たとえどんな投稿がこようとも…
書いてやろうじゃねえか…!
どんな無茶ぶりも応えて見せるっ…!

そんなスタンスで、
無茶ぶりリクエストに対し、
1000文字前後の全力で
3人の管理人が挑みます。
−企画 panic room!−

第一弾 採用お題
【サボエースルフィが
一緒に海賊をしていたら。】





「嫌ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!睨んでる、睨んでるこっち来ますエース助けてえええて!!!!」

「ああ?なんだよ」

寝ている男をガクガク揺らせば、凄く面倒くさそうに顔をしかめる。今一番近くに居るのはエースだから仕方ないんだ。ほら、ボケっとしてるこの間にも、アイツはあんなにも怒って。

「やばい!急いで!ホントに急いでお願いいいい」

空まで届きそうな程、巨大な海王類。何度も小突かれて激怒したそいつは、狙いを定める蛇の様に揺れてこの船を睨み付ける。

横目でそれを確認し、中々の強者だと踏んだエースの目は、起きがけとは思えない程きらりと光って、怪しげに笑い、そして腹に乗せていた帽子を深く被った。

「暇つぶしが来た」

ファイティングポーズを決めたエースに取り敢えず一安心。放っておいたら後は片付けてくれるし、私はこの後お礼に渡す食べ物でも探してこようか。

しかし、振り返りもせず歩き始めた進路が信じられない程揺れ、弾かれて上空へ飛ばされたのはそのすぐ後の事だった。

エースが相手している筈のそいつは巨大な上に俊敏で、獰猛で。尻尾で船を揺らし、一番弱そうな者から弾き飛ばして口を開けて待つ程に賢い。


「ア゙ア゙ア゙!!!死ぬ!死ぬ!!ルフィルフィルフィっ!」


でも心配ない。
3回呼べば伸びてくる魔法の腕が、瞬く間に私の胸倉を掴んで、こうやって直ぐに甲板へ引き戻してくれる…んだけどね。


バコ、と無残に砕ける周囲の板。
しまった。
こんなのがサボにバレたら。


「なあ、これ沈んだら洒落にならないんだぞ」


もう冷や汗しかでない。
私の体は海図を書いていたテーブルごと突き抜け床の上に。あと、サボの胸に。新郎新婦ですか?って態勢で首に腕まで回していた私は、取り敢えずその場のノリで、引くつく彼のズレた帽子を戻してあげる。


「えーっと、てへぺろ。」


盛大な溜息を聞きながら抱き上げられ、やっと地に足つければ、現状は床に穴一つ。壁に穴とルフィ。ちょっとだけ…海水。


「エースはね、海王類の係りなの」

「解った。俺が治すから後は頼んだ」


やった怒られない!と思ったのはつかの間、ぐいと引かれた耳元で「後でゆっくり聞かせてもらう」と非常に低い声が、またもや冷や汗を連れてきた。


「お前達は早く上に行け!」


うかうかしてられない。
彼らとの航海を、こんな所であんな奴に終わらせられるなんて御免だ。

壁に埋まったルフィを叩き起し、急いで落ちてきた穴から顔を出してみる。すると私が乗り出すより早く、ルフィはもうエースの隣に立っていた。


「よしいくぞルフィ」

「おうっ。」


そんな二人の背中を眺め、呑気に好きだなと思った。太陽が照らす彼らの笑顔は、私の顔をどこまでもだらしなくさせる。
海王類の叩く水しぶきはキラキラ降って、一層世界を輝かせて素敵だ。そしてニヤける私の隣に降ってきた二人は、また大きな穴を空けた。


「えええええ!??どうしようどうしよう!サボー!サボー!!!」


二人を揺すりながら改めて見上げれば、何故だか三匹に増えている巨大なあいつ。やばい、文字通り蛇に睨まれてる。なんてくだらない事が頭をかすめる程パニックな私は、震えるしかないんだけども。


「ホントお前達は面倒くさい体だな」


太陽光線を華麗に遮るその影が、やはり全てを綺麗に収めてくれた。





「で、誰が犯人だ」


どんな魔法を使ったの?ってくらいまともになった船内で、犯人探しは始まった。勿論皆は、全ての始まりである私を指さす訳で。

「みんなが構ってくれないから、追っかけてくるアイツに石投げて遊んでましたごめんなさい」

彼らに嘘はつかない。
ルフィは自身の腹ペコしか気にしないし、エースとサボは正直に話したところで甘いのは充分知ってるし。
ほら。二人とも同じ顔で、呆れて溜息をつくだけなんだ。斜め下を眺める方向まで同じだなんて、なんかもう。


「なに笑ってんだよ」

「えっとね、好きだなって」


キョトンとするサボ。
あんぐりなエース。

「もう治っちまったのか!これで、」

そして、
瞬く間に修理した
匠の技に感動するルフィ。


盛大な溜息を聞いても、
船がこんなにボロボロでも、
どんなピンチに見舞われても、
やっぱり。

あきれ果てて盛大に笑い始めた彼らが、全ての心配事を持ってって『大丈夫』にしてくれるんだ。


「なあ、俺たちさ」

「そうだな」

「どこまでも行けそうだな!」


大丈夫。
全部オッケーなんだ。
彼らが居れば。

きっと何があっても、
私達は海を越えて行ける。


【うみねこは今日も鳴く】



 


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