて顔が見えなくなっている。もごもごと「世話がやけるッスねえ」と言われるが、いったいなぜ……。
「ナマエくんは鷲の獣人だから鼻より眼が良くて自覚ないんでしょうけど、オレらって古着でも匂いがわかるんスよ。誰のものかとか、誰にマーキングされてんのかって」
「情報量多くて生きるの大変そうだな」
「慣れてるんでそこら辺はへーき。んで、ナマエくんの場合、後輩に人気あるからイヤな使われ方するかもしれねえってはなし」
「いやなつかわれかた……?」
「わかんないなら良いッス。今後オレに全部渡せば良いってだけだから」
「ああ、うん、わかった……?」
「わかってないのにわかったって言わない」
「はい」
なぜかずっと怒っていたラギーが、部屋を出る時も振り返って「いいッスか、今後私物を誰かに渡す時はオレを通すんッスよ!」と言って出ていった。俺の権限の八割くらい、ラギーが持っていってる気がする。まあ……売るにしても捨てるにしても、俺よりラギーの方が有効活用してくれるだろうしそれでいいんだけど。
後日、ラギーの部屋に遊びに行ったらベッドに俺の昔の服が綺麗に畳まれて置かれていた。あれよく着てたから他のやつより古ぼけてるのに。
「あれ古着だけどいいの?」と聞いた瞬間「忘れろ!!」と全力で頭突き食らって鼻血を出して泣いて部屋に逃げ帰った。同室者に「お前は6割くらいしか悪くないよ」と慰めてもらったけど、俺のどこが6割も悪かったんだよ…………。哺乳類の獣人、難しすぎだろ……。
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