だいたい全部燭台切のせい
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いや―――こまったなあ―――パソコンがないと仕事ができないよお。でもいつも頑張ってくれる燭台切のたまのお願い事ぐらいきいてやらなきゃなあ。仕方ないなあまったくも――。と、その横で審神者新聞を開き最近の情勢をチェックする心優しい審神者マンです。コンニチハ!
へー。さにちゃんの板が原因不明の霊力侵食受けて消されたのか。そんな事できるのは敵か高位の審神者のところの高レベル刀剣くらいだろうけど、まさかなあ。敵だよなあ。うんうん、敵だ。うちの一期はなんの関与もしていない。俺はそう信じている。
「ぴっっ」
「あ?」
背後から甲高い声が聞こえたので振り向く。
燭台切はまだネット関係に疎く、その上ころころと興味がうつり、おまけにネット上での警戒心も薄いのでよく連コラやグロ画像、はてはウイルスまで丁寧に踏む。そのたびに「なおすのはこんのすけなのですよ!」とこんのすけがブチ切れるので、もうそろそろ学んでもらいたい。お前に必要なのはブルーライト用のかっこいい眼鏡ではなく、その好奇心を抑える自制だ。
今回はなにかの動画を開いてしまったらしい。広い背中で画面が見えないがキャーキャー喚いて煩い。何見てんだこいつ。
「うわああああああうわぁああぁあ!!!僕が!!!あられもない姿に!!主くん見て!!僕が!!!ぴーーーーす!!!ぴーすぴーす!!!!らめえ!!」
『んああっvvvvありゅじっvvもっとおくvvvvvvおくにいいいっvvv』
「わああああわああああ!!なにこれえ!!主くん大変だよなにこれうわああああ!!」
こいつ『燭台切光忠と審神者の生ハメ実況動画』踏みよった。
なにしてんだこいつ…人のパソコンでエロ動画みるとか…こわ…引く…。
「仲良しですねって!光忠がうれしそうですねってこめんとされていたんだよ!他所の審神者と他所の燭台切の様子が知りたかっただけなんだ!そんな眼で見ないで!」
「だから怪しいアドレスをクリックすんなっつったろ…」
すっかりパニックに陥った燭台切は、動画を止めるという手段を忘れて俺をみたり動画をみたりと忙しない。ウイルスではなさそうなので、また新聞をみる作業に戻った。へえ…今度講習会がやるのか…参加しようかな…。
「おかしいよ!肛門は少なくとも出口でしょう!?!?なんで入口っていうの???!?この僕バカかな!?噂の変異体ってやつかな!?!?」
「略してヘンタイな」
「へんたい!!光忠覚えた!!このふたりはへんたい!!」
うわあうわあと言いながら、結局食い入るように動画を見ているので興味はあるのかもしれない。
お前はアレか。エロ動画はじめて見た中二の女子か。手で顔を覆ってから指の隙間からチラ見するのはやめるんだ。
講習会のテーマは刀剣男士の個体差についてか…明らかに他所の子とは違う宗三について相談したいな…。この前重症手前でぶちぎれて、敵大太刀の首手で捩じ切ってきたし…なんか持って帰ってきて「首実験してください。そして褒めろ!頑張った僕を褒めろ!」と恫喝してきたし何なんだ、あのクルマサカオウム…おかしいだろ…。
参加希望の式神を用意する俺の後ろで、相変わらず燭台切は断続的に絞められた鶏みたいな声を出して恐れおののいている。
「うわあ…うわああ……痛そう…苦しそう……へんたいな僕可哀想…主に虐待されてる…」
「同意でやってるらしいぞ」
「同意で………こわ…僕がわからない…」
「仲のいい証拠なんじゃねえの」
「小姓とかならわかる…理解できる…みつただりかいした…これはなかよし…」
「大丈夫か?心を知ったばかりのロボットみたいな口調になってんぞ。退化かよ…手入れするか?」
「手入れ?!そうやって僕を手入れ部屋に連れて行って何をする気だい!!?僕をぴーすぴーすさせてなにをするつもりだ!!」
「随分とダブルピースが印象深かったようだが、俺がお前に求めていることは池にでも突っ込んで頭冷やせって事だよバカヤロウ」
動画のシチュエーションがお手入れセッセセだったらしく、手入れと言う単語にすら過剰反応を返すバカヤロウをまるめた新聞紙で引っ叩く。「やめてよ僕ごきかぶりじゃないよお!」の悲痛な叫びを無視して、パソコンをとりあげた。また悲しげな声をあげるが、これはもう俺の仕事で使います。エロ動画を見る機械ではありません。
「あの、さ。主くんが望むなら」
「望みません」
「これくらい!これくらいの大きさならいける!」
「望まねーし親指をたてるな」
「これくらいは辛いから無理かも!!」
「望まねーし中指をたてるな」
「ぴーすぴーす!!!!らめえ!!」
「それ別にお作法とかそういう意味の呪文じゃないぞ」
俺の説明が悪かったのか、うちの燭台切が阿呆だったのか、動画から触発されたのか「みつただしってる。せっくすとはなかよしのしょうこ」と洗脳でもされてんのかという眼でお誘い かっこ笑いかっことじ をしてくる燭台切を新聞紙でぶっ叩き続け、奴が飽きるまでの一週間は軽く地獄を味わうこととなる。
しかも当の燭台切が飽きて忘れたころに、他の刀剣男士にその語源も伝わらないまま―――流行った。
「主殿!今日も良き天気であるな!ぴいすぴいす!!」
「らめえ」
「違うよ兄弟。セットで言わなきゃ、ぴーすぴーすらめえ!って」
何も知らない元気な堀川派兄弟の笑顔をみて、俺は燭台切へのネット使用権永久剥奪とフィルタリングの強化を心に誓った。ああ、そうね。今日も天気が…とても…いいね…光に目が眩んで涙が出そうだ。
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