たとえどんな投稿がこようとも…
書いてやろうじゃねえか…!
どんな無茶ぶりも応えて見せるっ…!

そんなスタンスで、
無茶ぶりリクエストに対し、
1000文字前後の全力で
3人の管理人が挑みます。
−企画 panic room!−

第二弾 採用お題
【白髭海賊でダンスをすると
したらヒロインは誰を選ぶか】





今日という日が晴れで良かった。

すっかり馴染んだホーム。
空と海の綺麗な二色をバックに
ずらりと並んだ白スーツ。

世話になったと言うには軽すぎる、鮮やかなる男達。



「お前は白が好きだろうってな。うるさくてよい」



照れくさそうにネクタイを触るマルコ。最初はこんなじゃなかったなぁと、何度見ても微笑ましくて。にやけ続けた頬はもうおかしくなりそうだった。


散々飲み散らかした宴会後、
突然消えた隊長達は、全員この姿で現れたものだからそりゃあ驚いた。更には一人一人と踊らされて。

旅路の最後をこんなにも華やかに彩ってくれるから、何の尾も引かず晴れ晴れ行けそうだと、心はいつに増して開放的になる。

「本当に嬉しいよ。こんなにさ。やー、私って凄く愛されてるね」

「ハ。大事な奴にはどうだかね」

「今それ言う?」

「………言ってねえのかよい!?」

「だって言わない方がいいんじゃない?降りるんだし」


呆れた顔を見るのもこれが最後かと、特に気にもしない私を他所に、マルコはサッチを手招いて、何やらぼそっと話し掛ける。


「へええええ!!!あーそう!!解った解った。俺っちに任せろ」

「もう…また何をしでかす気よ」

「聞けえええ!!!今からユメが惚れた男の前に立つ。ファーストダンスだ!」

「はぁー……ていうか、ラストダンスじゃなくて?」

「手を取っていいのは、答えがイエスの場合のみだ!いいな?オッケーか。よし、ゴー!」



一列に並んだ隊長たち。

上手に秘め続けたのに、最後でこれかと溜息をつくけれど、晴れ晴れしいのは変わらない。

思わせぶりな芝居を打ちながら、ゆっくりゆっくり品定めするみたいに歩いて。関係ねぇやと言わんばかりに欠伸をする、そっぽを向いた彼の前を通り過ぎ。三歩戻って向き直った。


「私と踊ってくれませんか。イゾウさん」


冷やかしの騒音が凄い凄い。
そんな中、
信じられないと驚く彼は
酷く機嫌が悪かった。



「なんでもっと早く言わねぇんだ」


「言えませんよ。海賊は海の子でなくちゃ」



叩く勢いで手を取られて、
その荒っぽさに笑う。



「勘違いしてくれるなよ。餞別なんかじゃねえ」


真っ白なスーツは贔屓目にも、やっぱりこの人が一番良く似合う。

きゅっと一つに縛った髪を肩に流し、胸元に飾られた白い薔薇がその途中を彩る。 だから彼の少しブレた色がわかり易く浮いて見えた。



「意外です。これって想いが結ばれた事になるんですか」


「お前さんが嘘でもついてなきゃな」


「そんなまさか。大好きですよ世界一」


キョトンと眉を釣り上げて。
豪快に笑い始めた彼に強く引かれて、初めてその胸の中に恋心が納まった。



「いっけねぇ女だ」


「折角ですから我儘いいですか」

「言ってみな」

「意味の無いキスを下さい」

「へぇ、そりゃまたおかしなことを言うねぇ。唇を重ねるのに元々意味なんかねぇだろう」



衝動さ。 と、一言。

腰を抱いていた手は引き寄せるため頭にまわり、両手で髪をまさぐりながら指先に力がこもる。その強引さに反して、優しく押し付けられた唇は我儘に角度を変えて、どこまでも想いを重ねようとした。

これでいて
この行為に意味は無く、
衝動だと言うのだから。


「いっけねぇオトコだ」


夢中で溺れ合っていた唇の隙間からそう溢せば、薄く開かれた瞳はやはり、愛しいと言っているように見えた。



互いに、
心だけ頂いていきましょうか。

たとえ違う地を踏もうとも、
私はいつでも空を見ますから。
だから貴方も、
自由に夢路を進んで下さい。



さようなら。


これで私は
広くて大きな世界から、
永遠に貴方を手に入れた。



代名詞はさようなら



ファーストダンス
新郎と新婦が結ばれて初めて手を取り合い踊るダンス。共に歩む新しい人生の始まりを象徴する。

 


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