国語辞典・本のページ数を
指定してもらい、
出た単語をテーマにして
「45分以内を目標」に
指名されたキャラで書き合う
お勉強企画-45min.より
辞典お題【破廉恥】
何故こうなったのか、そうは思わない。ただ私はこのように歩いた人生があり、あんたには海の先に夢があるだけ。
誰もが寝静まる夜の島。
闇に紛れた私は一枚、
さて。と、仮面を取る。
「遅いぞ」
「待った割りに嬉しそう」
言ってろ、と歪む口元に幸福。
ポケットから逃げた手を迎え合い、
秩序と無秩序が争う街を走り出す。
被害を受けたあられもない昼の跡。
円を描くえぐれた土、
安全第一の看板、
立ち入り禁止、三角コーン。
「おい、やるなら静かにやれ」
道すがら、あらゆるものを蹴り飛ばす私を叱りはするが、この人のそれは冗談だ。現に横にあった屑籠は音もなく明後日の方向へ浮いたが、そのまま落ちて派手な音を立てる。
「こんな風にかな」
真面目に真似て、張り合うように破壊音。ローは笑っている。静かに、と、私の瞳にその目を映し。
本当はなんだっていいのだ。
宛なく走る私達にはもう何も見えちゃいない。潜む振りして抑えた声を時々荒げ、軽快に笑い合う。サーチライトは無法者を探すけど、この夜あんたはこの手を離さないと知っている。
二面性の裏側で全てを薙ぎ倒し、打ち砕き、ガラスを割り歩く高笑いの破壊衝動は、ルールやモラルより確かなものだと互いに知っている。
「ちょっと休憩、息があがる」
「なんなら止めてやろうか」
どうせこの世は君しかいない。
息を切らし、
見上げた高木の隙から月の端。
すり抜け浮かぶ大小の泡。
首に腕を回し、
疾走の休息に唇を奪い合う。
閉園した夢の国に転げ込み、脱ぎ散らかした裸の上には敢えての白コートを。緑の非常光は止まった観覧車と、決着のつかないストリップ勝負を怪しげに演出してくれる。
「愛してるよロー」
「少し黙ってろ」
世界一愛する賊に脱がされる正義は悦以外の何ものでもない。だから何故こうなったとは思わない。しかし夜明けに海軍を羽織る頃、私は違う意味で君を追うだろう。
だからそれまで、
踊り続けようじゃないか。
互の夢の裏側で、
また二人の夜がやってくる日を
心待ちにして。
夢の国
【破廉恥】
恥を恥とも思わぬ事。
恥知らず。
不正、不徳の行いをする事。